保育士が知っておきたい子どもの視野・視界の発達
子どもの発達を理解するうえで、視野や視界の発達は重要なポイントのひとつです。私たち大人が当然のように見えている世界と、子どもが見ている世界は異なります。視野の広さ、焦点の合い方、動くものの捉え方など、子どもの視覚は成長とともに変化していきます。保育士が視野の発達を理解することで、適切な環境づくりや遊びの工夫ができるようになります。
1. 視野・視界の発達の基本
まずは発達段階のそれぞれの時期によって、どのような見え方をしているのかを理解しましょう。
✅ 新生児期(0~3ヶ月)
視力はまだぼんやりとしており、焦点を合わせるのが難しい。
目の前30cmほどの距離が見えやすく、保護者の顔や動くものに反応し始める。
コントラストのはっきりした色(白黒など)が見やすい。
✅ 乳児期(3~12ヶ月)
徐々に視力が発達し、より遠くのものにも焦点を合わせられるようになる。
追視(物を目で追う動き)が発達し、動くものへの興味が増える。
立体感を少しずつ認識し、距離感がわかり始める。
✅ 幼児期(1~3歳)
視野が広がり、周辺視野も少しずつ発達。
物の大きさや奥行きをより正確に理解できるようになる。
細かい動き(手先の操作など)と視覚の連携が強まる。
✅ 学童期(3~6歳)
大人とほぼ同じレベルの視野を持つようになる。
速い動きにも対応でき、ボール遊びやスポーツの動きがスムーズに。
空間認識能力が向上し、高さや距離感を適切に把握できるようになる。
2. 視覚発達と保育の現場での対応
次に、視力を意識した関わり方について見ていきましょう。
✅ 0~1歳児の環境づくり
赤ちゃんの視界の範囲を意識し、顔を近づけて話しかける。
コントラストのはっきりしたおもちゃを活用する。
ゆっくりとした動きで目の前に物を示し、追視を促す。
✅ 1~3歳児の環境づくり
適度な距離を取って物を見せ、遠くのものにも興味を持たせる。
追いかける遊びや、動くものに対する反応を引き出す遊びを取り入れる。
目と手の協調を促す(積み木遊びやボール遊び)。
✅ 3~6歳児の環境づくり
速い動きのある遊び(鬼ごっこ、キャッチボールなど)を取り入れる。
高さや距離感を意識した遊具(すべり台、ジャングルジム)を活用する。
集団での活動を増やし、視野を広げながら状況判断する経験を積ませる。
3. 視覚の発達を妨げる要因と対応策
✅ 視覚発達を妨げる要因
スマホやタブレットの過剰使用(視野が狭くなる、焦点調整力の低下)。
一定の距離でしか物を見ない生活環境(遠くを見る機会が少ない)。
運動不足による空間認識能力の低下。
✅ 保育現場での対応策
屋外遊びを積極的に取り入れ、遠くを見る機会を増やす。
近くと遠くを見る動きを取り入れた遊び(玉入れ、風船遊びなど)を行う。
目を使う遊び(かくれんぼ、迷路遊び、追視を促す遊び)を多く取り入れる。
4. まとめ
子どもの視野・視界の発達を理解することで、適切な環境づくりや遊びの工夫ができます。何かができないときに、「もしかしたら目の機能が追いついていないのかも」と、思えるだけで、アプローチの仕方が変わってきます。
✅ 発達段階に応じた視覚の特徴を理解する。 ✅ 年齢に応じた視覚刺激を取り入れた遊びを提供する。 ✅ 視覚の発達を妨げる要因を減らし、豊かな体験を積ませる。
動くこと、運動をすることで、視力の発達を通して間接的に社会性の発達とも深く関わっていると考えられます。保育士が視覚の発達を意識した関わりをすることで、子どもたちの可能性をさらに広げることができます。
質問や意見があれば、ぜひコメントをお寄せください!
ではまた!