【一般】骨盤矯正は治療なのか?:新聞記事「施術の現場より13」
当院に来る問い合わせで、なかなか多いのが骨盤矯正に関するものである。せっかくなのでここで触れておいた方がいいだろう。まず、基本的なことを言うと、骨盤矯正はリラクゼーションであり、癒しのための施術である。健康保険の適用がないことでも一目瞭然であり、整体院やサロンが癒しのための施術であるならばそれは利用者の自由判断である。
しかし、「治る」や「治療」などと明言しているならば話は別だ。そこに関連して、骨盤が歪むと表現される。歪んだ骨盤は様々な不健康の起因となるため、矯正が必要だ。もしくは矯正する事で治るというのが説明の大筋になっている。骨盤は腹腔内臓器(腹部や下腹部にある臓器)を保護するために熱く強靭にできており、身体の骨格の中で最強と言っていいほどの堅固さを誇る。その骨盤を手技を用いて物理的に矯正できないことは想像にたやすいだろう。腰痛や膝痛、尿漏れなどと言われれば本当に恐ろしい。多分、私もこの業界にいなければ信じてしまうと思う。しかし、骨盤矯正が認知され市民権を得てから10年以上経過するが、医科学的に症例と骨盤矯正の有効性を示す論文は1本も存在しない。それどころか、医科学的観点から否定する論文は相当数存在する。つまり、研究の結果、医科学的に否定されているのである。
腰痛は様々な原因により引き起こされるが、それが骨盤矯正とはならないし、膝の痛みも同様だ。骨盤矯正をしなくては高齢になった時に腰痛や膝痛の原因になるなど、普通に考えれば加齢による筋力低下である。通常の生活をしていた状態で、30歳を過ぎれば年1%の筋力低下が起きるという研究もある。70歳の方は30歳から筋力が40%も低下していることになり、腰や膝に痛みがくることは当然である。全身の筋力低下を考えるなら尿漏れだって起きるだろう。スポーツの現場においてもそうだ。骨盤矯正をおこなうことでスポーツパフォーマンスが向上するという方もいる。医科学の分野でも特にスポーツ医科学という分野がある。全てを言わなくてもここまでくればお察し頂けると思う。つまりはそういうことなのだ。ここは、スポーツ事業に関わる部署の奮起に期待したい。インターネットで骨盤矯正を検索すれば、それを詳しく解説してくれている方も多い。今回は文字数の関係で詳しく述べていないので、興味のある方はご自身で検索しご一読願いたい。骨盤矯正は治療ではない。
後記:この話題は文字数の制限があるとなかなか書ききれないですね。SNSでとある方が「骨盤矯正とは」とアンサーに「金儲けのための施術パッケージの総称」と答えていました。面白いwww 私自身が問題にしているのは、治療や治ると言って医療と誤認されている点。患者の不安を煽り、施術をする点の2点です。そもそも、これは柔整師や鍼灸師のスキルではないですが、国家資格という安心感を盾にして医科学の外にあるものを治療と言って施術する事は果たして道理にあっているのでしょうか。整体やカイロなどの無資格施術所で「これはリラクゼーションです」と言われるとそうですねとしか言えませんが。私の偏見ですが、スポーツ外傷をメインでやっている当院が6年かけてみてきた感想は、「スポーツ外傷を謳っているくせに、webサイトに骨盤矯正もやってますと宣伝している整骨院は外傷が苦手」です。もういい加減にしてください。それと骨盤矯正に付随してこれも問題だなとおもっているのが、回数券売りですね・・・これは悪質。
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