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【傍聴記】すすきのラブホテル首狩り事件、父親の第4回目公判【田村修被告】

第2回目公判はこちら↓


2025年1月22日、札幌地方裁判所
本日はすすきのラブホテル刺殺首切断事件の父親・田村修被告の第4回目公判である。
今日は何とか傍聴券を引き当てセキュリティチェックの厳しい805号法廷へ。



被告人:田村修

令和6年(わ)第156号
罪名:殺人幇助、死体遺棄幇助、死体損壊幇助死体領得幇助
被告人:田村修

黒色のスーツ姿、職員2名に付き添われ一礼して被告人入口から入廷。先週より顔色も良く元気そうである。憑き物が落ちたようなスッキリした表情に見える。

検察官が証拠調べの続きを朗読し始めた。
今日は被害者家族の供述調書から始まった。


■被害者の妻の供述調書

私たちは平成3年に結婚しました。夫の物静かで真面目なところに轢かれました。少しして長女が誕生しましたが、私は長女の出産後まもなく入院しました。夫は長女の様子をビデオに撮り、それをお見舞いに来てくれた時に見せてくれました。
マイホームを建てた後に長男が誕生。夫は子供とよく遊んでくれました。基本的に子供中心の生活でしたが、二人の子供が巣立った平成27年頃から2人で話し合い、夫婦の財布を分けました。私が平成30年に転職してからは勤務時間の違いから夫とはすれ違いになりましたが、休日は一緒に外食したりするなど仲は良好でした。

〜夫について話します〜

夫は工業高校を卒業後に農機具メーカーで働き、その後は2回転職しています。勤務態度は良好でしたが、激務のあまり不眠症になったこともありました。その時に私は「辛かったら仕事やめてもいいよ」と言いましたが、夫は「家族のためにも辞められない」と仕事は続けました。
夫は多趣味で女装は趣味の1つでした。他にバイク・サバゲー・プラモ作りも嗜んでおり、飼い猫のキナコも大変可愛がっていました。
夫が女装するようになったのは、お祭りの余興がキッカケでした。これを機に女装姿でススキノまで泊まりがけで飲みに行くようになりました。自宅で女装してから飲みに行くのが正直嫌でしたが、夫の女装について話し合ったことはありません。今思うと子供たちが独立して寂しかったのだろうと思います。夫の性的嗜好は女性のみで、SM趣味も無かったと思います。
また、ツーリングも女装と同じくらい好きで、女装以外にも沢山の趣味があったことも知って欲しいです。夫はよく長男を伴いツーリングに行き、旅先で色んな人と親睦を深め、写真を撮ってアルバムを作ってました。平成30年頃にネコを飼い始め、エサにこだわったり一緒に寝たり溺愛していた。夫は寂しさからネコを可愛がっていたのだと思います。最後に夫と喧嘩したのも飼い猫の取り扱いについてでした。 


■殺害された後の被害者妻の供述(令和5年8月19日付)

令和5年7月1日の朝、「今日は長男が家に来るけど3人で夕食にする?」と聞くと、「出かけるから要らない」と夫。
夫は数年前から週末は女装してススキノで飲んでいたので、今日もススキノに行くのだろうと思いました。そしていつも通り日曜日の夕方に帰宅するのだろうと・・・でもその日はいつもと違い夜になっても夫は帰ってきませんでした。当初は予定が変わったのかなと思いましたが7月3日になっても夫は戻らず、職場から夫が出勤していない旨の連絡がありました。私は夫に安否確認のLINEをしましたが、ずっと既読は付きません。
7月3日の夜になってもLINEの既読が付かず、帰ってきた様子も無かったので、夫の姉に連絡し義妹夫婦と警察署へ行きました。
そこで中央警察署の刑事さんが来たので、「何かあったのですか?」と聞くも、答えてくれません。
刑事さんから防犯カメラ映像を何枚か見せられ、そこにはスカート・ウィッグ姿の夫らしき人が映ってました。そして刑事さんはバツの悪そうな顔をして「ススキノのホテルで身元不明の男性の死体が見つかりました」と言いました。
「旦那さんの指紋を確認したい」と言われたので、「顔を見れば夫がどうか分かります」と答えると刑事さんは困ったように

「実は・・・顔が、頭部が無いんです」

何を言ってるのかと、あまりの衝撃にその後の記憶は朧気ですが、先ほどの見せられた防犯カメラ映像の女装姿の夫らしき人を見る限り本人・・・でも違うと信じたい。

8月19日は四十九日法要ですが、まだ何もできていません。事件後は私も子供も眠れぬ日々が続いています。 様々な情報が錯綜していますが、1番強く思うことは何があったのか知りたいです。夫の言い分と容疑者の言い分は違いますし、夫はもう話すこともできません。だから真実を知りたいです。夫とは10年間も性交渉は無く、仮に夫に好きな人が出来たら離婚してもいいと思っていましたが、それでも夫は良い父親で良い夫でした。

