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40代の女性が、睡眠障害や肩、頸の痛みを訴えて来院。実の両親と、ご主人の両親にお正月の間に会われたとの事。両家ともご両親は健在で年齢も80歳代で同じぐらいの年代らしい。ご自分のご両親は自立的で介護も望んでいない様子だが、ご主人の方のご両親が依存的でお世話をしてほしい様子だったとのこと。

嫁としてお世話をしなくてはならないのは分かっているが、同居して、手取り足取りお世話をし過ぎるのもご本人たちのためにならないのではないかという思いもあり複雑な気持ちが交差しており、恐らくそのことがストレスで体調不良が生じているということは自覚させていた様子。心身条件反射療法にて、因果関係を明確にして治療を施すとほとんど症状は改善された。

高齢化社会に向けて、政府や企業が介護支援に力を入れている。介護支援はもちろん必要だが、高齢者=介護という風潮はあまり好ましいことではないように思う。なぜかというと心身の健康の源は、自立心から生まれる。気持ちが常に外に向いている人はいくつになっても生命エネルギーが活性化する。人は、人に依存し、支えあいながら生きていかなくてはならないが、依存心や依頼心が強すぎると気持ちが内にこもりがちになり生命エネルギーが滞り不健康になる。

気をつけなければならないのは、周りの家族が老人扱いし過ぎないように注意することである。特に避けなければならないのは人格、こころを無視して、単に老人扱いにすることだ。老人ではなく一人の人として真剣に接し、向き合わなければならないだろう。老人だから、高齢者だから仕方がないでは良くない。年齢を問わず、時にはやさしくもあり、時には、愛情をこめて厳しくもあるとういのが人と人との交わりでごく自然なことではなかろうか。

高齢者だからという理由だけで言われるままにしてしまうのは、高齢者でなくても人間の尊厳を損ない、そして、気持ちが緩んでネガティブな方向へと進みかねない。厳しい言い方をしているように聞こえるかもしれないが、依存ではなく自立できる支援を、できる限り心を込めて惜しまずにすることが、ご本人のためにもなり、そのご家族の幸福のためにもなるのではないかと思う。

2007年1月6日(土)記

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