府中牝馬S 予想メモ
コース形態
TB想定
先週時点での内有利は多少程度。
2周目は内が踏み固まって有利度が上がることがあるので引き続き注意。
マスクトディーヴァ
VMの3着は直線で加速するところで挟まれる大きな不利がありながら再加速して2着争いに加わっており、勝ち馬と0.2差ならば負けて強しの内容と言える。
その前の阪神牝馬Sは好位の内をロス無く立ち回りながらもウンブライルに詰め寄られたが、モレイラ騎手が直線で手綱を落として追い出せなかったロスや斤量差を考えれば実際はもう少し余裕があったと思われる。
4歳牝馬のなかでは後述のブレイディヴェーグと同等クラスで、リバティアイランドに続く2番手。牡馬重賞級相手でも通用する能力は持っている。
そのブレイディヴェーグはエリ女を制しており、彼女の実力が裏付けられたと言える。
なお、東京新聞杯の6着はかなり内有利のところを大きく出遅れて外を回ってのものなので、それでも0.4差でまとめているならば悲観する内容ではない。
よって、(リバティアイランド、スターズオンアースの古馬混合G1級を除いて)牝馬限定ならば最上位の能力があるこの馬は高評価して当然である。
1着候補。
ブレイディヴェーグ
ローズSはマスクトディーヴァに1馬身半(0.2差)屈しての2着だが、前が壁で追い出しが少し遅れながら、馬群の間を割って上がり最速の32.9で追い込んでいるため、ほぼ位置取りの差で負けて強しであり、着差ほどの力差は無い。よって、この馬もマスクトディーヴァと同格とみて世代2番手候補に位置づけたが秋華賞ではなくエリ女へ。
エリ女ではスタートでアオりながらも5番手の内を確保。スローで好位をロス無く追走したとはいえ、直線で抜け出して勝ち切りG1馬の仲間入りを果たした。また、2着馬ルージュエヴァイユは大阪杯で差の無い3着に好走しており、この馬が牡馬重賞級相手でも通用しそうであること、牝馬限定戦のなかではマスクトディーヴァ同様最上位であることを裏付けた。
気になるのはこの後故障したため、今回は11ヶ月の休み明けで古馬となっての初戦であること、G1馬で+2kg加重されていきなり57kgを背負うことである。(エリ女、ローズSは54kg)
それをこなして能力を発揮できるようであれば、マスクトディーヴァと互角の争いができる資格を持つ馬であり、勝ち負けに加われる可能性は高いと言える。ただし、マスクトディーヴァとは1kg差あることに注意。
1着候補。
フィアスプライド
安田記念の7着はややスローの前残りであったことも考えれば3番手から粘り込みを図るも後続に差されて力負けであった。
また、VMで2着に好走しているが、相手の多くが不利などで力を出し切れないなか、唯一正攻法でスムーズに脚を伸ばせたものであり、特にナミュール・マスクトディーヴァの2強とも不発し、残りが牝馬限定G3レベルのメンバーレベルであったことで通用した結果ともいえる。
また、中山牝馬S、ターコイズS、昨年府中牝馬Sとも低調な相手関係であり、そのうちターコイズSで勝利しているが、前残り展開を好位から抜け出してのものであり、2強を除いてこの馬が好走するには展開ひとつといえる。
よって、2強とも差し脚質なので、楽に先行できればTBや展開次第では逆転の可能性はあるが、力勝負では厳しいと言える。
2着以下候補。
コスタボニータ
牝馬限定重賞では上位常連も、好走には基本的に内有利TBや展開に恵まれる必要がある馬。競馬の上手さで能力をカバーするタイプ。
小倉記念の2着は56kgかつ混合戦でも結果が出ているとは言え、全体的なメンバーレベルはOP級なうえに、大逃げのテーオーシリウスの離れた2番手をポツンと追走(よく私がゴールデンポジションと言っている)する展開に恵まれたもので、実績ほどの高評価は不要。
福島牝馬Sの勝利は前が詰まりながらも抜け出す強い競馬も、内有利TBを生かした上に後方が落馬事故で軒並み不発の展開に恵まれた。
マーメイドSの10着は出遅れて最後方からになったうえに軽斤量馬が台頭する結果になるくらいの高速馬場でどうにもならなかったので度外視可能だが、中山牝馬Sの5着は外を回る競馬で取りこぼした。