これからも普通の穏やかな日々が続くと思っていました。孫ができるのを楽しみに、どちらかが先に亡くなったら「今までありがとう」と弔いたかった。夫は子供が独立してからやっと好きなことやりたいことができるようになりました。
正直、私は夫の女装姿が好きではありませんでしたが、今でも思い出すのは女装姿の夫です。もし夫が悪いことをしたのなら私が代わりに謝ります。なぜ夫が殺されなければならなかったのか、本当のことが知りたいです。


■被害者の長男の供述(令和5年8月20日付)

私から見た父は大人しく黙々と何かをしている人でした。でも人と話すのが好きで、賑やかな場所が好きでした。バイクの塗装や組み立てたプラモデルや女装姿を褒めるとニコニコ嬉しそうにしていました。一緒にライダースハウスに行った時は他の人にも女装を施してあげてました。父は自分の作品を色んな人に見せたかったのだと思います。
生前父が可愛がってた飼い猫のキナコは普段鳴かないのに、父の死後鳴くようになりました。
平成26年に父のバイクに同乗し遠出をしたことをキッカケに、令和2年に自分もバイクに乗るようになり、父と色んな場所へツーリングに行きました。父がバイクのカスタムをする姿を今も思い出します。

令和3年に父が還暦を迎え、当時は流行病のせいで叶いませんでしたが、この後家族で還暦祝いに温泉旅行に行く計画を立てていました。でも父が亡くなり、それは未来永劫叶わないものになってしまいました。今日で亡くなって50日経ちますが、父がこの世にいないという実感がありません。我が家の定位置に座り、プラモデルを組み立てたり女装の小物作りをしている父がいるのではないかと今も思います。

今も事件のことを調べますが、父は3度殺されました。

1度目は刺殺されたとき
2度目は頭部を損壊されたとき
3度目は週刊誌の与太話を信じた人々の非難の声や加害者の減刑を求めるような署名活動が広まり、父は死んで当然という風潮になったとき

父は決してレイプ犯ではありません。父は人を喜ばせたり、人に褒められることが好きな人でした。父の女装姿を「かわいい」と褒めると喜んでいました。

加害者は精神疾患を主張、両親は犯行計画を知らなかったの一点張り。3人全員の極刑を望みます。それが叶わないのなら一生刑務所に入っていてほしいです。


■被害者の姉の供述(令和5年8月23日付)


私は令和5年7月3日に弟の死亡を知りました。弟が週末ススキノに飲みに行くことは知っていたので、ニュースを見て「本人だったら・・・」と一瞬頭をよぎりましたが、他人事でした。しかし義妹から弟が帰ってこないとの連絡が来てドキドキしました。義妹と一緒に警察署へ行ったところ、ホテルで発見された死体と弟の特徴が一致し、防犯カメラ映像からほぼ本人だと判明。7月4日に身元不明の死体と指紋が一致し、大変なショックを受け、信じたくない。今は会えないだけ・・・と色んな感情がせめぎ合いました。

私たちは子供の頃から仲の良いきょうだいでした。実家にいた頃は2人で家庭菜園をしていました。弟の仏壇に実家で採れた南蛮をお供えしました。次の日に南蛮が仏壇から落ちているのを見て、弟が来てくれたのだと思いました。

弟はマジックや女装を見せて、皆を楽しませるような人でした。嫌がる女性を無理矢理襲うようなことは決してしない人です。今は真実が知りたいです。


■弁護側立証

若い男性弁護士が朗読する。

①瑠奈被告のWeb検索履歴について

被害者と出会う前から「千葉  バラバラ  女性」「法定刑  死刑のみ」「日本で1番重い罪は?」など検索していた。
→瑠奈さんは事件の前から凶悪事件に強い関心を持っていた。

②修被告のGoogle検索について

「殺人  時効」と調べた前後の検索履歴を抽出すると
「インド  衣装」「メイク  タレ目  目を小さくする方法」「詐欺メイク  タレ目」「地雷系  意味」「ドール  メイク  作家」「札幌  インド衣装  販売」など殺人の時効と無関係の検索ワード。
→修さんは「殺人  時効」と調べたことに合理的な疑いが残る。

③修被告とNPO法人のLINEのやり取り

令和5年7月1日20時16分、修被告「殺人  時効」と検索。これはNPO法人に「ありがとう」と送った1分29分後に検索したものとされる。
→修さんが「殺人  時効」と調べたことに合理的な疑いが残る。

④修被告が瑠奈被告と一緒に購入したモノについて

・6月6日 ドン・キホーテ平岡店で購入した手錠、アイマスクはその日購入した合計20点の一部
・6月19日 同店で購入したノコギリ、手袋、ペティナイフはその日購入した合計23点の一部
・6月21日 同店で購入した斧はその日購入した合計12点の一部
・6月25日 同店で購入したキャリーケースはその日購入した合計30点の一部
→修さんは犯行のための道具を買ったとされているが、日用品も買っているため犯行のためのモノを買った訳では無い。


