休みでも自粛でも太陽の光を浴びよう
こんばんは。今日は久しぶりに良いお天気になって、暖かくて気持ちの良い一日でしたね
こんな日も自由に出歩けないのは気が滅入ります。
さて、今日は小児整形外科の扱う疾患の中でも上位にくるO脚の話です。
1. あかちゃんは基本O脚
産まれたばかりの赤ちゃんはほぼ間違いなくO脚です。これはお母さんのお腹の中での姿勢が影響していると言われています。脚の形は2本の骨(大腿骨”だいたいこつ”,脛骨”けいこつ”)で決まってきます。大腿骨は大人の骨に比べてまっすぐで、脛骨は内に曲がっているため全体として内にカーブした形になっています。
このおかげ(?)で赤ちゃんの脚は仰向けの状態になると膝が外に向きやすいので股関節の安定が保てます。足先は体の中心に寄ってくるので、眼で見たり、足を触ったりがしやすくなります。きっとそうやって進化しているのではないかと勝手に想像しています。
2. 成長による脚の変化
そうして産まれてきた赤ちゃんは、だいたい1歳くらいで立ち上がるのですが、O脚で足幅広めで立つことも2足歩行の人間には有利なのではないでしょうか。その後、脚の形は徐々にまっすぐになり、3-4歳ころになるとX脚になります。
左右に揺れていたり、お尻をふりふり歩いていると、脚の形も影響されます。筋肉がついてきて、歩き方が安定すると脚の形も大人と同じようにまっすぐになります。正確には少し外曲がりですが、筋肉と脂肪で覆われるのでまっすぐに見えます。
歩き出しのO脚や、3-4歳ごろのX脚、痩せている子のX脚などは目立つけれども正常なことが多いです。
極端な状態でなければ経過観察となるのですが、中には骨の異常が含まれています。それが”くる病”です。
3. くる病とは
なんか脚がすごい曲がったまま歩いてるなーという子を見たことがあると思います。もともとO脚のあかちゃんがなんらかの原因で骨が未熟なまま立ち上がると、体重がかかることでさらにO脚が進んできます。程度が大きい場合は血液検査で異常が見つかり、体の中のビタミンDが少なくなっている”くる病”という病気である可能性があります。くる病の原因には様々あります。
診療をしていて良くあるのが母乳栄養+食物アレルギー。母乳にはビタミンDが含まれていません。粉ミルクにはビタミンDが添加されているのでその心配はなさそうです。ビタミンDは日光を浴びることで体内で合成されます。
↑ここからミルクの成分を参考にしました。
くる病という病気はかなりのビタミンD欠乏症のため、レントゲンを撮るとはっきりと骨の成長部分(骨端線)の異常が見て取れます。しかし、なかにはその異常が見えないけど、O脚が強くて、実はビタミンDも正常下限である例も多く存在することがわかってきました。
昔は栄養状態による影響が大きかったのですが、最近は太陽を極端に避けることによるビタミンD不足の例を見かけます。
4. 太陽を浴びることで予防しよう
ようやく本題です。
自粛生活が続き、外に出られないというプレッシャーの中。多くの親御さんが子育てに悩んでいることが予想されます。本来であればいなかの両親に来てもらい、子育てを手伝ってもらう予定であった場合や、ママとも仲間とふれあい、いろいろな情報を得られる場がなくなってしまっています。
外出が控えられることで、いつの間にかビタミンD不足になっていることも考えられます。
まさかそんなことで・・・と思う方もいるかもしれません。
しかし、もともと気付かずに数年たってから来院される方も多いのです。
このままではくる病が進行してしまうことや、変形が将来にわたって残ってしまう可能性もあります。
もちろん公衆衛生上守らなければならないことは絶対です。
できるなら人の動きに注意して、15分から30分程度で良いので陽の光を浴びましょう。
強い骨を作って、元気な子に育ちますように
中川将吾
小児整形外科専門ドクター