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感傷中毒


 私は会社で仲がいいと言えるような人はたった二人しかいないのだが、そのうちの一人のおばちゃんから、ある映画を紹介された。

 この方は40代半ばのおばちゃんで、2週間に1回のペースでドレッドヘアやコーンロウなど、攻撃的な髪型を披露するチャーミングな方。
見た後に精神的に病むような映画が大好物で、同じく私も病みたがりな人間なものでありまして意気投合し、仲が深まることとなった。
会社の飲み会などは極力参加しないのだが、この人とはたまに行くぐらいの関係性だ。気の合う変なおばちゃん。


そんな紹介して頂いた映画が「岬の兄弟」という作品。

物語は足に障害のある兄と自閉症の妹が二人暮らしをしているところから始まる。仕事を失った兄は生活のために、妹に売春をさせて生活費を稼いでいくが、その中の苦悩や心情を描いたもの。超人間臭い。
1人で鑑賞していたのだが、何回も手で顔を覆いかぶさるように見てたし、残酷過ぎて言葉が出なかった。
見終わった後の数分は泣きそうなくらい切ない気持ちになるのだが、その後快感として感じてしまった。

なぜ快感と感じてしまったのか。ここに私の大嫌いな、性根の腐った部分が表れているのだ。
最近気づいたのだが、私は落ち込むと自分より優れない境遇の人を見て比較し、安心感を得ようとする傾向にある。それも無意識に。

だからこそ映画はバッドエンドの映画を好むし、アルコール依存症のYoutuber、通称アル兄を見て腹抱えて笑っている。
この人がこんな風に生きているんだから、私の悩んでいることなんてどうでもいいやって思いたいのだ。

もっと人のハッピーを感じて、自分も幸せにならないとと危機感を感じた。


今日は久しぶりにサウナでも行って毒素を抜きますか。




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