【骨盤矯正】は善か悪か
こんばんは。ひとつもクリニックの話が進まなくなってきたので、他の分野に徐々に活動を進めてしまっている自称『不定愁訴』こと中川院長です。いつまで経ってもできません。
そろそろクラウドファンディングでも仕掛けようかな。
さて、突然ですがここでみなさんに質問です。
みなさんの骨盤はゆがんでいますか?
『Yes』の方も『No』の方もいると思いますが、これはどちらも正解だと思います。
骨盤を含め、人の体は完全に左右対称とはなっていないと言われています。しかし、姿勢が悪いからといって、また妊娠・出産を経験したといって、人間の骨格を支える中心となる骨盤がゆがむかというとそれも違います。
これは言葉の曖昧さを利用したずる賢い商法なのです。
左右対称ではないので、多少ゆがんでいたとしても、もちろんそれは問題ないし、それを完璧に治すなんてできません。
骨を治す=骨をずらす
「なんてことになったら骨折させない限り無理でしょーーーーー。」
これが一般整形外科医の言い分です。確かにその通り。それもわかる。
でも、骨盤矯正を受けて、実際に症状がよくなっている人がいるのです。
ここがまたやっかいなところ。
骨盤矯正の実際
骨盤矯正で症状が即座に改善する場合、そのほとんどが筋筋膜性疼痛(または非定型疼痛)というものです。
すべての施術所がわかってやっているのかどうか知りませんが、実際に骨盤矯正を受けてきたことがあります。その時は軽い腰痛があったので、試しに行ってみたのですが、脚を引っ張ったり、組んでストレッチなどしたり、臀部や腰部周囲をほぐしたり。
そうです。普通です。
おそらくどこでもやっている普通の対応です。
骨盤矯正で症状が良くなったとしても、、、
だいたいの所は、『なぜそうなったのか』、『どうして良くなったのか』を教えてはくれません。
骨盤矯正で症状が変わらなければ、、、
1回で良くならない。と言われることもあるとかないとか。。。
実際知り合いに聞いた話だと数回の通院で10万円くらいの費用を要求されたそうな。
出産後に骨盤矯正は必要か
出産後は確かに骨盤周りの症状が多くなります。赤ちゃんの頭は直径10cm程度で、骨盤の横径とほぼ一致します。
もちろん骨の他にも脂肪や筋肉などがあるので、そのままでは赤ちゃんは産道を通れません。お母さんの体の中では女性ホルモンの分泌が活発になり、骨盤周囲に付いている靱帯が緩みます。恥骨結合も緩むと言われています。
でも安心して下さい。そこでは実際に外れる訳ではなく、少しゆるんで広がるだけなので、赤ちゃんが出てきたらすぐに戻ります。
なのに骨盤矯正??と思うのはその後の症状がやはり多いからでしょう。
■骨盤が痛い
■骨盤を締めると良くなる
■やらないと緩む
■体型が変わる
こういった意見が聞かれます。
上で解説したように、赤ちゃんは骨盤を無理矢理押し広げるかたちで出てきます。骨盤周りの疼痛は靱帯の損傷、つまり捻挫と同じ様な状態になっていると考えられます。骨盤を締めて安定させることは、捻挫の初期治療で副え木をすることと同じです。
骨盤周りの靱帯はとても強靱であり、切れることはほとんどありません。交通事故やマンションからの転落ほどの力が必要になります。
体型が変わってしまうのは、妊娠中の体の重心の変化、姿勢の変化、運動不足による筋バランスの変化の影響が一番強いです。
なので、必要なのは骨盤矯正ではなく、妊娠中からの適度な運動と正しい知識でしょう。
骨盤矯正はじめました!
とは言っても、ただしいことは伝わらないし広まらない。これだけ市民権を得てしまった言葉は正攻法ではどうしようもないのは歴史が証明しています。
ここで、逆にそれを利用してみてはいかがですか?
『プロが考える骨盤矯正』
『骨盤矯正は整形外科専門医へ』
『骨盤美容矯正』
などのキャッチコピーで積極的に骨盤周囲の悩みを抱える女性を救ってみようと思います。もちろん保険でカバーできる範囲で。
なのでこれからは【骨盤矯正】を良い意味で積極的に使っていこうと思いまーーーーーす。
中川将吾
小児整形外科専門ドクター