「発達の遅れ」を考える
こんばんは!
今日はいただいた質問箱の内容についてお話ししたいと思います。
質問内容はこちらです。
幼児の発達検査で運動発達が88点だったのですが、この結果を受けてどういうアプローチをするのがよいですかね、、。100点が平均と聞いて親がダメージ受けています
こういった内容でした。
なるほどな、、、、と。
質問者さんの子どものことかと思いますが、そちらに関しては記載がありませんでしたのでわかりません。運動の項目が平均より低かったことがかなりショックだったようです。
この発達検査が何を指しているのかもそこに詳しい人ではないのでよく知りません。なぜその検査を受けることになったのかも知りません。
おそらくたまたまではなく、何か思うことがあって受けたのだと思います。その結果、平均以下だったと。
受けなければ良かったのに、、、、。というのはちょっと愛がないので、真面目によく考えました。
平均点のもつ意味
そもそも平均とはなんでしょうか??
みなさん知っている通り、この場合全員の点数を全て足して、人数で割ったものです。ばらつきが偏っていなければ半分の人は平均以下になるはずです。
このショックを受けている原因は、点数が低いことよりも、
平均以下=発達障害
と思ってしまっていることなのではないでしょうか??
平均以下がすべて発達障害であれば、日本の人口の半分が発達障害になってしまうかもしれませんよね。なのでそこはおかしいです。
点数で表してしまうと、どうしても平均点や標準点を気にしてしまいます。ですが、点数を左右する理由なんていくらでも存在します。
自分も余裕だと思っていた大学入試センター試験で、40点ほど予想より低かったことがあります。当時はかなりのダメージを受けました。
人の能力を点数化すること
では点数をつける理由を考えましょう。
これは疾患のあり/なしを判断したり、優劣を決めるものではなく、あくまでも誰が見てもわかりやすい客観的な指標を持つためであり、ときに介入による変化の結果をわかりやすく示すものです。
なので、たまたまそのタイミングで点数が低かったとして、それほど意味はありません。体調が悪かったかもしれないし、気分が乗らなかっただけなのかもしれません。
大切なのは、その結果がその子の将来をよい方に変えられるものとして捉えられるかどうかです。
良い結果だとすれば自信を持てば良いし、悪い結果ならその原因と改善できる可能性を考える。
ただし、変える必要がない場合もあります。すでに好きな物に全力で打ち込んでいる場合。たとえテストの点数が悪くても大企業の社長になっている人もいます。体育の成績が悪くてもプロスポーツ選手になっている人もいます。
運動発達が低くても、その他の項目が伸びてくれればそれも問題ないわけです。
いささか、世の中のみなさん。発達に関して過剰に反応しすぎてしまっていると思われます。きっと自分の子育てに自信がなくなっているのかもしれません。
そもそも発達の「遅れ」なので、将来的に追いつく可能性もあります。一般的な全ての人に当てはめて点数化する検査よりも、その子のことを産まれてから今まで見てきている親御さんが可能性を信じてあげて欲しいですね。
中川将吾
小児整形外科専門ドクター