SNSから見えるカリスマ性
一流は100点。
主人の推しちゃんは18点。
私の好きなアイドルさんは34点。
「あんたの推しちゃんさ、もうちょっと上げる写真考えた方がいいよ。18点ってヤバいよ」
「なにが18点なんだ」
「SNSにおけるカリスマ性だよ」
説明しよう。
アイドル、役者、アーティストなど、自分自身を売る仕事をしている人は、SNSにどんな写真をあげるべきか悩むでしょう。
カリスマ度というものがあり、これで計算すると、今現在のカリスマ度が点数化されるので参考にしてほしい。
「まずアイドルさんを例にすると、そのアイドルさんのSNSで、自分が写った直近の写真20枚で計算するの。お菓子とか景色とかの写真じゃなくて、ちゃんと自分が写った写真ね」
配点は以下の通り。
①自分のみの自撮りは1点。
②10人以上(客は除く)の集合写真も1点。
③他撮りは5点。
④2人以上写ってて、本人が撮影しているものは0点。
「意味わかる? ③の他撮りってのは、他人が撮った写真ね。④はつまり、2人で写ってるような写真でも、自分が内カメラで撮影しているようなものは0点。撮ってるのが相手で、自分が写り込んでいるだけなら5点ってこと」
このテストで重要なポイントが④である。
2人以上が自撮りするとき、誰がカメラを持ってるかがすごく大事。
一般的に「一緒に写真撮ってください」って言う側がカメラを持つ。つまり、カメラを持ってない側が、「あなたと一緒に写真を撮りたいんです」と言われる側であり、求められる側であり、カリスマ度が高いのだ。
「で、あんたの推しちゃんで計算したんだけど、なんと18点」
「最悪だな」
「18枚は自撮りで、2枚は自分が撮影した他のアイドルとのツーショット。だから0点」
人気のない地下アイドルは誰も写真を撮ってくれないから他撮りがない。さらに対バンしたアイドルさんが一緒に写真を撮りたくなるような知名度もないので、結果、自分から写真をお願いしに行かなければならない。
「写真ってさ、撮ってる側は「私にはこんなに素敵な仲間がいるの、凄いでしょ」ってアピールしてるつもりでも、オタクから見ると、写真を撮られてる側の方が魅力的に見えるんだよね。
「写真をお願いされたので写りました」みたいな、若干澄ました顔で写っててさ」
ここで一流アイドルのSNSを見てみよう。
まず、橋本環奈。
はい、100点。オール他撮り。
続いて白キャンの小野寺梓。
はい、100点。オール他撮り。
文句のつけようがありません。
「他撮りに見える風に自撮りしたりさ、なんか工夫すればいいのにって思うんだ。そういうのでイメージアップするんだよ」
「あんた暇だな」
「でね、さっき周平くんで計算したの。周平くんはそもそも写真をあんまあげないんだけど、他人のリポストとかも含めて計算したら、なんと84点」
「さすがチャラ男だな」
アイドルでもない、ただのサポートギタリストが84点という高得点を叩き出す。さすが我が推しである。周平くんは常に誰かから「一緒に写真撮ってください」と言われる側の人間である。
「ちなみに結芽乃ちゃんは92点。あの子ほんと他撮り多いんだ。分かってるね」
アイドルやアーティストにとって、SNSは履歴書のようなものだ。オタクはそれを見て、カリスマ性があるのかないのか瞬時に判断する。これはもはや無意識レベルだ。
でも、カリスマ性が高ければなんでもいいわけじゃない。オタクの中には「適当に関われて繋がれそうな子」や「リプしたら返ってきそうな子」を探している場合があるので、要するに軽く見られているかどうかである。
カリスマ性のないアイドルほど「オタクが執着してくる」などと言って、独自ルールを設けてオタクと距離を置こうとしてる人もいるが、単純に己にカリスマ性がないだけである。軽く見られてるからそういうオタクが集まるだけである。
「なんかさー、アイドルとかアーティストって、学校みたいなスクールカーストがあるよね。「私はあの子と仲良しなのよ」っていうアピールで写真撮ってSNSに上げるの。1軍女子は1軍女子とだけしか関わらないみたいな。でもさ、今まで3軍女子を馬鹿にしてた1軍女子が、なんか仲間割れみたいになったときにさ、
ハブられた人間が真っ先にするのはお友達作りなんだよね。それまで2軍や3軍とは関わらなかったくせに、仲間外れにされるのは怖いからって、わざと仲良くしだすの。2軍や3軍女子は、一応元1軍女子の言うことだから大人しく聞くしかなくて。 だから一見仲良さそうに見えるんだけど、側から見てるとすごい惨めなんだよね。たぶん男子たちは気付いてるんだよね。女子って馬鹿だなーって」
「まぁアイドルはドロドロしてるところもあるしな」
「わたしは学生の頃、カースト外にいたからそういうのがすごい見えちゃってね。そこまでして友達ほしい? みたいな。ほら、わたしってそこまでブスじゃないし、デブでもないし、ただ無口なだけでそれなりに可愛かったからさ。あぁ自分で言っちゃうけどね。仲間外れにされた1軍女子が、最終的にはわたしのところにやってくるの。それがなんか滑稽なんだけど、「この子なら絶対に私を拒否らない」って思ってる感じがさ、なんか心地よかったんだよね。だってわたしカースト外だし、友達いないし、来る人は受け入れるしかないじゃん? それで受け入れても、しばらくしたら1軍で仲直りして戻っていくんだけどね。だからわたしは都合の良い人間だったんだけど、求められるってこういうことだと思うんだよね。誰も求めないけど、誰かからは常に求められている。とくに、ピンチになったら求められる人って、それだけでカリスマ性あると思わない? カリスマ性って、なんかそんな気がする。だから周平くんはめちゃめちゃカリスマ性あると思うんだ。まぁわたしほどじゃないけどね」
「終わった?」
「うん」
「ところでこのカリスマ度出すやつ、どこかに載ってたのか?」
「いや、わたしが作った」
「は!?」
お試しあれ。