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EP「Nichijou」曲解説後編

 EP「Nichijou」が配信されたので、収録曲5曲の解説である。前編は3曲を解説した。後半で残り2曲とEP全体について解説しようと思う。
 今回リリースされたEP「Nichijou」を聴いてからこの解説を読むともっと楽しめるのでぜひ、聴いてから読んでほしい。 
(下にリンク貼っておくよ!!)


それでは早速スタートッ!!

EP「Nichijou」 解説 後編

4.New life
テーマ
 この曲のテーマは「新しい自分」である。日々生活していると転機というものがたびたび訪れる。学生だったら入学、進級、卒業など、社会人の皆さんは引越し、転職、結婚などさまざまな転機がある。一般的なものを例に挙げたが、人それぞれたくさんの転機の中で私たちは生きている。私はつい最近、教員という職業を辞め、講師をしながら音楽活動を始めた。この曲は私がその道に進もうと決めた時期に作った曲である。この曲は今回のEPの中で一番私という人間にスポットを当てている曲である。

歌詞について
 「New life」の歌詞はまさに転機を迎えていることへの期待と不安が混じっている。
 Bメロの歌詞を取り上げよう。

I'm the best pilot  (私は最高の操縦士だ)
好みでこの道気ままに自由に
continue my life   (私の人生を続ける)
今、掴んだ手離さないで

 ここの歌詞は自分の人生をポジティブに捉え、これからの未来にワクワクしているとも読めるが、見方を変えると先が見えない不安から自分に言い聞かせている言葉とも読める。それは聴く時の気持ちや状態によって変わるだろうが、人生の転機にはこういった期待と不安は付き物だ。

曲の構成
 この曲は「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→Aメロ'→Bメロ→サビ→サビ(転調)」
という構成である。特徴としては曲全体を通して鳴っている和音、いわゆるコード進行はずっと同じである。これは前編で解説した「SAUNA」と同じであるが、曲の長さはこちらの方が長い。また、細かく言うとサビの中でも前半と後半に分けることができるため、メロディーの構成はSAUNAよりも複雑である。5曲の中で一番メロディックなサビなのでその点に注目して聴いてほしい。

5.Boundary
テーマ
 この曲のテーマは「境界線」である。世の中が変わっても変わらないものはあるのだろうか。今までの自分の生き方を振り返った時にその足跡に自信をもてるのか。その足跡を背負ってこれからも生きていくことができるのか。葛藤する人間が抱える苦悩、そして希望を表現している。この曲は私の書いた小説「境界線」の物語の内容を楽曲として作品にしたものである。小説を読む前と読んだ後でこの曲はまた違って聴こえるだろう。どちらも楽しんでいただけると幸いである。(下に小説のリンクも貼っておきます)

歌詞について
 この曲の歌詞は小説「境界線」の内容と重なる部分が多い。サビの部分は自分のこれからの人生と向き合う前に昔のキラキラしていた頃に浸っていたいという弱さが表現されている。

今夜だけ逃避行 
Everyone lives under the sky, facing reality.
(みんな空の下現実と向き合って生きてる)
When did this happen?(いつからそうなった?)
惹かれる煌めきを 僕に見せて
Just for today, it's okay to lie.I keep turning
The world keeps turning
(今日だけは嘘でもいい、私は回り続ける、世界は回り続ける)

 自分の頭の中でぐるぐると回っている言葉を吐き出したような歌詞になっているので、どこか黒いような印象を覚える。

曲の構成について
 この曲は「イントロ→Aメロ→サビ→間奏→Cメロ(転調)→Cメロ→間奏→サビ→サビ→間奏→アウトロ」という構成である。今回のEP収録曲の中でも一際異彩を放っているこの曲はクラシック音楽の構成を参考に作っている。なので、曲を構成する楽器もピアノやストリングスが主に使われており他の曲との差別化を図っている。Cメロで転調して一気に明るい印象になり、また最初の調に戻ってくる構成や全体的にダークな曲調であるこの曲の一番最後の和音を光が差したような明るい和音にしている終わり方は教会音楽を思わせる。

EP全体について
 最後にEP全体について解説していこうと思う。このアルバムの収録曲5曲私の日々の生活から着想を得たものが多い。楽曲の中でどことなく滲み出ている生活感を面白く感じたため、EPの名前が「Nichijou」になった。   
 モデルルームのような作られた部屋ではなく既に誰かが住んでいて、人の生活が見えてくるような、日常をのぞいているような「おかしみ」が散りばめられたアルバムに仕上がっているので音楽をより近くに感じることができるのではないだろうか。日々の生活を想像しながら聴いていただけると幸いである。

おわりに
 何年後かに「Nichijou」をテーマに曲を作った時にはまた違った生活感が滲み出るのだろうか。いや、そうでありたい。


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