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ベルリンの楽器博物館にて悪魔の楽器に出会う

音楽学大学院生の週一アウトプット*33



先日、同じ研究室の先輩に会いに、ベルリンへ訪れた。短い滞在期間だったけれど、たくさんの刺激があり、やはり気になったところには行ってみるべきだと改めて感じることのできた良い訪問だった。

さて、私がベルリンに行ったのは先輩がいたからということと同じくらいもう一つ大きな理由があった。楽器博物館である。

ベルリンは博物館が充実していて、私が大学学部時代に学芸員の資格を取るために博物館学というものを勉強した際にも、博物館における分類法の特徴をベルリンの博物館をモデルに学んだくらいに、世界的にも博物館都市の一つとして注目されているのである。

同時に「音楽学」というジャンルにおいてベルリンの楽器博物館はとても重要な位置を占める。というもの、音楽学というジャンルを学問として注目し始めた時代の中心的機関の一つだったのである。

私としては、ここは何としてでもここはみておきたいという施設の一つだったので、今回の旅の最優先事項だった。ということで、念願叶ってやっと訪問してきたのだ。そのため、書こうと思えばダラダラと永遠と文章を連ねていけそうだが、この場は定期的なアウトプットを目的としているので、今日は内容を一つに絞ろうと思う。

それは、悪魔の楽器と呼ばれる「グラス・ハーモニカ」について。これは、私が実物を見てみたかった楽器Top.3に入っていた楽器である。こちらがその写真。

Musikinstrumenten-Museumにて。2023年9月13日撮影。

アルモニカ(通称グラスハーモニカ)は、1761年にアメリカ人のベンジャミン・フランクリンが発明した楽器で、複数のガラスでできたお椀のようなものを棒に刺して横たえて回転させたものに、水で濡れた指で触れることで音を出す。音はオルガンに似ている。とても綺麗な音が鳴り、モーツァルトをはじめ、サン=サーンス、ベートーヴェンなど多くの作曲家がこの楽器のための曲を残してきた。

では、なぜ「悪魔の楽器」とも呼ばれるのか。それは、結論から言うと風評被害による現象だ。この楽器の演奏者の多くが神経障害や精神病、体調不良を訴え、実際にそのまま亡くなった方もいたそうだ。そして、演奏会場で演奏会中に観客の一人が死亡した事件もあったようで、その後ドイツの警察によってこの楽器の演奏を禁止されたのである。そんな中、噂はその本領を発揮し、話を大きく膨れ上がらせ、悪いことが起きたらこの楽器のせいだと人々が思うまでになったのである。実際のところはさておき、人々の間で話されたこの楽器の「美しい音色だがそれをきくと死に至らしめられるかもしれない」という性質は、悪魔の楽器というのに十分な恐怖感をもたらしているだろう。

こちらにMozartの作品を演奏したYouTubeを一つ紹介しておく。聴き続けない限りは特に弊害もないはずなので、聴いたことない方はぜひチェックしてみてほしい。

この楽器の演奏場の最大の特徴は、「水を使う」というところである。だからこそこんなにも神秘的な音が鳴らせるわけだが、同時にいかにデリケートな楽器か演奏者でなくとも想像できる。

なかなか生の演奏にはありつけない楽器の一つである。いつか私もこの楽器の演奏を直接みてみたいものだ。

FALL


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