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母の生き甲斐
母は、インディアカというスポーツを30年以上続けている。インディアカとは、バレーボールに似ているが、ボールは、おやきのようなものに、羽が突き刺さったような羽??を、手でパーンと羽子板みたいに相手のコートに打つようなスポーツだと認識している。市民体育館での習い事の一つで、母は30年経った今も最年少らしい。チーム名はアップルズ。
活動は週2回。そして、土曜日のインディアカの後は、必ずココスに行くのがルーティーン。
ココスのスタッフの方はこの面々を見ると、ささっと席をつなげ、いつもの席に案内してくれる。
ここで、アップルズの皆さんは夕飯も済ます。
母「みんな、カタカナが苦手でね。私がこれ、ってオーダーするとみんな私も、私もそれにするわ、って真似してくるの」
母「ほいでさ、いつも宗武さんのだけ、湯気がないの。みんなの料理はアツアツで湯気出てんのにさ。必ず、宗武さんのだけ冷めてる。」
みんな同じ料理をオーダーして、多分最初に仕上がってしまったお料理はちょっと冷めてしまうのだと推測する。それがなぜか、宗武さんにばかりあてがわられるのだ。母はそれを不思議がってはいるが、私のと交換しましょう、とは言わない。
ある日、なんと20代の男の子がアップルズに入って来たらしい。よく、この年齢層の高い、マダムだらけの世界に入ったものである。これは一大事。おばさま方からしたら、孫ともひ孫ともいえる男の子が、入って来てくれたのだ。可愛くて仕方ないらしく、とても大切にしている。ある意味、この男の子は幸せなのかもしれない。
この男の子は、旅行会社に勤務しており、バスで行く味覚狩りツアーを企画してくれた。
マダム達は大喜びである。うちの母も、こんないい子はいないと大絶賛していた。
山形のさくらんぼ狩りだったと思う。とっても楽しかったようだ。
母「木が丸裸になった」
さくらんぼの実は食べ尽くされた。
それ以来、味覚狩りツアーは一度も行ってないという。