リハビリ保育の最前線へー私たちの挑戦とこれから

ついに、開園まであと1か月を切りました!
長い準備期間を経て、いよいよ「リハビリ保育」が形になります。園舎の完成も間近で、ここで子どもたちが過ごす未来を想像すると、ワクワクが止まりません。

今日のTwitter(X)でも投稿していますが、順調に園舎は仕上がってきています。最高の環境に最高の場所ができあがります。ここでリハビリ保育を実際に始められることはこの上ない喜びです。

さて、ここからの約一ヵ月。クリニック開園前と同じく、なるべく毎日記事更新を行っていこうと思います。AIくんが登場して、かなり楽になったはずなので今回は続くと思われます。

ぜひ、いっしょに開園前の雰囲気を盛り上げていきましょう。
最後までよろしくお願いいたします。

はじめに:なぜリハビリ保育なのか?(導入)

現在の社会的課題

リハビリ保育を思いついたのはもう5-6年前。まだ自分が茨城県立医療大学の講師になったころです。整形外科医として赴任していましたが、すでに手術は年に数回しか行っておらず(300件/年とかやっていたころが懐かしい)、外科医としては半分引退し、リハビリテーションの勉強をしていました。

そこで学んだ小児のリハビリテーションの現状は以下の通りです。共感する方も多いのではないでしょうか。

  • 内容が進歩していない

  • 嫌々やっている

  • 結局手術が避けられない

  • 月に数回の回数制限

  • 入院ありきのリハビリ

目指す方向性と実際の内容がテンでバラバラな状況でした。整形外科的手術を減らすという目標のもとに介入を開始しましたが、これまでのしがらみがなかなか解消されません。

これは新らしい仕組みが必要だな。

そう感じたのが始まりです。

保育園でのリハビリ支援の可能性とは?

自分がリハビリをいちから提供するには開業が一番でした。しかし、医療保険の仕組みの中で行っていては同じことが起こります。時間と回数の制限です。

当時のリハビリはどう考えても量が不足していました。こどもの運動発達は毎日が勝負です。1日1日、こどもは大きく成長していきます。その時間を無駄にしたくなかったのです。

なんとか費用を押さえてリハビリを自由に受けられるには、、、

そう思ってたどり着いたのが『保育園&リハビリテーション』です。

リハビリテーションを受ける子は基本的に健康です。ただ機能が育って以内だけです。なのに、なぜかわざわざ遠い所を病院まできてリハビリテーションを受けるのです。保育園は朝〜夕方までその場にいます。この環境で過ごすことがリハビリになれば最高ではないでしょうか。

普通の保育とリハビリ保育の違いはなんだろう。
次の課題が浮かんできました。

普通の保育とリハビリ保育の違いは何か?

一般的な保育園では、子どもたちが日常の遊びや活動を通じて自然に成長していくことが期待されます。しかし、リハビリが必要な子どもたちは「遊びながら成長する」というプロセスがうまく機能しないことがあります。

例えば、

  • 運動発達の遅れ:歩行や座位保持が難しく、友達と同じように遊ぶことができない

  • 感覚統合の課題:特定の動きを嫌がる、バランスを取るのが苦手、手先の動きがぎこちない

  • 社会的な関わりの難しさ:自分の気持ちをうまく伝えられず、集団活動から外れがち

このような子どもたちにとって、一般的な保育園では十分なサポートが受けられず、逆に「できないこと」が強調されてしまうことが多いのです。

では、リハビリ保育ならどうでしょうか?

リハビリ保育のアプローチ:感情の表現と他者の変容が発達を支える

リハビリ保育の本質は、単に「保育の中でリハビリを取り入れる」ことではありません。読者のみなさんの中にはリハビリをするということは、座位や立位、歩行の補助をすることと同意と捉えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

小児整形外科が行うリハビリ保育では、子どもが感情を表現し、それを周囲の大人(保育者)が受け取って関わり方を変えていくこと、つまり双方向性のコミュニケーションが、発達において非常に重要なプロセスとなることを理解しているのが最大のポイントです。

一般的な保育園では、子どもたちは日常の遊びや活動を通じて成長していきます。しかし、リハビリが必要な子どもたちの中には、感情を表現することが難しく、それが周囲に適切に理解されないために、発達の機会を逃してしまうケースがあります。

例えば、

  • 運動の不安を言葉にできない →「怖い」「やりたくない」という気持ちを表現できず、チャレンジを避けてしまう。本当はその向こうに達成感があるのにもったいない。

  • 感覚的な違和感を伝えられない → 服の素材や音の刺激がつらくても、周囲に気づいてもらえず、不快なまま過ごす。共感してもらうことで和らぐこともある。

  • 「やりたい・もっとやりたい」を伝えられない → せっかく興味を持ったことも、大人が気づかず、継続的な経験につながらない

  • 社会的な関わりで気持ちがすれ違う → 自分の想いを表現できず、周囲の子どもたちとうまく遊べない。

こうした場面で、大人が子どもの感情を適切に受け取り、それに応じた関わりをすることが発達を促す大きなポイントになります。

「感情を表現し、他者が行動を変える」ことが発達につながる

通常の保育や病院でのリハビリでは、子どもが感情を表現し、それを受け取った大人が行動を変容させる というプロセスが十分に機能しにくい現状があります。

例えば、

  • 病院でのリハビリでは → セッションの時間が限られており、子どもの感情の変化をじっくり見守る余裕がない。または、身体活動のみに注視してしまっており、十分な感情へのアプローチを身につけていない。

  • 一般的な保育では → 集団の中での対応が中心となり、一人ひとりの感情表現にじっくり向き合う機会が少ない。小規模保育園での対応が望まれる。

リハビリ保育では、この課題を解決するために、子どもが自分の気持ちを表現しやすい環境を作り、それを受け取った大人(保育士・療法士・保護者)が関わりを調整できる仕組みを組み込んでいるのが特徴です。

リハビリ保育での環境調整

① 子どもの感情を引き出し、表現しやすい環境をつくる

  • 「怖い」「嫌だ」「もっとやりたい」といった気持ちを行動や表情から読み取り、言語化やジェスチャーで表現できるようサポートする

  • 「イヤだね」「こわかったね」など、大人が気持ちを代弁することで、子どもが安心して感情を出せる環境を作る

② 表現された感情を大人が適切に受け取り、関わりを調整する

  • 「楽しい!」と感じたら、その活動を継続・発展させられるよう関わる

  • 「嫌だ・怖い」という表現が出たら、無理にやらせるのではなく、どうしたら安心して挑戦できるかを考える

  • 保育士や療法士が、保護者と一緒に子どもの感情表現を捉え、その子に合った関わり方を共有する

③ 子どもと他者との関係を広げる仕組みを作る

  • 他者の気持ちにも気づく機会を増やす:「〇〇ちゃんも今、ちょっと怖いみたいだね」と、大人が橋渡しをする

  • 共同作業や協力遊びを通じて、感情のやり取りが生まれる環境をつくる

このように、「子どもが感情を表現し、それを受け取った大人が行動を変える」ことをリハビリ保育の軸にすることで、発達が広がる環境を作ることができます。


どうですか。
リハビリ保育についての理解が少し深まったのではないでしょうか。

この記事は、主に現場の保育士さんや保育に興味のあるPT、OT、STなどの専門職に向けて書いています。興味を持った方は質問など、ぜひコメントをお願い致します。

また、一緒に盛り上げてくれる職員さんを募集中です。自薦他薦問いませんので、この面白い試みをどうかもっと広げて下さい。

これからも応援をよろしくお願いいたします。

ではまた!””

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