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心の海を航海するのだ


 気持ちの波が揺れている。今日は少し濁流気味。ざぶんざぶん、という音がする。叫び出したい不安と、寂しさが押し寄せて、声にならないSOSが鳴っている。
 悲しいよ、嫌だよ、なんでこんな目に逢うの、あたしはきっと永遠に救われない、そんな言葉が頭の中をぐるぐると回っていた。

 それでも今、あたしはそれをこうして言葉にしている。心の海に飲まれるのではなく、あたしは船に乗っているのだ。
  この波の動きを、色を、風向きを、しかと噛み締めて、何とか乗り越えようと舵を握りしめている。

 きっと全てが糧になる。船を大きくする材料になる。穏やかな波の日も、こんな濁流の日も、全てを知っているあたしは、きっと誰かが溺れた時に船の作り方を教えることが出来る。

 何度もずぶ濡れになって、溺れかけて、もう船の帆を閉まってしまいたくなる時もあったけど、あたしは舵を握っている。海のその先を見て、この海が、この世界がどれだけ広いのかを知っている。まだまだ見えていないものが沢山あることを分かっている。




  心の海を航海するのだ

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