悔しくて泣きたい気持ちの奥には「ここを乗り越えて成長したい」という願いがある

大手総合病院にて、看護師さんへダイアログ研修を実施しました。

毎日過酷な業務の中、患者さんや周囲への配慮をしながら、ミスなく効率的に仕事を進めなければいけない看護師さんたち。

新人看護師さんが、一人前になって業務をこなせるよう、先輩看護師がマンツーマンで指導・教育するプリセプターという制度がある。業務内容や看護技術のみならず、仕事に対する不安や悩みを聞くなど、精神的な面でのサポートを求められることもあり、看護師さんが不安なく1人で業務を行えるよう、二人三脚で導いていく重要な役割だ。

今回の参加者は、プリセプターの役割を担っている若手リーダーが多い。年次が上がり、自分の業務は1人でこなせるが、後輩に教育や指導を行う立場になって直面している葛藤や難しさに感情が揺れ動いていた。

自分の内側に湧いている感情を見ていく。

どうしたらいいのかわかりたい!ここを乗り越えて成長したい!

『自分の業務はこなせるようになってきて、ずいぶん落ち着いてきたのに、後輩を教育することの難しさという高い壁にぶつかっている。ちょうど昨日の夜も家でその感情をぐっと飲みこんだところなのですが、、私の内側にあるのは、「悔しくて泣きたい気持ち」。なぜなら、自分の能力が足りないから。でも、もう、、どうしていいかわからないんです。。』

そう話してくれたAさんの内側にある願いをみんなで探究していく。

理解されること、知ってもらえること、、そんな願いが現れてくる中、Aさんの奥にある強いパワーも感じてくる。

「どうしていいかわからない」という奥に、「どうしたらいいのかわかりたい!この壁を突破する光を知りたい!この壁を超えて挑戦し、成長していきたい!!」という強いパワーの願いが聞こえてくる。

それを伝えるとAさんは、一瞬驚いた表情をした後、大きく息を吐いて
「確かに。。そうです。私、本当に悔しくて。。これを越えていきたいです!!」と涙をポロポロと流しながら話してくれた。
「これ、一番最初のワークだけど、、もう今日来てよかったです!!!」と、晴れ晴れとした表情になったAさんの身体から、本来のパワフルなエネルギーが湧き出ていた。

私たちは、自分の何かを変えなければ、と自分を責め、「こうであるべき」を自分に課し、苦しくなっていく。

でも、何かを変える必要はない。そこに「ある」のに「ない」ものとしてきたことに光を当て、気づくだけでいい。

私は本当は、この壁を超えたいと願っているんだ。諦めてしまうことなく挑戦し、自分の成長を感じたい。自分はできる!と自分を信頼したいんだと。自分の内側にある願いに気づくと、おのずと本来のパワーが取り戻されていく。命の声を聴いてもらうことで、命が息を吹き返し、生き生きと躍動するように呼吸をし始める。

本物さから湧き出る「生命」の声

1日の研修を終えた最後のチェックアウト。一人ひとり全員が、自分の内面に見いだした光を自分の言葉で語ってくれた。

その言葉は、誰かから借りた言葉でもなく、必要以上に大きく見せることも小さく見せることもない、本物さから湧き出る「生命」の声。

立派な何かを演じる必要はない。自分が自分としてその場に存在することが、何よりも美しいことを、皆さんが体現されていた。

研修の中で、仕事をする上で「満たされていること」と「満たされていないこと」をあげてもらったとき、「満たされていること」の8割近くが「人間関係」だった。
数々の組織でこれをやっているが、人間関係が「満たされていないこと」にあがってくることはあっても、これほど多く「満たされていること」としてあげられたのは初めて。

「リーダーが話を聞いてくれる」「スタッフの関係性がいい」など、スタッフ同士の関係性の質が高まってきている。3年かけて師長さんたちと共に、関係性の質を高める学びの場を重ねてきた成果が、間違いなく現れている。一緒に研修をつくってきた副部長さんや師長さんと一緒に祝福し合ったひととき。

組織変革の取り組みをする上で、「結果」は時間の遅れと共にやってくるから、数値としてすぐに結果を感じることはなかなか難しい。でも、コロナ禍にもかかわらず、諦めずにコツコツと丁寧に続け、チャレンジし続けた皆様がいるからこそ、こうして結果を一緒に祝福することができた。
私自身も、祝福と喜びの気持ちでいっぱいだ。



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