<イントロダクション>
今まで色々な場面で、この曲はフェイバリットである事を桑田佳祐自身が語っている。とにかくこのレコーディングは楽しかったと。
<詞>
一言でいうと「AV賛歌」。素晴らしい!最高!エラい!スケベ!
しかし、それだけではない。
スケベなだけじゃなかったのねえ~。
サザン名義でのTOMY SNYDERの補作詩もこれが初作品。詞に出てくる「Videofy」は造語だそうで。
また、日本語詞における韻の踏み方は相変わらず目をみはるものがある。
<曲・アレンジ>
ここで、またおなじみ「産業ロック(!)」という言葉が登場してくれる。
よほど「みんなのうた」には懲りたのか(笑)。
しかし、この言葉と裏腹にその後もサザンは産業ロック街道をバリバリ爆進中である(笑)。
萩原健太氏いわく「往年のリトルフィートを彷彿させるブルージィなサウンドに、ビーチボーイズ的なコーラスが絡むという、なんともプログレッシブな仕上がり」という作品で、ブルースというルーズなフィーリングでありながら、アレンジは偏執狂的完璧主義型だという、このパラドクスがすごい。「設計図を引くようにアレンジをやろう」と言っているとおり、シンプルで無駄のないアレンジである。イントロは形態こそ違うがリトルフィートの「ディキシーチキン」を彷彿とさせる。(単にキーが一緒だからかもしれないが・・)
ちなみに冒頭のコメントに登場する門倉聡(キーボード)と菅原弘明(コンピューターオペレーション)とはこれが初仕事。
この曲のポイントは何と言っても桑田佳祐の一人多重コーラスであろう。これにさきがけ、前年のソロアルバムの「今でも君を愛してる」で、初の一人多重コーラスを試みているが、本格的に全編にわたり、やったのはこれが初めて。
その後、現在に至るまで、サザン作品におけるコーラスの多くを占めているのが桑田佳祐の一人多重コーラスであることを考えると、非常に重要な試金石の楽曲であったと思われる。ちなみにエンディング部のコーラスはマンハッタン・トランスファーの「BOY FROM NEW YORK CITY」を思い起こさせる。
また、原点回帰や、デビュー作の認容の発言。はたまた、カブト虫アルバムへのパイロット的役割であった事を考えるにつけ、強いてはその後のサザンの活動全般に大きく影響している事は間違いない。小品ながら優れた一曲である。
<背景>
シングルCDと同時にシングルビデオもリリース。ビデオにはAV女優である松本まりなが出演した。
余談であるが、発売日が1989年4月12日になったのは、当初は2月には発売される予定だったが、この年の4月1日から消費税が導入された事の余波で、価格設定等の絡みで、そうなってしまったようである。ブルースやなあ~。
<私見>
私、個人的に書かせていただきますと
「この曲、最高!!」
私の中でもサザンの楽曲ではベスト5に入っちゃうなあ。
まず、タイトルがいい!詞よし、メロよし、ボーカルよし、アレンジよし、コーラスよし。そして何と言っても、桑田さん自身が自分でホントにやりたい事やってて、それをシングルでリリースしたという点が最大に評価している。すべてよし!!
<資料提供:陸ちゃん>
<1999.05.02記>
もちろんデビュー前からそうだったが、デビューしてから数年の間、『桑田佳祐=ブルースの人』という世界線があって。
「俺たちの音楽的趣味を分かってくれよー」としきりにブルースを前面に打ち出していた割にはファンには全く受け入れられなく、あんなお祭りバンドみたいな感じになっちゃったんだけど…。
これまでに何度か1stアルバム『熱い胸さわぎ』への回帰を口にし、度々デビュー前後の感覚感触の話題を口に出してきた。それはとどのつまり「ブルース」なのである。
「デビュー以前〜ブルース〜設計図を引くようにアレンジ~蟻の子一匹這い出さないアレンジ~最新のテクノロジー~一人多重コーラス」
このキーワードをつなぎ合わせてみると行き着くのはドナルド・フェイゲン「Ruby Baby」かなあ。ドリフターズも大枠で捉えるとブルースっちゃブルースだからねえ。
<2024.11.21追記>
さらに詳しくは↓↓
関連記事↓↓