![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/171884744/rectangle_large_type_2_c520e63a9751cfc930d7a88ddeee5fbb.png?width=1200)
効果の高い学習方法
科学的根拠に基づく最高の勉強法|安川康介著
「最高の勉強法」とは何か
学びは人生を切り開く鍵であり、その方法によって成果は大きく変わります。今回紹介する安川康介さんの『科学的根拠に基づく最高の勉強法』は、最新の研究をもとにした効果的な学習方法を解説した一冊です。この本では、まず効果の低い勉強法を取り上げ、その後、科学的に証明された最も効果的な学習法について詳しく説明されています。
効果の低い勉強法
まずは避けるべき非効率な学習法を3つ紹介します。
1. 繰り返し読む
ただ文章を繰り返し読むだけの勉強法は、記憶の定着にはほとんど役立たないと言われています。文章を読むという行為は、理解を伴わなくても可能であり、脳に負荷がかからないため記憶には残りにくいのです。
2. ノートに書き写す
黒板や教科書の内容をそのままノートに書き写す方法も、効果が低いとされています。この行為は手を動かしているだけで、頭を使わないため記憶に残りづらいのです。
3. ハイライトや下線を引く
重要な部分にハイライトを引いたり下線を引く行為も、記憶の定着にはあまり効果がありません。これらの方法も頭をあまり使わずにできるため、脳に負荷がかからず学びの効果が薄いとされています。
これら3つの方法は「受動的な学習法」と言えます。脳に負荷をかけず、記憶のプロセスに必要な刺激が不足しているため、効果が薄いのです。
効果的な勉強法
それでは、どのような方法が科学的に効果的とされているのでしょうか。この本で推奨されているのは、以下の5つの学習法です。
1. アクティブリコール(積極的に思い出す)
アクティブリコールとは、学んだことを何も見ずに思い出す勉強法です。例えば、参考書を読んだ後、白紙に学んだことを書き出したり、声に出して説明することがこれに当たります。
実験では、大学生を4つのグループに分け、それぞれ異なる勉強法を試した結果、「学んだ内容を思い出しながらパソコンに打ち込むグループ」が最も高いテスト結果を残しました。これは、思い出す行為が脳に大きな負荷をかけ、記憶を強化するからです。
具体例として、1時間勉強する場合のスケジュールを見てみましょう。
•20分間参考書を読む
•10分間何も見ずに学んだことを白紙に書き出す、または声に出して説明する
•再度20分間参考書を読み直す
•最後に10分間再び思い出す
この「覚える」と「思い出す」を交互に繰り返すことで、記憶の定着が大幅に向上します。
2. 分散学習(時間を空けて復習する)
記憶は時間とともに薄れていくものです。ドイツの心理学者エビングハウスが提唱した「忘却曲線」によれば、人は1ヶ月後には覚えた内容の約80%を忘れるとされています。そこで有効なのが「分散学習」、つまり時間を空けて復習することです。
実際に、小学生に英単語を覚えさせる実験では、1回でまとめて勉強したグループよりも、1週間の間隔を空けて2回に分けて学習したグループのほうが成績が約1.8倍良かったと報告されています。この結果からも、定期的に復習する重要性がわかります。
効果的な復習スケジュールの例としては、以下のようなタイミングが推奨されています。
•学習した翌日
•3日後
•1週間後
•1ヶ月後
一夜漬けで詰め込むのではなく、数日に分けて復習を行うことで、記憶がより長期間定着します。
3. アクティブリコールと分散学習の組み合わせ
アクティブリコールと分散学習を組み合わせることで、記憶の定着率がさらに向上します。例えば、英単語を覚える場合、次のような手順を繰り返します。
1. 英単語を見て発音しながら書き出す
2. 何も見ずにスペルと意味を思い出し、白紙に書き出す
3. 思い出せなかった単語を再確認する
4. 1日後、3日後、1週間後に再び同じ手順で復習する
この方法を繰り返すことで、単語が長期記憶にしっかりと定着します。
4. 自分に質問をする
学んだ内容について自分自身に質問を投げかけ、それに答える方法も効果的です。例えば、次のような問いを立ててみます。
•なぜこの事実が重要なのか?
•なぜこの現象が起きるのか?
質問をすることで学習対象への注意力が高まり、集中力が向上します。また、単なる暗記ではなく、理解を深めることができます。
5. 粘り強く継続する
これらの方法は簡単ではありません。特にアクティブリコールは脳に大きな負荷をかけるため、疲れやすく、学びの過程で挫折感を感じることもあります。しかし、この負荷こそが記憶を強化し、学習の質を高める鍵です。
本書では、効果の薄い勉強法(繰り返し読む、ノートを写すなど)に逃げず、脳に負荷をかける「思い出す」作業を続けることの重要性が強調されています。
結論
安川康介さんの『科学的根拠に基づく最高の勉強法』は、学習効率を劇的に向上させる具体的な方法を提示しています。アクティブリコールや分散学習といった効果的な学びの手法を実践することで、記憶の定着率が向上し、学習成果が大きく変わります。
勉強法に迷っている方や、これまでの方法で成果が出なかった方は、ぜひこれらの方法を試してみてください。「思い出す」「時間を空ける」「質問をする」といった学びの習慣を取り入れることで、より効率的かつ効果的な学習が可能になります。
学びは挑戦です。脳に負荷をかけ、粘り強く続けることで、その努力は確実に結果として返ってきます。