【詩】めがねを外してみて
めがねを外してみる
全てがぼやけている
何も見えないと言っても
うそではないほどに
むしろ見えすぎていた
めがねをかけていた僕の視界
はっきりとくっきりと
嘘を僕は見ていた
今 見えている世界こそ 僕の本当
僕にとっては ほとんどが
見えていないことこそ
本当に見えているということ
でも それではどうも生きていけなくて
僕はめがねをかけている
僕にとっては それはめがねだけど
誰かにとっては それはファッションだったり
ある人にとっては それは愛情だったりする
めがねをかけた仮の姿でしか
生きられない運命を呪いながら
めがねさえかけていれば
生きていける幸運を有難がる
めがねのように
簡単にはいかない何かを
かけている人もいて
僕はなんて声をかけたらいいか分からない
鏡に映る自分の姿に 絶望することが
決していいことには思えなくて
弱さをさらけ出すことしか
自分にできることは
それくらいしかないように思えて