宇宙戦艦ヤマト2202 第7章 感想(ネタバレあり)

 ついさっき劇場で第7章を観てきたので雑感をまとめておきたい。突然noteにまとめた理由は、ツイッターに書くとネタバレになるためその防止目的が一つ、それからとりあえずnoteに何か書きたかったからというのが一つ。

 良い点と悪い点を覚えているだけそれぞれ挙げて、良い点はひたすら褒め、悪い点は自分ならこうするという案を書きつつディスる。私はヤマト2202を第7章を含め一通りしか観ていないため、多くの見落としや勘違いがあると思われる。何らかの方法でご指摘頂ければと思う。雑多なメモ書き程度に読んで欲しい。加筆訂正は適当にやる。

1.悪かった点

1.1.進行が早すぎる(セリフが弱すぎる)
個人的に一番深刻な問題。ダイジェスト版かってくらいに場面が切り替わる。例を挙げるときりが無いが、ミルの心境変化→和平の可能性→ミル死亡までの流れが超特急すぎて重みが無い、「 ねえ、ヤマトはどうしたの?」のセリフまでが早く絶望感が薄い、「半年後」、といった具合だ。このnoteで頻出する「よく分からない」の多くは、この問題が原因になっていると思われる。7章だけでなく全体に言えることで、登場人物のセリフが説明くさく長ったらしいことを根本から変えないといけない。セリフで全て説明しようとするのはJRPGあるあるだが、アニメには別の表現方法があるだろう。

盛り込んだテーマが多すぎることが問題なのだろうか。非常に断片的な作品になっており、物語の流れが見えないまま消化不良で終わってしまった。いくつかのテーマはバッサリ切り落として、メカを動かすシーケンスにでも使った方が盛り上がったかも。

2020/5/10追記:DVDを観て分かったが、半年後は話の継ぎ目だった。
テレサも、雪も、真田さんも基本的に何を言っているのかよく分からない。モノローグ紙芝居ダイジェストは観ていてきつかった。

1.2.総じてガトランティスの扱いがよく分からない
4章のゴーランドとノルは非常に人間らしい感情を持っており、ガトランティスの人間性を今後どう説明するのか気になっていた。しかし結局よく分からなかった。7章でミルの死はガイレーンと桂木に大きな衝撃を与えていたが、ズォーダーの心境はガイレーンの死まで動かなかったように見える(桂木の死もあっさり)。ゴレムを起動したズォーダーの心境が自身を人間と認めた敗北感なのか、単なる自暴自棄なのか、結局よく分からない。物語の設定からは自暴自棄に見えるけど(そもそも愛を憎むってこと自体が自暴自棄に思えるけど)、このズォーダーは「悪」としては中途半端かな。もしズォーダーが再び愛に目覚めたとしても、それでは殺された桂木が報われない(ダブルバインド)。ゴレム起動で一人になったズォーダーの孤独をもっと描写して良かったし、プログラムで人がサクッと死ぬことの恐ろしさを描写しても良かったのでは?結局ガトランティスは人間じゃなかったのか。それならバタバタ死んでも軽く流せるわな。それゆえゴレム起動によるガトランティス滅亡にも重みが無い。最後ウジウジしていた古代は何に責任を感じていたのだろう?大勢のガトランティスの死だろうか?その責任感は動機が弱い気がする。

2020/5/10追記:DVDを観たが、大帝はゴレム起動で死ぬつもりだったように見えるし、敗北宣言っぽい?しかし復讐心は折れていなかった?
桂木に「我が子を2度も殺されたのだぞ!」と、ガトランティスのくせに家族愛に溢れたようなことを言っていたが、1000年で2回、しかも片方は不慮の事故だ。なんて器の小さい男(?)だろうか。大帝は最後までアホで間抜けで卑怯で頑固で器の小さい男(?)だった。ウジウジしてるのは古代も大帝も同じ。


