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mixi2は最強の推し活ツールになる



「あんた今日の現場どこ? なっちゃん?」

「いや、他のアイドル」

「なんや、浮気やないか」

「浮気じゃない。ちゃんとツイッターに書いてるし、なっちゃんところも行ってるから大丈夫」

 一推しのなっちゃんを差し置いて、別のアイドル現場に行く主人。

「でも俺が別現場に行くってツイッターに書くと、なっちゃんたちフルシカトするんだよな」

「へぇー、そういうところよくないよね。わたしがなっちゃんの立場だったら、オタクが違う現場行くって言ったらいいねしまくるけど」

 通称【威嚇いいね】である。

「誰も触れちゃいけないって思ってんのかもな」

「逆だなー。わたしは周平くんが他のアーティストさんのサポート現場をリポストしたら「へぇー、今度はこの現場ねぇ」って思っていいねしまくるよ」

「あんたはストーカーだよ。自分がオタクだと思うなよ、ストーカーだよ」

 ひどい言われようだ。
 リポストにいいねを押せば周平くんにもアーティストさんにも通知が行くと思うので、「周平くんを使ってくれてありがとう」という感謝を込めていいねしてるのだ。けしてストーカーではない。

「でもクソアーティストだったら絶対いいね押さないけどね。周平くんのサポート現場ハズレが多いんだけど、たまに清香ちゃんみたいな大当たり引くから、分からないんだよねー」

 推しがサポートギタリストだと、ライブに行くかどうかはアーティストさんによる。ただの身内ライブや客層が悪かったりすると、気持ち良くライブが見れないので行かない。

 そんな中でも去年初めて見た福島清香ちゃんは圧倒的に良かった。お客さんを楽しませるライブがきちんとできていたし、ファンもそれに応えて盛り上げていた。

 SNSで簡単に自分を発信できるツールが揃う現代、「自分に魅力があればファンはつく」と思っている勘違いアーティストは多い。それができるのはすでに有名になっている人か、ごく一部の他者を寄せ付けないくらい圧倒的な魅力を持つ人だけであり、ほとんどのアーティストは、「客を楽しませるライブ」ができないとファンはつかない。

 客が求めているものと、アーティストの強みが一致したときにファンがつく。

「清香ちゃんはきちんとお客さん見てたからね。お客さんに喜んでもらうにはどうしたらいいかって考えられる人はファンがつくんだよ。とくに、「新規のお客さんも喜んでもらえるように」って考えられる人はファンがどんどん増える。だってファンが知り合いに紹介しやすいんだよね。初めて見ても楽しいよって言えるから。周平くんには珍しく当たり現場だったなぁ」

「チャラ男現場、他はハズレなんか」

「ハズレっていうか、一般客を相手にしてないライブだから、あれはあれでいいんじゃないかな。一般客は増えないけど、アーティスト客は増えてるみたいだし。でも偉いと思うよ。お遊戯会レベルのアーティストの横でもちゃんとギター弾いてて。わたしだったら「こんなクソライブする奴の隣でなんか絶対弾きたくない」って思うから」

 サポートギタリストなのでどんな現場でも頑張って和かにこなす。それが仕事なので、頑張れと応援はする。でもダサい推しは見たくないので見ない。

「でもさ、周平くんはmixi2始めたけど、他の人たちは全然始めてないみたいなの。大丈夫なのかな」

「大丈夫って?」

「去年の10月のブロック機能改悪あたりから、「インプレもいいねも減ったし、何やってもいまいち盛り上がらないなぁ」とか思わない? 有名人のアカウントとか見て何も気づかない? わたしSNS得意だから分かるんだよね。初期mixiが廃れていった現象と似てるもん。当たり前にこの先もずっとXが続くと思ってんのかな? みんな鈍感すぎない?」

「Xなくなるんか?」

「いやぁ分かんないけど、勘のいい人は12月で切り替えてるよ。SNSってスタートが1番大事なんだよ。そこでそのSNS内での知名度が決まるから。まぁあの身内団体は一生Xにこもってればいいと思うけどね。もうわたしがmixi2内での周平くんの立ち位置を確立させてるから。いまさら来ても遅いね」

「なるほど」

 mixi2が始まって1ヶ月が経った。

 ここで動きまくって自分の地位を確立させた人はもう分かってる。あとから来る人は、それに乗っかるだけだと。
 
 ファンいてきちんと推し活していれば、推しがmixi2をやらなくても、清香ちゃんや結芽乃ちゃんのように、誰かしらその名前をポストする。

 それが全くないということは、ファンが推し活をしていないというのがバレる。
 お金払ってライブを見て、リポストして、アーティストに尽くしてお終い。それで広まるわけがない。
 ファンが推し活を楽しんでいないから、誰も興味を持たない。楽しんでいる人には、自然と興味を惹かれるものだもの。

「この先周平くんの仕事が増えるように、わたしも頑張るんだ」

 推し活とは、ファンの活動。
 推しのリポストしかしないファンは、なーんにも活動してない。推しに媚を売っているだけ。推しを喜ばせるためにやっているだけ。
 自分の数十人、数百人しかいないフォロワーに、毎回リポストしてなんの意味があるの? 広まるわけがない。飽きられてミュートされるだけ。

 本気で推しを有名にしようと思ったら、ファンが動く。ファンが活動する。

 フォロワー数に左右されないmixi2は個人の影響力がとても強い。
 コミュニティ内で発言すれば、本当に届けたい人に届く。
 推しのコミュニティを作って自分で投稿を続ければ、何かのきっかけがあって推しを検索した人がそのコミュニティを見つける。そして、推しに関しての情報を得る。
 
「ファンがついてるなぁ」
「ファンが楽しんでるなぁ」
 
 ファンが楽しんでいるかどうか。それが1番、アーティスト自身の魅力になる。

「わたしは周平くんと清香ちゃんのおかげで、全力で推し活楽しんでるから、mixi2内で全力でアピールしていきたいな。結芽乃ちゃんのコミュニティも誰か作ってほしいなぁ」

「あんた作らんの?」

「さすがに清香ちゃん作って、結芽乃ちゃんも作ったらクソDD(誰でも大好き)だと思われるでしょ。結芽乃ちゃんこそ、カメラマンのオタクがついてるから、まじでコミュニティできたらすごいことになりそう」

 2025年は、mixi2から始まる推し活ブームが過熱するだろう。

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