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はじめまして

こんにちは、はじめまして。
私は菊田 青(きくた あお)と言います。
高知の田舎の片隅で、小説を書いています。

この度、自分の小説『草列とピアノ』(そうれつとぴあの)をAmazonのKindleで、電子書籍としてはじめて出版したので、告知もかねてNOTEをはじめることにしました。

#自己紹介

言葉を話すのが苦手で言葉を書いてる人です。
いつも、言いたいことが言えない、言えなかった言葉が沢山あって、
それを物語のかたちに託すことでやっと、自分の言葉をちゃんと言えるような気がしています。

小さな頃から、本当のことを言うとあまり人に信じてもらえませんでした。
嘘をつくと、なぜか信じてもらえました。
そんな私にとって、小説という嘘・虚構の中でなら、何か自分にとっての本当のことを語れるんじゃないか、という思いがあります。

私は言葉を話すのが遅いこどもでした。
鏡文字を書いたり、他の人と同じように話せない、読むこともうまくできない。

でも9歳の時はじめて、自分一人で一冊の本を最初から最後まで読みきることができました。
それは『不思議の国のアリス』でした。
アリスの世界は次から次へと、予想もつかない方へ転がっていく。
幻想的で、おかしくて、荒唐無稽で、奇妙に。
次はどうなるんだろうと、ドキドキしながら、ゆっくりと文字を追い、ページをめくり続けました。

たぶん何日かかけて読み終わったと思います。
最後のページをめくり終わった時、はじめて自分が一人で物語の世界を旅して、帰ってくることができたことを知りました。
目の前の教室の風景が鮮やかに見えました。
私にも物語が読めた、とうれしかった。

その瞬間、なぜかいきなり、自分にも物語が書ける、と思いました。
それは唐突なのにあまりに確信的に、そして途方もない喜びをもってやってきた、啓示的な予感でした。
その日から私は物語を書きはじめました。


自分の物語は、自分のためだけにあるものでした。
誰にも見せず、一人でノートに言葉を書いて、とじておしまい。
楽しくて夢中になって書いていたけれど、
途中から、自分の言葉が何も書けなくなりました。
いろんな理由が重なって、言葉を書くことがとても怖くなったのです。
そして、物語を書くことから私は逃げました。

でも、そんな時でも、物語は自分から離れることはなくて、
書けなくても、いつも私のそばにいてくれました。
文章のかたちにできなくても、頭の中で一人、物語を作ることはやめられなかった。
それが私の心を、ぎりぎりのところで守ってくれました。


「君の小説を書いてよ。読んでみたいから」

そう人に言われて、私はまた、小説を書くことを再開しました。


長い間、物語を書くことから逃げてきたので、
最初はどうやって言葉を書いたらいいのか全然わかりませんでした。
頭の中で物語を作ることと、実際に言葉にして書くことは、
全然ちがうことだと知りました。

いっぱい時間がかかりました。
何度も言葉を書いて、消して、捨てて、捨てきれずに、また拾い直して。
いろんな書き方を試しました。
全然書けないと嫌になって放り出しました。
でも、またペンをとり直して、書くのです。
どうしても小説を書くことをあきらめられなかった。

私ははじめて誰かに、自分の本当の言葉を知ってもらいたいと思ったから。


そうやってとても時間をかけて、小さな物語ができました。
それが今回、一冊の電子書籍になりました。

自分だけのためにあった物語を、誰かに届けたい、届いてほしいと
思って作ったはじめての本です。



私はこれから、沢山の物語を書いていきたいと思っています。
これは、その最初の一冊です。
どうか、この文章を見つけてくれたあなたに、読んで頂きたいです。


自分の言葉を書くのも話すのも、簡単なことのようで、とても難しいことだと
私は思っています。
もちろんそうではない人も沢山いらっしゃるのだろうけど、
少なくとも自分は、言葉につまづいて、生きてきた人間でした。
でもきっと、大なり小なり、言葉にできない言葉を抱えて、
人は生きているのだと思います。

言葉にしたいけど、言葉にできない。
たとえできたとしても、誰にも言いたくない、誰にも言えなかったこと。

そういう思いや言葉や声があることを、花束のように抱えながら、
物語を紡いでいきたいです。



最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。

どうかこれから、よろしくお願い致します。








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