1.3.森雪がかわいそう
森雪はヤマト2199で銃弾の雨を浴びて一度死亡している。そこをコスモリバースの力でもって「さらば」のオマージュ的に復活を果たす。流石に同じ表現を二度は使えないので(?)ヤマト2202で森雪が死ぬ描写は無かった。その代わり、3章で身投げして、6章で瓦礫に潰され、7章で古代をかばって撃たれる。一方でこれら森雪の自己犠牲に深みが感じられない。何で彼女だけこんなに痛まなきゃいけないの?という疑問ばかり募る。古代君は全く痛まない。彼は悩むだけ。
自分なら古代が森雪のために傷を負う描写を入れる。記憶喪失で別人になっても古代は森雪のために自分を投げ出す覚悟があるはず。それが愛でしょ。

2020/5/10追記:森雪が最後まで一緒に行くシーンも「何故?」という考えがよぎる。森雪は記憶を失っても自己犠牲の化身だ。

1.4.キーマン特攻の動機がよく分からない
キーマンはガミラスの要人で、ガミラスの未来を担う責のある人物のはず。魅力的なキャラだったのでカッコイイ死に方をするだろうと予想していたが裏切られてしまった。ヤマトに思い入れがあったとしても(ヤマト式敬礼をするくらい)、特攻志願には説明不足。死亡フラグの立った地球人が行くべきだし、キーマンが死に場所を求める動機を強化して欲しかった。オマージュのセリフを言わせるために殺された感が拭えない。端的に言って彼の死に納得できない。
キーマンは愛というより使命のために死ぬべきで、やはりどこかでデスラーとガトランティスの決別を描いて、デスラーのために死ぬって感じにすると良かったかも。キーマンは山本が気になったり桂木をかばったりでよく分からないけど、やはりデスラーでしょ(ホモォ

自分ならキーマンの代わりに「死亡フラグが立っており、死に場所を探しており、汚名返上を望んでいる地球人」に特攻させる。そんな戦闘機乗りがいたよね?流れ弾でサクッと死んだような気もするが・・・。

2020/5/10追記:一度見直したが、やはりデスラーとは決別していたが特攻するまでの動機は弱い。バレル大使から「居場所を見つけた」みたいに言われてたけど、少し大雑把過ぎないか?

1.5.桂木透子をあっさり殺しすぎ
唯一のゼムリア人(純粋体)であり、大帝(夫)、ミル(事実上の息子)を愛したキーパーソン。個人的にヤマト2202で最も愛の深い人物は桂木透子だと思っている。また肉弾戦で山本や永倉を圧倒する強さや、尋問する古代を逆に精神的に揺さぶる狡猾さも魅力的なキャラクターだ。しかし大帝にあっさり殺されてしまった。希望の絶たれるシーンとしては良かったけど、残念すぎる。大帝と決別するならちゃんと描写して欲しい。桂木は頑張ったけど、結局彼女の愛は届きませんでした(薄味)。ってこんな結末、認められるかよぉ!(バーガー風に)

桂木にはズォーダーをぶん殴って欲しかった。ぶん殴って思いを一気に吐露して、涙を流して、決別して、納得してから死ぬべき。
自分なら「違う!断じて違う!」「お前は間違っている!」の台詞は桂木に言わせる。そして大帝とガトランティスに対する「愛のために」最後まで戦わせる。「愛の戦士」になれるとしたら桂木しかいなかった。ニードルスレイブで貫かれても簡単に即死にせず、命ある限りヤマトを操って戦い、残酷なまでにボロボロにして血の海の中で満足しながら戦死という形にする。「私の戦いは終わったのだ」というセリフを少し改変して桂木に言わせても良かった。これを言えるのは愛の戦士のみ。
まあこれは私の妄想に過ぎませんですわ。劇的な死が欲しくなるのは旧作を観ている人の悪い癖(?)だと思うけど、今作は全体的にあっさりとした死が多いよね。戦いに信念が無く、その場の流れで戦い、そして雰囲気で死んでいく。

1.6.デスラーに名言がない
今作でデスラーがヤマトを狙う理由は、ガミラスの移住先を見つける使命のためなのだが、デスラーの行動に他責感が見えてしまう。5章くらいでテレサを手に入れ大帝と交渉しようとするくらいの反抗心は持っているが、運命というか他者の意思に逆らえない人という印象(そういう設定だから仕方ないけど)。7章に期待していた古代との決闘は無く、ヤマトを狙う実利が無くなるとあっさりヤマトに味方するデスラーはあまり好きではない。山ちゃんに「……お前の恋人か?許せ古代。」「私の戦いは終わったのだ」「古代、戦え!」このあたり、言って欲しかった。(こうして見ても旧作のセリフのパワーは凄い。)

