「宗教上の理由」について―法的観点と宗教学・社会学的観点から
「宗教上の理由」を口実にすれば、様々な面倒事を拒否できるという言説が、まことしやかに流布されている。しかしこれは、大きな誤解に基づく流言であり、また宗教に対する誤った偏見を増長させるものである。
法的観点から この言説が念頭に置いているのは、おそらく「神戸高専剣道実技拒否事件」(最判平成8年3月8日民集50巻3号469頁)であろう。「エホバの証人」の信徒であった公立学校の学生が、必修であった剣道実技を、教義に基づき受講拒否したところ、単位不認定となり留年・退学となった。そ