札幌2歳S 小倉2歳S 新潟記念 振り返り
札幌2歳S
TB・展開
TBはフラット。最終週で洋芝の重馬場なのもあり時計は掛かった。ただし、昨年ほどの水準ではなく(というか昨年の芝が傷みまくってたので酷すぎた)、道悪適性の重要度はそこまで高くはなさそうだった。
3F 36.3-37.2、4F48.8-49.4(5F61.0)と全体的に掛かっており、ペースも教育的な観点から折り合い重視のスローになりやすい2歳戦にしては流れたといえそう。ペースアップ区間がなかったため、それだけ脚が溜まる流れではなかったということで、マラソンの持久力勝負のようなタフな戦いの地力勝負となった。こういう削り合いのレースは個人的には価値が高いと思っている。
3,4着で決定的な差がついており、上位3頭のレベルは高そう。東京のスピード勝負も対応出来れば今後のクラシックで楽しみな素材たちだ。
マジックサンズ
中団外を悠々と進め、手応え良く徐々に進出。
大外を回りつつも捲り切るところで直線入口で先頭に立ちかけたが、内から抜け出したアルマヴェローチェに先に抜け出されて追い比べの流れとなり、最後の最後で一伸びした。
TBフラットとはいえ、内容としては距離ロスの多い立ち回り、かつ自ら勝ちに動く競馬で着差以上に力を見せた。
スタミナ比べも問題なさそうだし、キレが出せるところを今後東京などで見せてくれれば非常にクラシックが楽しみな一頭。
アルマヴェローチェ
中団の内で脚を溜め、道中若干展開に乗り切れず位置を落としてしまったものの、3,4角は上手く前を交わしてロス無く立ち回る競馬に成功。一時は先頭に立ったものの、最後の最後にマジックサンズに捕まった。
タイム差なしではあるが、マジックサンズの方がロスも大きい内容だったので、おそらく力としてはもう少し差があった可能性が高い。
しかし、牝馬の身ながらこのようなタフな追い比べで根負けしなかったのは評価したい。
今後に注目。
ファイアンクランツ
スタートで若干後手を踏んで無理せず後方2番手でポツン。気分良く運んで力を出し切るポジションは取れていた。
マジックサンズに続いて外からマクって進出したものの、位置取りの差で届かなかった。
0.2差なので大きな力差があるわけではないが、楽なポジションであったことは事実なので、マジックサンズより若干下、アルマヴェローチェと互角くらいの評価でいいのではないか。
モンドデラモーレ
東京1800の王道路線からデビューしただけに力は出したが、3着と0.6差と大きく離されてしまった。今のところはやや力不足か。
近年は札幌デビュー組もレベルが上がってきており、関東なら東京(中山は紛れが多いので、王道の2000以外は微妙)、関西なら阪神・京都外回り、夏にデビューするなら新潟外回りか札幌という構図が出来つつある。
東京で勝ってきたのは事実も、それだけで能力の差は図れないので、固執してはいけないといういい材料だったのでは。
小倉2歳S
TB・展開
TBはフラット。前日の不良馬場の影響でかなり内が傷んで外へ持ち出す馬が増えた。日曜には徐々に乾いて時計水準が回復。高速ではないが標準~若干掛かってるくらいまでに落ち着き、重馬場とはいえそこまで道悪適性の重要度は高くなさそうに見えた。
3F34.5-34.5で綺麗なイーブンペース。中京自体スピードが出やすいコースであることも踏まえると、時計がやや掛かっているとはいえスプリントとしてはややスロー。能力の問題もあるがほぼ行ったっきりの流れとなっている。
後方でまともな上がりが出せているのがそもそも6着馬しかいないので、基本的には着差も少ない1~3着馬が上と見ればいい。
レベルは毎回この時期の2歳スプリント重賞はレベルが低い(クラシック路線を見据えていないことがほとんどの馬だらけ)ので、控えめな目線で考えている。
エイシンワンド
スタートから楽に3番手外目につけ、被されたり併せられたりすることもなく、3角では単騎になりノンストレスの競馬が叶った。
ペースも速くなく馬場のいい外に楽に持ち出して抜け出しての勝ち切り。
評価は難しいが、基本的にはあまり強くないのでは?という見方。
