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【一般】青用紙へのサインの理由は:新聞記事「施術の現場より9」

  接(整)骨院で外傷に対する施術を受ける際に必要なものが、保険証と青用紙への自署である。国民皆保険制度をとるわが国で保険証を持たないことは基本的にないため、改めて説明はしない。しかし、患者自身の自署が必要な青用紙は何のためにあるのか知る人は少ないと思う。あの用紙の正式名称は、「施術療養費支給申請書」や「受領委任」と呼ばれ、健康保険を適用した際に各健康保険組合に療養費を請求する書類である。

 自署は、施術を受けた患者本人が「間違いない」と証明したことを意味しているが、その他にもう一つの意味合いがある。接(整)骨院にかかった療養費は基本的には患者自身が手続しなくてはならないが、患者の利便性を考慮し接(整)骨院がそれを代行しているに過ぎない。この書類手続きの代行を依頼した証明である。これは厚生労働省が認めているルールであるため、特別問題はないが運用する上での規定は存在する。自署は特別な理由がない場合は患者本人である。この特別とは、字が書けない乳幼児や利き手をケガしたなどであり、遠方だから、視力が悪い、字が綺麗ではないなどは理由にならない。健康保険組合から療養費利用のお知らせは届いているのに、自署したことのない方はいないと思うが、もう一度ご自身の状況をご確認頂きたい。

 保険適用外の施術に対しては自署のなどは関係ないため、この書類に自署している場合は保険請求が行われている。保険請求しないのに、取り合えず自署を貰ったという話はない。柔道整復師は患者の「痛い」という訴えに対し、患者本人から聞き取りを行ったり、徒手検査(手で触ったり、関節を動かしたりして確認する検査)などにより、それが外傷なのか違うのか、言い方を変えれば保険が適用になるのかならないのか判断する。「とりあえず自署」がないのはそのためである。接(整)骨院での受領委任はあくまでも柔道整復師の処置に対してであり他業種の施術を接(整)骨院で受けても対象にはならない。例で挙げるなら「鍼灸整骨院で鍼灸施術を受けた」や「整体施術を受けた」である。接(整)骨院での電気療法、患部の回復に対する手技(整復操作等)は柔道整復師の業務であるため問題はないが、鍼灸や整体を併用した場合は、そこは切り離さなくてはならない。ましてや、鍼灸施術と慰安的マッサージを行い自署は規定外である。もちろん、鍼灸施術において医師の同意があった場合は、鍼灸施術の療養費の規定に沿って行うので問題はない。健康保険の規定については、柔道整復師なら全員が知っていることなので、疑問に思った場合は気軽に質問してほしい。



後記:初検の患者様に説明した際に、「今までの整骨院では説明をされなかったので、必要な書類程度の認識しかありませんでした。」と言われ、記事にしようと思いました。療養費支給申請書が書類の名称で、受領委任は制度と考えると分かりやすいか・・・分からないですか。自署していない保険請求はないのが大前提ですが新聞やテレビによる報道になる場合は、自署と通院を捏造しているパターンです。まぁ、一般的に不正請求と言われています。柔道整復師には受領委任取り扱い規定というものがあり、この中で明文化されルールとなっています。3割負担を0円する行為もこのルールの中で規定違反となっています。私自身も、自署の貰い忘れをしていねことが稀にあり、翌月書いてもらったりとなかなかの作業ですが、療養費に関わる部分は重要事項ですので、柔道整復師も患者様もしっかりと知っておくことが大切です。


【今後の予定】

2/14 第10回:健康保険療養費の不正請求

2/22 第11回:通院の強制はパワハラなのか

全20回の折り返しをもう少しで迎えます。原稿は全部終わっているので掲載日を待つだけですが、お役に立っているのか不安です。


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