1.7.愛がよく分からない
森雪は1.3.でも述べたように古代をかばって撃たれる。しかし、森雪は6章で瓦礫に押しつぶされた際に記憶を失っている。「あなた、誰?」という間柄の人をかばうのが愛なのか?よく分からない。
ずっと大帝を思い続けた桂木の愛は軽く流されて(大帝は桂木を心から愛しているようには見えなかったけど)、最後は記憶喪失であなたのことは分からないけど愛しているって感じで奇跡が起きて特攻。よく分からない。
2199で森雪はセレステラをかばって撃たれている。彼女の愛は特定個人に向けたものというより普遍的だ。古代への愛と混ぜると行動原理が分かりにくくなる。やはり記憶喪失は悪手だったか。「記憶を失っても愛している」というのは分かりにくくこそあれ、強くはないんだよ。自分なら記憶喪失などという余計なことはしない。

1.8.芹沢のセリフがよく分からない
芹沢の「君たちが羨ましい」というセリフはどういう意味なのだろうか。芹沢の表情はいつものしかめっ面ではなく本心が漏れてしまったといった感じだ。真田をはじめとしたヤマトクルーが立場に縛られず本心から行動していることを羨ましいと言ったのか。本心から演説したのでなければ最後の涙は何か。実はあれは嘘泣きで、最後まで立場を全うしているということだろうか。セリフで全部説明する場合との差が大きく、よく分からない。
嘘泣きっぽくするか、ヤマトを敬礼で見送るくらいにすれば、初期の山南くらいの立ち位置になりそう?

2020/5/10追記:どうやらこれは嬉し泣きらしい?立場を守りつつ情に厚い人間だということらしい。

2.良かった点

2.1.早くもサーシャ大活躍(?)
サーシャ!サーシャ!サーシャ!
未来に繋がったよ!ヤマト2202を完結させてくれて本当にありがとう!
無限に近いエネルギーが必要とされる高次元空間に単独で干渉してくるなんて、サーシャ強すぎません?
と思ったけど、ツイッターで感想を見る限りでは、これ美雪らしい?やはりよく分からない

2020/5/10追記:時間軸を考えればサーシャはすでに産まれてるわな。

2.2.ストーリーは良く考えられていた
滅びの箱舟への特攻から生還までの流れと時間断層の処理を上手くやってくれた。良いアイデア。まっさらな状態で次に繋がりそう。

2.3.桂木は良いキャラになった
前章までは滅茶苦茶に強くて賢いキャラだったけど、ここにきて母親属性が強化され、愛のステータスがカンストする。ミルを失って落ち込む桂木は、強い女がふと見せる弱さ的な不思議な魅力があった。

2020/5/10追記:桂木は肉弾戦・精神戦に長けており、博愛精神・医学知識が豊富な妖艶美女で、元敵のNo.2、ゼムリア人最後の生き残りである(属性完璧か!)。失ったことは非常に惜しいが、「サーベラーがヤマトと一体化して大帝に挑んだ」という事実はワクワクする。あまり望みすぎるのも良く無いか。
おそらく将来はサーダも良い女として描かれるだろう。期待している。

3.まとめ

ヤマト旧作はストーリーがガバガバだけど音楽・セリフ・演出で名作になっている印象で、今作は逆にセリフ・演出・音楽(主に使い方)がガバガバといった感じ。部分的にはg計画や生殖能力の描写は西﨑Pらしさが出ていて良かった。「命」ってのもヤマトのテーマで、生殖を扱うことは彼の命に対する哲学に近い気がした。名作…ではないだろうな。でもとにかくよく完結させてくれたという思いが強い。
続編も是非作って欲しい。ただ絵コンテと演出は改善してくれよな。

2020/5/10追記:DVDを観直した感想だが、やはり「よく完結させてくれた」という思いが大きい。作品のテーマである愛とか人間とかは何を言いたいのか分からなかったし不満点は無数にある。しかしキャラクターのドラマは色々と楽しめたのは確かだ。7章の雑感に書くことではないが、1章と2章は本当に良かった。
2205新たなる旅立ちも楽しみにしている。

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