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学校って、誰のためのもの? 〜地域が育てる学校に〜

唯一の百貨店が閉店になるニュース

これまでも全国的に百貨店の苦境が叫ばれる中で、私の住んでいる県では唯一の百貨店が閉店されるニュースが流れました。
人口減少や購買活動・生活環境の変化に伴い、経営改善に向けて努力してきたけれども、閉店する判断にいたったそうです。
街頭インタビューでは「さみしい」「買い物ができなくなる」といった声もありましたが、果たしてこれらの方がどれだけ利用されていたのか疑問も感じます。
また、より地域に根差した地場スーパーでも同様の傾向が見られます。
必要な方や便利に感じられる方もおられるのですが、店舗維持にかかる費用は誰も負担してくれないのが実情です。
たまに訪れるあなたを迎え入れるためには、どこからか収益を得ている必要があります。もしあなたが本当に必要だと感じているなら、どうすればよかったでしょうか。

学校も統廃合が

少子化が進む中で、学校についても検討が進められてきました。

  • 統合してある程度の規模を維持した方が、多くの人との出会いがあったり、様々な教育活動を行えたりできる。

  • 自宅から離れた学校への通学負担が大きくなる。

  • 地域から子どもが減ることで、地域の活力低下につながる。

教育委員会や行政と地域の方との意見交換でも様々な意見が出されます。
それは時として「対立」という言葉でニュースになることも。

学校の先生としてどう思いますか?

あるとき尋ねられました。正直、すごく困ったのを覚えています。
教員として勤めていて、現状でできること・できないこと、統廃合でできること・できなくなること、それぞれ感じるところがありました。
決して簡単に答えることはできません。
でも曖昧な表現で返すと、「先生なのにそれぐらいの気持ちなんですか」と言われ、そのときはずいぶんへこみました。

地域に生きる人たちにとっては、感情が最優先

自分の子どもたちが、自分たちの地域が、自分たちが、それぞれに「さみしい」という感情を最優先に話されるのは当然です。
そこに冷静な「規模の論理」「コスト」をもっていっても、対立は深まるばかりです。
でも共通課題は「この地域をどうやって維持していくか」「幸せな場所にしていくか」にあります。
結論ありきではなく、様々なアイディアを出し合って、みんなで地域を作っていくことが大切です。
このことに終わりはありませんが、始まりはいつでも可能です。
多くの人に参加してもらい、参加者自らが(主体的に)地域を作っていく、それが今求められています。

学校の硬直化

戦後、現在のような学制が敷かれてから、かなりの年月が経過しました。
私たちを取り巻く生活環境もずいぶんと変わっていますが、学校制度にさほど変化はありません。
みんなが同じ目標に向かって、同じ場所で、同じ教育を受けることがよいとされた時代はすでに過去のものとなっていると感じます。
学校内でも、多様性を認める教育活動と集団生活に適合させる活動とが入り混じり、先生方だけでなく子どもたちも悩ませています。
地域に開かれた学校に、というフレーズもよく聞きますが、最優先事項である「安全・安心」との両立に学校側もたいへん苦労しています。

地域に協力を依頼?

私も学校における地域連携の仕事を担当することがありました。
「学校でこのようなことをやりたいので協力してもらえませんか?」
と言って、様々な方にお願いしていました。
幸いにも快く引き受けていただける方も多かったのですが、あるときに管理職からこのように言われました。
「協力を依頼・引き受ける関係ではなくて、一緒に子どもたちを育てる関係にしていきましょう。学校と地域は共通課題をもった仲間ですから。」

なんと衝撃的!
自分がなんとか頑張らなければ、という思いでやってきましたが、このことでずいぶん楽になりました。
お願いする立場であれば、事前に綿密な計画書をもっていかねばならず、そうなると時間も手間もかかる割に不備がたくさん見つかり、その都度修正していく作業でした。
しかも、依頼したピンポイントの活動になってしまうので、その後の広がりを作っていくのに苦労していました。
依頼する方はどの方もたくさんの経験や情報をお持ちで、もっと広く関わっていただきたかったのですが、なかなかうまくいきませんでした。
私は頑張って「失敗しない教育」を目指していたんだな、と感じました。
地域と学校とで一緒になって「面白いこと」を作っていければいいですね。

その学校は必要?

学習の効率化を考えると、現在は圧倒的にN高・N中等部が優位性を持っていると感じています。
※義務教育段階ではまだ通信制が文科省に正式認可されていないので、N中等部などで学習を行うにしても在籍は従来の学校のままになります。

ITを活用することによって、構築した共通インフラの上に、個別にカスタマイズしたメニューを提供しています。人的・物理的・地理的・時間的な制約から解き放たれたことで、大きなメリットを享受しています。
一方、たくさんの「個」にアプローチすることは得意でも、「地域」にカスタマイズしたサービスを提供することは難しい、というデメリットもあります。
この実現には、それぞれの地域に独自性をもったサービスを展開できる企業が必要です。他業種でも同じことは言えると思います。
日本の学校では共通となる学習指導要領が示されていますが、その運用(教育課程)は各地域の教育委員会や学校に任されています。
任されているがゆえに「学校がやりたいようにする」のではなく、「地域の要望に応じて一緒になってカリキュラムを作成・実現していく(子どもを育てていく)」のが理想ですね。
地域と一緒になって活動することで、教育者としての優位性も発揮できるようになると感じます。

教育活動を専門的に行う場としての学校は必要です。
その学校が必要かどうかは、地域の人(大人・子ども)に利用していただける学校になるかどうか、というただ一点だけです。
ないものは自分たちで作ればいいです。
学校や教育委員会に任せておけばいいという時代ではなくなったと思って、楽しんで関わっていきましょう!
みなさんの気持ちと先生方の知識・技術が組み合わさることで、きっとおもしろい学校が出来上がると思います。
自分ごととして関わることは楽しいですよ。(たいへんですが)

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