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あの人が、本気で商売に目覚めたら?【No.016・浦島太郎/浦島太郎編】

■株式会社竜宮城(代表・浦島太郎)、シニア起業のモデルケースに

「人生100年時代」を迎えた今、シニア世代が引退後に起業するケースが増えている。日本政府も高齢者の活躍を強く後押しするなか、長年培った経験やスキルを活かしたシニア起業は、今後もさらに増えていくことが予想される。

 そんな中、シニア起業のモデルケースとして注目を集める会社がある。浦島太郎氏がCEOを務める株式会社竜宮城だ。

 同社の創業者・浦島氏を知らない人は、日本ではおそらくいないだろう。腕利きの漁師として活躍していた20代の頃、近隣の子どもにいじめられていた亀を助けた浦島氏は、その亀に海底へと引きずり込まれてしまう。気がつくと宮殿のような建物に連れ込まれ、以後数十年にわたって監禁されることとなった。

 強いマインドコントロールによって幻覚を起こし、両親の最期に立ち会うことすらできなかった浦島氏。長期の監禁から無事解放された時には、すでに90歳を超えていた…。

 この悲劇の物語は、メディアでもたびたび取り上げられ、書籍や絵本として出版されたほか、アニメ化もされ、日本国中に広く知れ渡ることとなった。

 監禁から解放された後、海を眺めてのんびり過ごす日々を続けていた浦島氏だったが、その後、漁師時代から片鱗を見せていた商才を発揮し始める。監禁中の数十年の間に自宅の建つ土地の価格が大幅に上昇。そこでこの土地を売却して得た資金を元手に、新たなビジネスを立ち上げたのである。

■キャンプブームに乗り、燻製キット「玉手箱」が大ヒット

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 2010年に株式会社竜宮城を設立した浦島氏がまず目を付けたのが「燻製」だ。元漁師であり魚の特性を熟知している強みを活かし、スモークサーモンなど魚介類の燻製を手軽に自作できるキット「玉手箱」を発売。するとこれが2010年代後半頃からのキャンプブームに乗り、年間10万個を売り上げる大ヒット商品となったのである。

 この燻製キットで成功を収めた浦島氏は、意外な業界を次なるターゲットに据える。それは「メンズ美容市場」だ。

 2015年4月、誰でも老け顔になれる男性向け新感覚美容キット「玉手箱」を売り出した同社。発売当初は「こんな商品、売れるわけがない」と酷評する専門家が大半だったが、大方の予想に反し、ダンディーな大人の男に憧れる若い世代から爆発的な人気を集めることに。ベイビーフェイスにコンプレックスを持つ人や、若く見られるのが嫌な人たちにうけているという。

 利用者からは「これまでは若く見られて軽くあしらわれることが多かった。老け顔になったことで取引先からも信頼されるようになった」といった声が上がる。特にビジネス面でのプラスの影響を口にする人が多いという。

 ただ、この美容キット「玉手箱」を巡っては、見た目だけでなく「体力まで衰えた」「記憶力が明らかに落ちた」といったクレームが急増しているという。2013年には「カネボウ美白化粧品問題」が大きな話題となったが、もしこの老化問題が事実であれば、大きな訴訟問題に発展することは免れない。

 こればかりは、煙に巻いて話を終わりにする、というわけにはいかなそうである。

※この記事はフィクションです。


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※なお、note版の記事は、一部修正を加えて「空想ビジネスオンライン」から転載しています。


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