『つい喧嘩腰になってしまう』から『願いは一緒なんです』にたどり着くまで|沖縄の子ども支援NPOへの研修から
2022年7月、沖縄で子ども支援の活動をする2つのNPOの共催で、同団体のスタッフ向け研修を行いました。
世界の児童労働をなくす活動をしているNPO法人ACE
沖縄で不登校やひきこもり、障害などが理由で社会孤立している青少年への支援をしているNPO法人ちゅらゆい
このときの様子をご紹介します。
開始1時間前、すでにたくさんのスタッフが会場へ着いていて、全員がみずから率先して、学びの場が快適になるようきびきびと動いて会場設営。皆さんの日々のあり方、この場への熱意がすでに伝わってくる。
対立を超えて、共感とつながりからPower with(対等に尊重し合う)な関係性を育んでいく。そのための出発点は、自分の「生命の声」とつながること。
わが子と「本物さ」からつながりたいという願い
ご自身も発達障害のこどもを育てていらっしゃるAさん。
その奥に見えてきたのは、わが子と「本物さ」からつながりたいという願い。親元から少しずつ離れ、自分の世界ができていることを本当は祝福したいのに、手放しに祝福しきれない嘆き。これからどんどん離れていく成長を祝福し、希望を感じたい。わが子の本物さに触れ、真のつながりを感じたい。そんな願いが、涙と共に溢れてくる。
Aさんのエピソードを聴いていると、Aさんのお子さんの願いも伝わってくるように感じる。
子どもは「親のニーズを満たしたい」という純粋な願いを持っている。そして、自分も相手も対等に尊重し合う関係性構築へ。
いつも対立してしまう、どうしても理解し合えない相手。そんな相手とPower withな関係を築くためには、対立を超えていく「意志」が必要になる。
「その関係性に何をもたらしたいのか」という意図をたて、意志を持って相手と向き合う。どちらかひとりがその意図に立ち続け、体現し続けたら、必ずつながりあえる瞬間がやってくる。
同じ願いを満たすために、それぞれの立場に必要なことを、意図を体現しながら伝えていく。
次は、現場の声を聴こうとしない理事長に腹が立ち、つい喧嘩腰になってしまうという、Bさんのエピソード。自分の中にどんな不安があり、どんな願いがあるのか。その願いを満たすために、相手にどんなリクエストがあるのか。自分の内側へつながり、自分が求めていることがだんだんわかってくる。
そして、相手の不安、恐れ、苦しさ、強い願いを自分の内側で感じていく。
自分と深くつながり、相手と深くつながっていくと、相手の中に自分を見て、自分の中に相手を感じる、自他の境界線を超えた場へたどり着く。
その瞬間、Bさんの口から思わず出てきた言葉。
同じ願いを満たすために、それぞれの立場に必要なことを「喧嘩腰ではなく」意図を体現しながら伝えていく。
「なるほど。こう伝えればいいのか!」自分が求めていることがわかり、それを願いから明確に伝えられたことで表情がみるみる変わっていく。とてもパワフルなBさんのエネルギーが、怒りから、静かでしなやかな強さへとシフトしていく。Bさん本来の、受容する「愛」と、願いを実現していく「パワー」が統合された美しいひととき。
覚悟と情熱をもったスタッフの皆さんの存在こそが、未来への希望そのもの
終日、最初から最後まで、全く集中力が途切れず、諦めることなく、真摯に自分や相手の生命と向き合い続ける皆さんのホールド力が本当にすごかった。
「毎日、大変なことしか起きません」と淡々とおっしゃっていたスタッフの方々。子どもたちを預かるだけではなく、ゴミ屋敷と化していたその子の家へ行って掃除をしたり、朝の出勤前に子どもの家にいって学校まで送ったり。
あらゆる境界線を超えて、その子の生命を守るためには何でもやるという覚悟。そして、そのためにもっと学びたい、もっと高めたい、という成長への情熱。沖縄のスタッフの皆さんの存在こそが、未来への希望そのもの。
組織開発に長年関わり、もはや親戚みたいな愛すべきACEの皆さんとの沖縄遠征。私自身が、たくさん満たされ、力づけられた場。
ここからまた、望ましい未来を共に創っていこう。
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