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日頃から都会的な暮らしに憧れて、田舎的な物や事を忌避している。若輩者の青臭い自意識に端を発した下らない戯言だと言われればそうだが、おれは港区OLを馬鹿にできないし、永遠に勝つこともできない。
なにもおれは、自然と調和した、丁寧で木に囲まれた温かみのある生活をイメージしているわけではない。そんなアホくさいことではない。そもそもそんな暮らし二週間弱で飽きるからな、マリファナ庭園を作れるくらいしかメリットないし。田舎的な「もの」や「こと」というのは、抽象的になってしまうが、「地元感」である。そりゃあ生まれも育ちも東京ならば都会っ子だけど、多くの人間は首都圏のベッドタウンや変な駅名のついた変な町で生まれ、育つ。往々にして感じる洗練されていない雰囲気におれは、鼻をつまみたくなるのかもしれない。休日には国道沿いのラーメン屋やドンキにスウェットで繰り出し、娯楽といえば唯一、パチンコや隣町のきったない風俗やキャバクラ。お気に入りのマイカーで粋がる退廃的な精神に、パルシステムでトラックを転がす女を取り合うような根性、繰り返していく毎日。進まない日常。情報が止まっている、もしくは断絶しているのだ。おれはそういうのが嫌だから、早く地元から出たいと感じるのかもしれない。とりわけ、おれの地元は朝鮮労働者流入に際して出来たような町なので独特の、そういう、「臭い」みたいなのはあると思う。
それに比べて東京はかなり良いと思う。「情報を観光する場所」とはよく言った言葉で、日本全国から人や文化が結集している。なんでもあるし、大抵のことはやろうと思えばできる。おれは、大衆に迎合したコンテンツを批判する癖に、流行というものに目がないのかもしれない。流行はいつも都会的な思考からしか作られない。洗練されていなければ多くの人は呼び込めない、と思う。海外に住めばもっとスゴイだろうけど、それはかなりハードルが高いので自分にはできないなと感じる。とにかく今は、都内の洒脱なオフィスで、カジュアルな服装で働き、そこそこの1Kに住み、鈴村あいりのペットとして生きていきたいのだ。
それでは今日の一押しソングです。大学でダダイズムをかじり、絶対ドイツとかフランスあたりに「キャバレーヴォルテール」って名前のバンドあるだろ、と思ったら本当にイギリスにありました。そして普通にエレクトロ風味のポストパンクで好きです。