見出し画像

【一般・同業】テーピングについて(基礎入門編)

 スポーツの現場では日常的に使うのがテーピング。本来は日常的に使わないようにしてあげるのが、トレーナーであり施術者ですがそうは言っても現実的には困難です。急性期や回復期によって、又はいわゆる違和感でと様々に場面に登場します。

 私も講習会の講師を依頼されることもありますが、テーピング講習会が付属している事が多いです。その中で説明をして指導していく際に意外と失念しがちという事があるので、それをご紹介したいと思います。

テーピングの種類(用途による)

 テーピングと一口に言っても、前回の電療ではないですが本当に様々あります。しかし、大別すると単純に2種類。

1:非伸縮型→ホワイトテープ

 かける負荷の強さにより変形する疑似伸縮がありますが、基本的には伸びません。主に関節の固定に使用され、綺麗に巻けた時は嬉しいというのは施術者あるあるだと思います。柔整師が使用する綿包帯と同様に、身体の線にそってテーピングが走るため、上手く巻くにはそれなりの技術を要します。メリットは固定力ですが、デメリットとして動いて欲しいところまで動かなくなる。当院では『バトルウィン』の38mmと50mmを常備しています。

2:伸縮型→キネシオテープ、KTテープ

 ホワイトとは違って伸び縮みするのが伸縮型です。テーピングの走行を術者がコントロール出来るため、素人でも扱いやすいです。メリットとしては関節の動きを妨げないであり、デメリットとしては固定力が低い点でしょう。一般的には筋や関節のサポートに使用されます。当院では色々試しましたが4年前くらいから『竹虎 ワーデル』オンリーです。25mm、38mm、50mm、75mmを常備して使用しています。


テーピングにもある伸張率

 周りの同業者も「あまり気にしたことない」や「効かないよね」とザックリした感覚の方もいますが、テーピングには伸張率があります。これは伸縮型を使用する場合本当に気を付けないと貼るだけ無駄になってしまいますが、ようは元の長さからどの程度伸びるのかです。『固定力』を考えてもいいと思います。伸張率180%の商品は10cmが18cmまで伸びることになりますが、約倍まで伸びたら体感としては柔らかいとなります。固定目的で関節に巻いたら、「えっ ?」となるのは当たり前なのです。当院に来院する学生も、トレーナーに巻いてもらったけど効かないと文句を言ってますが、チョイスを間違うとこうなりますのでご注意を。私がワーデルを使用するのは、他の商品に比べ伸張率が低いからなのです。


すぐに剥がれる原因

 試合や練習中に汗などをかくとテーピングが剥がれてくる時があります。又、時間の経過により粘着率が落ちてくるとやはり剥がれてきます。近年は、水泳など水中競技でも使用できる撥水性の高い商品も出ていますが、極力濡らさないがやはり正解だと思います。濡れることで糊が粘着力を失うのは当然ですし、これがテーピング能力の低下につながるのは普通に考えても当然です。しかし、巻く人によっては「剥がれやすい」人もいると思います。テーピングを貼る際には気を付けるべきポイントがあります。

1:粘着面を極力触らない

 当たり前なのですが、夏に大会の現場に行った際にトレーナーがハムストのテーピングをしていたのですが、同じテーピングを使用し何度も貼ったり剥がしたり調整していました。人の身体には汗の他に油分というテーピングの天敵もいるので、巻く位置を決めたら一発で巻くスキルは必要でしょう。日々の練習ですね。貼る際にも持つ位置はなるべく粘着面を触らないように気を付けましょう。これだけでも剥がれにくくなります。

2:貼るスタートとゴールは引っ張らない

 講習会でも知らない人が意外といますが、テーピングの全面を引っ張らないのがポイントです。

画像1

 伸縮型テープには裏に紙がついており、そこにマス(目盛)があり長さの目安にすることができます。貼るスタートの約1マスとゴールの1マスはそのまま貼り、中央の3マスにテンションをかけていきます。運動時にテーピングが伸張されその負荷はテーピング両側にきます。この際に両側の伸張率が限界だった場合、それを超えてしまうために剥がれてしまいます。

貼る肢位も重要

 ニュートラルポジションで貼るのか、それとも変位させて貼るのか。ケガの程度や痛み(違和感)の程度により関節の角度を調整します。いつでもニュートラルがいいというわけではないので、患者(選手)のコンディションを常に気にしておく必要があります。柔整師なら分かる、骨折・脱臼の整復肢位ですが、テーピングも必要です。関節であれば屈曲・伸展、筋であれば収縮・伸張(弛緩)を考慮し、テーピングの最大負荷時にどの程度の圧がかかるのか見極めが大切です。


テーピングの効果時間

 実はテーピングにも効果の目安があるのを知っていますか ? 資料を添付できるといいのですが、許可が下りなかったので(簡単に書く事は了承)簡単に説明しますと、1試合(練習)もしくは2~3時間の試合(練習)でテーピングによる関節固定力は65~80%減衰する調査結果もあります。試合前に朝巻いて1日そのままでは効果がなくなっており、巻いているから大丈夫な気がするなのです。大会や長時間の練習においては、巻き直しは基本中の基本だということがわかると思います。私が一番多かった時で大会期間中、1日で一人の選手につき5回巻きました。バレーボールでテーピングを必要な選手が8人いたので、5回×8人=40回を1日で巻きました。よくやったな自分。時間ついでですが、ケガの程度にもよりますが、普通程度ならテーピングは1~3分以内に巻き終わります。大会の朝に、14人を30分で巻いたのは疲れた思い出ですwww

テーピングの正解って・・・

 テーピングを巻けば巻くほど疑問が募り、ついに3年前に達した境地があります。それは、『テーピングに答えは選手自身しかもっていない』という事です。スポーツの現場でよくあるのが、術者(トレーナー等)が言う「これで大丈夫」です。選手を安心させる為にかける言葉としてはいいと思いますし、選手が大丈夫と言っているなら大丈夫だと思いますが、術者が押し付けている場合が多々あります。選手とトレーナーの関係で、言えない選手が本当に多いと感じています。信頼関係がないと一言で言えばそれまでですが、いくら綺麗に資料や本のように巻いても、選手が違和感があるならそれは不正解なのです。

 目的のための機能が備わっているなら巻き方はどうでもいいが正解だと思っています。JSPO-ATにはテーピングの実技試験あるようですが、綺麗に早く巻くという事が求められているようです。綺麗にも重要ですが目を向けるべきは選手の要望であり、綺麗に巻くから高機能ではないのです。答えが本や資料にあるのではなく、それはあくまでも参考であり独自の研鑽なくして選手をサポートすることは困難でしょう

 柔整師が使う綿包帯は綺麗に巻くことが機能の向上に繋がることは理解できますが、テーピングと包帯固定は似て非なるものであると考えています。包帯のスキルを使ってテーピングを巻くことも良くありますが、テーピングを理解する事が重要です。


後記:テーピングも良く使う道具ですよね。1ヶ月で70本使ったときは忙しくて死にそうになりました。テーピングの具体的な巻き方も要望あればやろうかと考えています。一番気になったのは、選手がテーピングの要望や調整をお願いすると怒られると思っていたことです。私が入る現場では、むしろドンドン遠慮しないで言ってと言っているのですが、怒られるって違いますよね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?