クラスペディア
新馬戦はエイシンワンドの2着だが、今回も彼の2着に。未勝利馬ながら賞金加算し、ひとまず1勝馬と同じ扱いに。
エイシンワンドの後ろを追走し、直線は外に持ち出して追い上げたというもので、ほぼ位置取りの差でしかない。
今回の内容だけなら大きな差はなく、逆転可能に思える。
アーリントンロウ
4角からエイシンワンドの外を回って追い上げるが脚色が同じでクラスペディアに差された。
力負けにも見えるが、外を回り過ぎた感もあるのでそこまで差はなさそうにも見える。
今後の巻き返し次第。
レイピア
逃げたこの馬が4着、その一列後ろが1.2.3着なので、そこまで速くないペースで逃げた結果、という感じに見える。
前残りに恵まれた可能性が高そう。あるいは、差しに回った馬がみんな弱かったのか。
新潟記念
最終印
TB・展開
TB自体はフラットだが、内を空ける進路取りが目立ち始め、直線では横一線となるケースが多かった。
しかし、今季の新潟はほとんど道悪にならず、馬場の傷みもほどほどで収まっていたので、大外に持ち出して差しに行っても距離ロスの影響で不発するケースも目立った。時計水準も標準~やや速め。
つまり、騎手心理的に馬場のいい外に持ち出すが、見た目より内も使えるので逆に外を回すほど不利になる特殊なTBになっていたと言える。
3F35.4-35.0、5F 58.9-59.1と見た目はミドルペースだが、かなりの縦長で1,2,3番手がポツン。TB、展開から前残りの流れとなった。
2番手シンリョクカで5F 59.6、3番手ゴールドプリンセスで5F 60.3、4番手(それ以外の馬群の先頭)バラジで5F 60.6くらいなので、有力だった差し馬キングズパレスやレッドラディエンスにとっては前のリードを大きく許しすぎたうえに外を回る事態になったので、苦しい競馬を余儀なくされてしまった、と見るのが妥当なところ。
シンリョクカ
逃げ馬の離れた番手をポツンと追走。よく記事でも書いている「ゴールデンポジション」を確保。彼女のポジションなら59.6-58.4くらいで十分スローペースを確保できていたし、ロスのない競馬も楽に成立。
何もかもが恵まれたと見るのが妥当で、評価すべきは差したセレシオン、キングズパレス、レッドラディエンス。彼らはこのレースで数少ない重賞級の評価であったため、能力的に足りないこの馬やゴールドプリンセスが上位に来たという事実からも前残りのTB・展開だったと結論付けるべきである。
つまり、高評価に値しない。むしろ今後さらにハンデを背負うので牝馬限定でも苦しくなる可能性のほうが高い。今回買えた人は最後の買い時になるのかもしれない。
セレシオン
出遅れて後方から。直線まで内でロス無く立ち回ったとはいえ、上がり32.8でハナ差まで追い詰めたのは高く評価する必要がある。キングズパレスでさえ上がり33.4。脚力だけなら目を見張るものがある。
今後の重賞でも期待が持てる一頭。実力は重賞級にあると言っていい。
キングズパレス
いつも通り後方から。3.4角から外に出して早めに追い出しを始めたが、距離ロスや早仕掛けのぶんかラスト1Fを過ぎたあたりで差し切る寸前まで来て脚が止まってしまった。(ソラを使う癖もあるみたいだが…)
TB・展開的にも今回は恵まれなかったものであり、それでも57kgで0.2差なら悲観する内容ではない。
堅実に追い込めてるのは高評価。
ゴールドプリンセス
シンリョクカの後ろ3番手ポツンでロスなく運んで…とこの馬もあらゆる面で恵まれた。それで4着なので実力不足。前残り展開だったといえる根拠になり得る馬である。
レッドラディエンス
キングズパレスの後ろから外を回って追い込んだが、結果的にこの馬も恵まれず差し届かなかった。
しかし、58.5kgで上がり33.4を使って0.3差、1.5kg差のキングズパレスと0.2差、2.5kg差のセレシオンと0.3差なら悲観する内容でもなく負けて強しと言えるだろう。
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