サンタさん、これはまずかったね。
サンタさん関係のこうしたトラブルはよくニュースになりますが、今年も出てますね。ワシントン・ポスト紙の「A very bad Santa’s profanity-laced meltdown horrified children at a Christmas festival(超ひどいサンタが罵りの言葉とともに崩壊し、クリスマスフェスで子供たちを怯えさせる)」を読みました。
イギリスのニュースですが、クリスマスイベントの最中に火災報知器が鳴り出し、50人くらい集まっていた親子が慌てて避難しようとしているときにサンタが(たぶんパニックになって)口ひげを破り捨ててFワードをまじえながら避難するように叫んだといった話です。
Fワード(Fから始まる罵り言葉)というのは英語のニュースサイトでははっきりとは書けない言葉のようで「get the f*** out」とか「to get the [expletive] out」とかで表記されています。expletiveは「罵り言葉」の意味です。
このサンタはただ慌てて避難を誘導しようとしただけだと思いますが、日頃から使っているんでしょうね、Fワードを。サンタの衣装を着たまま思わず無我夢中で叫んでしまったために泣き出す子供もいたようです。口ひげを破り捨てるサンタの姿を見た小さい子供はどれほど驚いたかと思うと気の毒です。両親たちはこう語っています。
“We told our children he wasn’t the real Santa. He was an impostor and will be going on the naughty list."(私たちは子供たちに言いました。彼は本当のサンタじゃないのよ。「悪い子リスト」に載るニセモノなの)
そりゃこう言うしかないよね。サンタの品格というかそういうのってそこまでチェックできないんだと思いますが、なんとも微妙なニュースですね。
2年前にはアメリカで、サンタがちょっと太った9歳の男の子に向かって「ハンバーガーとフライドポテトはやめておきなさい」と言ってしまって男の子が大泣き、親も激怒というニュースもありました。この記事も一応探しました。こちらもワシントン・ポスト紙で「Child crushed after Santa tells him to ‘lay off the hamburgers and french fries’(サンタに「ハンバーガーとフライドポテトはやめておきなさい」と言われた子供が心くだける)」です。サンタはその後、解雇されています。
このサンタも子供の健康を思っての言葉だったとは思うんですが、言葉を選ばないとえらいことになるもんですね。「ホッホッホー」と言いながらニコニコするだけを求められているんだとしたら、それもちょっとどうなのかと思わなくもないですが。
ここから英語の話ですが、1つ目の記事のタイトルにあるprofanity-laced meltdownってどう訳すのかなぁって考えてしまいました。今回のこの記事はいくつかの英語のニュースサイトを確認しましたが、どれもちょっとややこしそうなタイトルが多かったです。
profanityは「罰当たりな言葉、罵りの言葉」で、laceは「盛り込む、混入する」といった表現です。これがハイフンで繋がっているので「盛り込まれた罵りの言葉」みたいになって、さらにこのprofanity-lacedが形容詞としてmeltdownにかかっているんじゃないかと思います。たぶんですけど。
このmeltdownもまたなんとも興味深い使い方ですね。日本では2011年の東日本大震災のときの炉心溶解(メルトダウン)が大きく報じられたのでメルトダウンはどんなものかイメージできる言葉になったと思います。私たちの間ではこのイメージが強いので怖い単語のように感じますが、こうしたサンタさんのパニック状態での自己崩壊みたいな感じで使われるんですね。溶けて崩れてしまうイメージで崩壊と訳しましたが、どうでしょうか。
辞書で確認すると「融解、溶断」「(株価の)暴落」のほかに「完全に駄目になること、一巻の終わり」といった意味が見られました。
もう1つの太った子供が泣いてしまったほうのタイトル冒頭の「Child crushed」についてもどうしようかな、と迷いました。crushには「押しつぶす、粉砕する、(希望などを)打ち砕く」の意味があります。車や人が衝突するクラッシュはcrashなので違う単語です。子供が押しつぶされる、打ち砕かれる、つまり心くだける感じかなという流れでそう訳しています。
英語のニュースサイトに対しては、対となる日本語訳のサイト、例えばBBCやCNNの日本語サイトとかがあるので参考にはなりますが、読みたい記事が必ず掲載されているとも限りません。しかも、ここどう訳そうかな、とピンポイントに知りたいと感じる翻訳は割愛されていることが結構あるんですよね。これってここの翻訳者もよく分からないからピックアップしなかったってことなんだろうと思います。みんな迷うとこは一緒だね。まぁ翻訳というのはテストと違って正解があるわけではないので、自分が納得できる訳し方で読み進めていけばいいかなって思っています。
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