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富士山は遠きにありて思ふもの?

大人になって登山に目覚めて3年目。最初の2年は季節に1回、登るかどうかくらいのペースだったけど、今年は15回。ほぼ毎月どこかの山に登っていた計算になる。はるか昔、私が小学生の頃、学校裏山の山登りかマラソンが朝の日課だった。夏休みに親子登山で立山と御嶽山に登ったのが最初の登山暦だ。とはいえ数十年のブランクを経て、今年こんなにも登山に夢中になったのはなぜかを振り返ってみようと思う。

職場の同僚が富士登山に誘ってくれたのは春先のこと。富士山は開山期間が7月〜9月初旬と限られていて、様々な条件の中から開山直後の7月2日に登ると決めた。

冬の終わりにこれ以上落ちることはないだろうという奈落の底に落っこちたけど、あとは上を見て這い上がるだけ。そう信じて苦境に立ち向かう中、訪れた富士登山のお誘い。奈落の底から、富士山の頂を目指すことに。

普段低山しか登ったことのなかった私は、富士登山がどういうものか徹底的に調べて予習した。装備の準備、トレーニング登山、高山病にならないための呼吸法やウォーターローディング、当日の体力維持のためのカーボローディングまで出来る限りの準備を整えて当日に備えた。

今年は開山前から富士登山がよくニュースになっていた。軽装・弾丸登山、通行料徴収、火口での遭難者の発見…。開山日の7月1日は強風のため5合目まで行く富士スバルラインが一時通行止めになった。いつもはソロで登るので、天候が安定した条件のいいときしか登らないことにしている。でも今回は同僚と元同僚の3人で日を合わせて予定しているので、行くかどうかの判断をせまられるほど天候が不安定だった。7月とはいえ富士登山は天気次第で遭難の危険性もあるため、迷った末にとりあえず5合目まで行って、状況次第では山頂を目指さないことに決めて出発。

5合目に着いて車内で仮眠を取る間、ずっと雨が降っていた。気持ちは沈んだまま、明るくなり始めて4:30頃レインウェアを着て歩き出す。あらかじめ予約して通行料は払ってあるのでリストバンドを受け取った頃、思いもかけない光景が…!

富士山のご来光は、山頂でなくても見られる

日帰り登山なのでご来光とか考えていなかったけど、5合目出発前にドンピシャのタイミングで出くわす。しかも雨が止んで、雲海が美しい。普段の心がけのおかげか。神さまはホントにいるのかもしれない、と浮かれながら登っていく。開山直後なのに思ったほど混み合っておらず、お天気は奇跡的に回復し、無事に登頂することができた。火口を周るお鉢巡りはまだ開通していなかったので、次回の楽しみに。

南アルプスの女王、仙丈ヶ岳より望む
日本三高山(富士山、北岳、間ノ岳)

こうして私の登山熱は一気に急上昇し、3,000メートル級の山に登れたことが自信となって次に目指す山のことばかり考えるようになったのだった。富士山は登っているときは当然、あの美しい佇まいは見られないのだけれど、遠くから見たときにあの山頂に立ったんだなぁ、と思えるのは何とも感慨深いものがある。

来年は巳年。年女なので蛇の名のつく近くの山の山頂で初日の出を見る予定を立てている🌅

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