⑤自宅から押収された24本の刃物について

田村家から押収された刃物がスクリーンに映る。24本の刃物のうち6本は令和2年に購入、11本は購入時期不明
→修さんが犯行に使用した刃物を買ったとされるが、田村家には事件前より購入した刃物も多数あった。

⑥ノコギリの購入について

浩子被告と修被告のLINEのやり取りから、事件より前の時期に瑠奈被告が工作をしていることが判明。
→修さんがノコギリを購入したのは瑠奈さんの工作のため

⑦「ハイター  皮脂汚れ」などの検索ワードについて

田村家からガラスケースに収納されているドール139体、されていないドール32体がスクリーンに大写しになった。
田村家にあってウォークス社製のドールの取り扱い説明書によると、ドールは非常に繊細なため直接手で触れたり直射日光に当たることのないようにと注意書き。
→ハイター  皮脂汚れの検索ワードは触れてしまったドールの汚れを取るために検索したもの。

⑧「スーツケース  耐荷重」などの検索ワードについて

⑦の通り田村家にはガラスケヱスに収納されていないドール32体があった。このドールの総重量は59.8kg。修被告はドールが直射日光に当たらないようスーツケースに入れて保存しようとした。そのため「スーツケース  耐荷重」と調べた。また「スーツケース  耐荷重」で検索すると予測に「スーツケース   耐荷重  100kg」が表示されることが分かった。
→修さんがスーツケースの耐荷重について調べていたのはドール収納のため。


⑨浩子被告とのLINEやり取りについて

削除されたやり取りには下記の内容も含まれていた。
・令和5年6月14日 浩子「踊れるクラブありますか?」「お嬢さん、シャワー浴びてます」
・7月10日 浩子「シーツとパジャマ以外、お嬢さんの2つに分けて」「明日以降毒親見てくれる病院ある?」
7月17日 浩子「たまゆら行くけど、一緒に行きますか?」
→修さんと浩子さんは日常的な会話も削除している


⑩瑠奈被告のSMグッズ購入について

令和2年7月にSMグッズを5点購入していたことが明らかになった。
→瑠奈さんは事件より前にSMに関心があり、SMグッズを買っていた。


法廷内に響き渡る、瑠奈被告の暴れ声

修被告は瑠奈被告が不穏なときその様子を録音していた。

2020年10月6日
瑠奈「I  want kill you・・・」など拙い英語の叫び声。音割れが酷く何を言ってるのか分からないが、錯乱している状態。後ろで修被告が瑠奈被告をなだめている様子が聞こえる

2023年1月22日
瑠奈「あぁ?!うわあああああ!○○しやがって!てめー殺してやる!ウソつくな!アンタ殺して私も死ぬ」以下、瑠奈英語で叫ぶ(何言ってるのか不明)
修「あのクリニックでは……」瑠奈「うわあああああああ!!!!!!!」
修「今までと違う薬では……」瑠奈「くぁwせdrftgyふじこlp」←瑠奈被告、錯乱状態につき何と言ってるのか不明

1月22日続き
瑠奈「so what?」「I can't ×××」「I kill myself」「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!」「you have to kill me!!」
「Fuc* you!」「You pain me?!」を連呼
瑠奈「アンタ殺して私も死ぬ!」
以後、瑠奈大泣き
→これらの音声データから修さんと浩子さんは普段から瑠奈さんを非常に甘やかして育てていること、瑠奈さんは手の付けようないほど暴れることもあったことが分かる。


14時30分頃、少し早いが本日の審理はここで終了。次回、浩子被告の証人尋問の予定。


所感など

被害者遺族の供述がかなりオープンで驚いた。被害者は妻と息子と姉も公認で女装姿でススキノに飲みに行っていたことが明らかになった。

これらの供述を見た一部の心無い人たちが被害者や被害者遺族を叩かないことを祈る・・・

家族のあり方は何パターンも存在するのですから、よそ様の家庭をとやかく言う権利はありません。ひとつ言えるのは命を奪った瑠奈被告と、娘の凶行を止められなかった両親が1番悪い。

1番驚いたのは田村家から押収されたドールの量である。尋常ではない。


こんな感じの人形がズラリと並んでいた。このような球体関節人形は非常に高価である。自宅にあったドールの総額は400万円以上になると思われる。


また、瑠奈被告の肉声が法廷内に流れ一瞬緊張感が走った。
音割れが酷く、何と言ってるのか不明瞭な部分が目立ったが、ひとつ分かるのが瑠奈が錯乱状態になると数々の猛者を診てきた著名な精神科医である修被告ですらお手上げだと言うこと。連日連夜このような暴れ方をされようモンなら修被告も浩子被告もマトモな精神状態を保てないだろうと思う。

瑠奈被告がこうなる前に、適切な治療を受けさせなかったことが悔やまれる。

修パパと浩子ママは逮捕された時ホッとしたんじゃないかな?逮捕はショックだけど、これで全てから解放される・・・って



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