よって、今回は牡馬重賞級相手でも互角以上に渡り合える素質を持つ2強が相手でそれまでの重賞よりも相手が強くなることを考えれば、好走には内枠・内有利TB・展開のどれかには最低でも恵まれる必要がある。
2着以下候補。
ハーパー
3歳時点ではマスクトディーヴァ・ブレイディヴェーグの1つ下の評価だが、桜花賞・オークス・秋華賞・エリ女でと崩れなく好走してきた。
有馬記念・大阪杯はさすがに牡馬を含めたトップクラス相手では分が悪すぎたので度外視でいいが、VMの15着はゲートで暴れて出遅れ、好位を立ち回る競馬すらできず見せ場が全くなかった。
ここまで崩れると不発と片付けるにもメンタル面の可能性が否定できないので難しい扱いとなるが、本来の力ならコンクシェルやモリアーナなど同世代相手には先着し続けてきただけに1つ格上なので、まともに走れれば上位争いは可能である。
2着以下候補。
アスコルティアーモ
ほとんど崩れていない成績ではあるが、OP入りを果たしたセンテニアルパークSは少頭数でスローの行ったっきりの流れを2番手から押し切っただけなうえに着差も小さかった。
この馬自身ほとんどスローの流れを先行して抜け出す競馬しかしておらず、
続く関越Sは少し内有利TB・前が止まりにくい馬場のなか逃げるも、そこまで速いペースではなかったがあっさり後続に差されて9着と力負けをした。つまり、他の牝馬OP級の例に漏れず、ここで底を見せてしまった。
よって、先行力はあるので楽にスローで先行できれば行ったっきりの流れで粘り込む可能性はあるものの、簡単には譲らないコンクシェルの存在や、番手でもフィアスプライドやフィールシンパシーがいることを考えれば厳しい戦いになる可能性が高い。
見送り。
コンクシェル
気性的な面から被される競馬が向いていないので、逃げの手で結果を出してきた馬である。
中山牝馬Sの勝利はかなりスローペースで行ったっきりの流れに恵まれたもので、着順ほどの評価は必要なく、クイーンSの5着はそこまで速いペースではなかったが差されており力負け。
VMの13着は締まったミドルペースで全く抵抗できなかった。つまり能力的にはギリギリで、好走には楽にスローで先行する必要がある。
毎回同型であるフィールシンパシーがいるほか、アスコルティアーモもちょっかいをかけてくる可能性があること、フィアスプライドがその後ろで抜け出しを狙ってくることを考えると、単騎逃げさせてくれたときの抑えまでの評価が妥当。
3着候補。
モリアーナ
クイーンSの12着は後ろ過ぎたうえに外を回りすぎたため酌量の余地があるが、見せ場は全くなかった。
VMの7着も力負けであるが、阪神牝馬Sの3着は斤量差を考えれば2着ウンブライルと差は無いといえるので、悪くない内容だった。
また、AJCCでは牡馬と交えて差の無い競馬はできているし、秋華賞の5着もマスクトディーヴァには力負けであるが、ハーパーとは0.1差で逆転不可能なほどではない。
やや勝つだけの決め手が足りない馬ではあるが、実績はそこそこあるし阪神牝馬Sくらい走れれば好走は可能である。
3着候補。
ライラック
昨年の府中牝馬Sの3着は得意とは言えないスピード勝負でもなんとか堪えきったが、それまではG1含む混合重賞を多く使われてきたことから大幅相手弱化に恵まれた側面が強く、今年のほうがメンバーレベルは高い。
有馬記念の13着は相手が悪すぎたが、2年前のエリ女では2着、昨年のエリ女もスローからの直線勝負と不得意な展開ながら4着に好走しており、牝馬限定戦ならば古馬の中では実力上位の馬である。
VMの14着、阪神牝馬Sの10着はマイルのスピードについていけなかったもので、華奢でトップスピードや加速力に劣るこの馬にはどうにもならなかった。
前述の通りスピード勝負よりもスタミナ比べで差す馬なので、舞台的にはやや不向き、かつ2強は昨年のメンバーよりも強いことを考えると苦戦する可能性が高いが、それ以外は普段の牝馬限定重賞くらいの相手なので、昨年ほどではないが、ハイペースでズブズブな展開になったり、ロンスパ戦になるようであれば好走の可能性はある。ただ、馬場が速いので・・・
