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桑田佳祐とBob Dylan「偉大なる復活」

「偉大なる復活(BEFORE THE FLOOD)」 Bob Dylan/The Band

ザ・バンドをバックに従えたボブディラン1974年のライブ盤。詳細は陸ちゃんの書いた「ケースケ・ミーツ・ディラン」を見てね。(近日公開予定)

1983年に佐野元春のラジオ番組にゲスト出演した桑田佳祐。
2人の間でボブディランについてこんなやり取りがあった。

佐野「昔、フォークソングがあって、ボブディランに影響を受けた人がたくさんいたけれど、僕の好きなボブディランの部分を出している人はひとりもいなかった。」

桑田「俺も一緒なんだけど。ボブディランを純粋にポップスとしてっていうか、存在感としてみると「偉大なる復活」の時、あのザ・バンドといっしょにやってる時のを聞くと、シャウトしてるでしょう。
そのパワーは全部、説得力をもってくるでしょう。あれは理屈じゃないと思うの。“シャウト”と“けいれん”とか“がなり”がなければダメだと思うんだ。
だからザ・バンドは結構クールでタイトな演奏やってて、ボブディランだけはボコッと浮いててサ。今度はハーモニカと生ギターもちかえて「くよくよするなよ」を歌うでしょう。過去の自分と全然ちがうスタイルで歌っているわけ。それにはもう、しびれちゃってさ。」

佐野「ディランについては僕もまったく同じだね。ディランは歌詞もすばらしいし、曲もすばらしいけど、まず魅かれるのは、針を落として、あの声の質、僕の心臓を手でつかまれるような、あの感じが好きだな。」

桑田「理屈で説得しようとしても言葉がわかんなければダメなんだ。それ以前に歌詞カードをなんとなく拙い英語力で読みながら、シャウトを聞いていると、自分がやりたくなってくるし、同じことを叫びたくなってくるんだ。
ビートルズもそうなんだ。いろんなことやってるでしょう。口でベースやったりとか。おれの勝手だろう、気持ちよけりゃいいだろう、ってとこがすごくある。ディランにしても。その辺を影響受けてよかったなと思ってるし、
きっと世代によって感じ方って違うと思うんだ。」
(1983年)

そう。ボブディランはフォークシンガーじゃないのよ。生ギター1本で、歌っていてもロックなのよ。ロックとは、怒鳴って、がなって、シャウトすることだ!って、それを教えてくれたのがボブディランだ、って桑田さんが昔言ってた。
そして桑田さんが、昔よくラジオでかけていたおすすめの曲がA面1曲目の「我が道を行く」なのねん。私の推測だと、この曲が発展して「ニッポンのヒール」になっていくわけだ。

しかし、このアルバムのディランの歌いっぷりたるや、笑っちゃう位「桑田佳祐」してる。って、逆なんだけど。(笑)
“ロックボーカリスト桑田佳祐”の原点がここにある。
軟弱フォーク野郎も覚悟して、このライブ盤を聞いてみやがれ!

<1999.06.01記>

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