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寝たきり予防は幼児から
さぁ、みなさん。突然ですが、これからの社会に必要とされるリハビリクリニックの形を考えましょう。こどもこどもと言っていますが、さてその心は。
運動機能障害の予防医療とは
医療や介護を取り巻く社会問題として、生活習慣病の増加、運動機能低下による要介護者の増加、少子高齢化による医療費の負担増と介護従事者の不足などが挙げられます。
みなさんならこの問題をどう解決しますか?
痛みで動けない人を治しますか?
手術で人工関節に置換しますか?
動けなくなる前に介護施設に入りますか?
検診で見つけて薬で改善を目指しますか?
予防医療の考えが浸透し、早期発見早期治療が必要だという意識は出来て来ていますが、症状のない人が予防に努力する文化はまだまだ育っていません。
外来を受診するひざ痛や腰痛はすでに筋力バランスの変化や歩容の異常をきたしており、その痛みが改善したとしても気づかないうちに体の変化は進行しています。痛みを直し続けたとしても人工関節が回避できない事態が起きています。
また手術したとしてもすでに体力的に低下しており、施設入所になってしまう例も出ています。検診をどんどん行い、薬で対応ももちろんその流れを止めることはできるかもません。
できれば運動を日常的に行う学生時代に貯筋をし、その後も定期的なメンテナンスを行う必要があると意識し続ける環境が理想です。そこまでいくと、何が起こるかはもはやわかりません。
こどもの運動機能障害
わが国では前回の東京オリンピックを契機に子どもたちの体力・運動能力調査が行われている。それを見ると1980年代半ばをピークに低下が見られていました。この傾向は小中学生だけではなく、幼児期から見られています。
運動学の先生方はこの状況を早くから危惧し、様々な警鐘を鳴らしていたが、医療現場には届いておらず、教育期間や市場の中で解決する方法がとられていました。
主な原因は高度経済成長や都市化によう子どもたちの遊び場の減少、テレビゲームの登場による遊び方の変化と考えられています。現代社会においてはその情報だけが先行し、『運動をしていれば健康』といった考えが蔓延していると思われます。スポーツ教室などは子どもたちで溢れています。
しかし、子どもたちに本当に足りていないのは、身体を支えることや自分の思い通りに動かす基本的なことであり、ルールのあるスポーツではなく、自由な発想から生まれる遊びの中で本来鍛えられてきた能力なのです。
子どもの運動機能低下が将来に及ぼす影響
80年代に低下した運動機能の子どもたちは今どうなっているでしょうか?40代、50代となり、すでに慢性疼痛を抱え、高齢者と同じような関節の変形が起こってしまっている方もいます。この傾向がすでに若年層に広がってきている印象もあります。ここは詳しく調べていないので今後の動向に注目です。
姿勢の悪化は疼痛の有無に関連しないといった報告があります。しかし、身体の矢状バランスや、抗重力筋への影響は確実にあります。
子どものうちは症状がないとしても将来に倒しての負債を背負っていくことになります。
いつから注意すれば良いかははっきりしません。
もしかしたら産まれる前、親の身体から変えていく必要があるかもしれません。子は親の背中(ここでは行動や姿勢)を見て育つのです。
子どもを軸にしたファミリークリニックが必要と考える理由はここです。
結果がでるころには現役ではないかもしれませんね。しかし、自分のできることを精一杯やりたいと思います。
中川将吾
小児整形外科専門ドクター