3着候補。
フィールシンパシー
VMの12着はコンクシェルともどもペースを上げてしまったので大敗。
福島牝馬Sの2着、中山牝馬Sの4着はスローペースを番手追走する展開に恵まれたものであり、メンバーレベルも低く高評価は不要である。
ターコイズSの2着も軽斤量を生かしてスローペースで逃げる展開に恵まれただけで、フィアスプライドに差されて力負けである。
よって、近走の着順こそいいがここまでの重賞はほとんど展開に恵まれてるうえに勝ちきれていないので、人気以上には毎回走るいい馬なのは事実だが、2強+過去に力負けしたフィアスプライド、コスタボニータがいる(中山牝馬Sでは先着したが、コースと位置取りと斤量の差によるものでタイム差はほとんどなかったので・・・)ことを考えると、今回は厳しい。
見送り。
ルージュリナージュ
VMの5着はG1で上がり最速としてみれば悪くはないが、有力2頭が不利などで不発したためにレースレベルが落ちて相対的に浮上しただけで、また他馬の多くが不利などを受けるなか後方ポツンで無欲の追込がハマって着拾いできた感が強い。そもそも、それでもフィアスプライドとは力負けである。
それまでの重賞では離されて大敗しており、TBや展開不向きで酌量できる余地こそあるが、能力的に足りてるか怪しいレベル。
2強が前を潰すか、前が競り合うかで追込決着となればしれっと着を拾う可能性は否定しないが、そこまで極端な展開になるとは思い難い。
抑えまでの評価。
3着候補。
シンティレーション
新潟日報賞の勝利は先行争いから離れた中団馬群の先頭集団の内をロス無く立ち回る競馬に恵まれ、直線もインベタで差したことから、終始内有利TBを生かしたものである。
また、その前の牝馬限定の3勝クラスであるパールSは伸び負けて6着に敗れたが、スピカSでは函館記念2着馬グランディアと0.3差であり、このくらい走れれば普通の牝馬限定重賞ならば通用の可能性はある。
ただし、今回は2強がおりレベルが高い1戦なので、3着争いならば加われる余地はあるものの、他に実績馬もいることを考えれば抑えまでの評価に留めるのが無難である。
3着候補。
セントカメリア
小倉記念の5着は後ろ過ぎて脚を余したものであるが、勝ち馬リフレーミングとそこまで脚に違いはなく、勝ち負けまでは厳しかった。
なお、都大路Sの3着は上がり33.1でも詰められなかったので位置取りの差と見れば悪くないし、2着に中京記念を勝ったアルナシームがいて彼と0.3差くらいならば、牝馬限定重賞では通用水準にはある。
ただし、今回の2強は少なくとも混合の別定重賞でも通用するレベルにはあるので、普通の牝馬限定重賞よりメンバーレベルが高い。彼女らに力勝負で負かすのは難しい。
包まれるのはあまり良くないタイプなので、フラットなTBで外枠やポジションに恵まれば、3着争いなら加われる可能性はある。
3着候補。
モズゴールドバレル
札幌記念の9着は相手が強すぎたので度外視でいいが、クイーンSも0.3差とはいえ8着でそこまで見せ場はなかったし、京都牝馬S、阪神牝馬S、米子Sも見せ場がなかったので、普通に考えると厳しい。
見送り。
ラリュエル
唯一そこそこ走った巴賞も前残りの展開に恵まれただけでそれでも後続に差されている。メンバーも弱かったし、福島牝馬Sでもスロー内有利TBで先行しても垂れているので、普通に考えると厳しい。
見送り。
総評
ブレイディヴェーグ・マスクトディーヴァが能力的には抜けているが、ブレイディヴェーグは復帰戦かつ古馬となっての初戦で57kgのため、こなしたことがある56kgのマスクトディーヴァがやや優勢で連軸向きか。
他は大混戦で、いつもの牝馬限定重賞のメンバー。フィアスプライド・コスタボニータ・ハーパーが実績的にはやや優勢も、ちょっとしたことで着順が入れ替わるくらいの能力差しかない。
馬券はTBや枠順を考慮したうえで慎重に検討する必要があるだろう。
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