石ころに。
石ころになりたい
小石でも
巨石でも
石でもなく
石ころに。なりたい
転がって転がって
どうしようもなさを生きて、
原形などとうになくなって、
誰も私を知らなくなって、
それでもはじまりは私だったことを
私だけでも覚えていて、
角が取れても
どこかが角のままで、
特徴がなくとも
そのことだけは特徴になって、
誰の役にも立たず、
たまにいる物好き以外からは
見向きもされず、
気にも止めず踏みのぼられ、
気分次第で蹴飛ばされ、
区別する意味もなく
わざわざ石ころと呼ばれる、
それでも、
誰も知らない世界の一箇所で、
無名で匿名のどこかの誰かに、
大事に大事に握りしめられる、
石ころになりたい
情けなく本当を
言うのなら
私は
石ころになりたい