楽しさを取り戻す
絵描きを目指し始めて十余年、長いこと叶っていません。
絵描きになるために色々と費やしました。貯金も、親の金も。
デッサン教室、専門学校、アシスタント公募、各コンテスト・・・。
それぞれの要所で小さな輝きは得られましたが、どれもその場限りのものばかり。
食べていくには至らず。
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今の時代は、お絵描き系のSNS発信が普及してきて、絵描きさん達が色んなハウツーを発信してくれて 独学するには良い時代になってきました。
諦めかけていた私も「こんな良い動画が家に居ながらタダで見られる!」と感激し、それらのチュートリアルを見て絵の練習に励みました。
このことには 本当に良い時代になったと嬉しく思う反面、
その過程で自分で自分に あるバイアスをかけてしまうことになる という危険性も感じました。
ここで、If(もし)の質問をします。宜しければ絵描き目線で考えてみてください。
もし あなたがイラストレーターを目指すことになったら、
手始めにどんな練習をしますか?
大体の方の回答は、何かしらのチュートリアルにならって
「かわいい女の子」を描き始める
と思います。
どこもかしこも、必修科目のように「かわいい女の子」を描く練習をする。
事実、「かわいい女の子」が描けるかは、イラストレーターの基本の「き」であり、需要が最も高い「描けるもの」の中で最優先に審査されるモチーフです。
世にある あらゆるもの…本の表紙も、ポスターも、サムネイルも、チュートリアルも…どれを飾るのも「かわいい女の子」ばかりです。
イラストレーターを目指すのなら、女の子を描かなければならない。描けなければならない。
このバイアスに気づかなければなりません。
上に挙げた「女の子の絵が高需要で溢れている」メディアの現状は、各メディアを提供する会社のビジネス展開の常套手段なだけです。注目を集める為に どこもかしこも「かわいい女の子」を採用しているのであって、消費者として関わる場合はそのままでも構いませんが、イラストレーターを目指す者 として見るなら、よくよく考えなければいけません。
よく目に入る=それはそのまま倍率の高さを表していること。
門は広く開いてるが、ごった返しているので結局は狭き門になるということです。
案の定、私も長い間、かわいい女の子の練習をしていました。してしまいました。
もちろんその練習は大いに役に立ちます。
キャラクターイラストの基本であることには変わりありません。
しかしなんだか、絵を描くことが難しくなっていきました。
あれ?子供の時もこんな辛かったっけ?
もっと楽しく描いていた気がするのだけれど…
昔は女の子とかより、もっと感覚的に、変な怪物とかドラゴンとか描いてたよな…
こんな感じの…
あ〜楽しい。
バイアスにかかってしまうと、中々気づかないな、、、。
たまには、需要から外れて 昔描いていたものを気兼ねなく描いてみると
何かに気づけるかもしれません。
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