19世紀の芸術が宿るマイセン陶磁像：『サビニの女たちの略奪』徹底解剖【モーカルナビPlus・輸入編】

1. はじめに

ヨーロッパの陶磁史において、マイセン（Meissen）の名は特別な響きを持っています。18世紀初頭に誕生し、王侯貴族をはじめとする上流階級に愛され続けたドイツ最古の硬質磁器ブランド。その芸術性と職人技は時代を超えて多くのコレクターを魅了し、現在でも陶磁の代名詞とも言われるほどです。

そんなマイセン作品の中で、今回は「サビニの女たちの略奪（Raub der Sabinerin）」をモチーフとした19世紀半ば頃のフィギュア（人形・像）に注目します。西洋美術でも繰り返し描かれてきた古代ローマの伝説を、マイセンの卓越した絵付け・造形技法によって実に優美かつ躍動的に表現している逸品です。底面には、有名な交差した青い剣＝双剣（Schwertermarke）のマークが入っており、さらに「1.Wahl（ファースト・チョイス＝一級品）」の刻印が確認できるなど、作りの良さを裏打ちしています。

この記事では、マイセンの歴史や「サビニの女」のモチーフ背景、このフィギュアの造形・絵付けの魅力などを詳しく解説。海外からの輸入や販売を検討している方、あるいはコレクターとしての視点をお持ちの方にも参考になるよう、ノウハウや注意点を織り交ぜながら徹底解剖していきます。19世紀の欧州芸術が宿る小さな磁器像の世界を、一緒に覗いてみましょう。

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2. ブランドの背景（Meissenの歴史）

2-1. ヨーロッパ初の硬質磁器メーカー

マイセンは、ドイツ・ザクセン州マイセンで1710年に王立磁器工房として創設されました。当時、磁器といえば中国・景徳鎮や日本の有田焼など東洋の独占技術とされ、ヨーロッパでは「白い金」とまで呼ばれるほど高値で取引されていました。
マイセン工房は、錬金術師ヨハン・フリードリヒ・ベトガーらの研究成果をもとに、ヨーロッパ初の硬質磁器（ハードペースト・ポーセリン）を製作することに成功。王侯貴族の庇護を得て急速に技術を高め、18世紀前半には豪奢な食器や人形が多数作られるようになりました。

2-2. 知られざる「青い双剣（Crossed Swords）」マークの由来