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JAPANEGGAE

<タイトル>

桑田佳祐
「ジャパンとレゲエをあわせた造語なんですが、でも特に深い意味があるってワケじゃないんです。この曲は仮タイトルがそのまま本タイトルになったんだっけ・・。

ええと、レコーディングのときって、メンバーそれぞれにこの曲がどんな感じなのかを伝えなきゃダメでしょ。

みんなは“JAPANEGGAE”というタイトルを知らされて、それぞれ勝手にイメージをふくらませるわけですよ。

まあ、やり方としては古いジャズみたいなんだけどね。」(1984年)

<詞>

桑田佳祐
「辞書いっぱい引きましたよ(笑)。僕ら英語は好きだけれど、うとい。こういう古文調にももちろんうとい。

でもこれは、日本語だから、その分意味としてはリアルなんです。サウンドの距離は英語と同じくらいある、ただやっぱり日本語だからこっちのほうがリアリティ感じる。

あと、この古文調というのは、現代人のしゃべっている口語よりも、同じ字数で情報量がすごくあるような気がするんだ。

それにこういう世界って日本人そのものでしょう、粋とか艶とか、実際音楽やってる人間って、粋、艶、R&Bっていうのは不滅のテーマですからね。」

--語感があって、後で漢字がついてきたのかしら。

「そうなの。だから当然、歌詞づくりはこの“愛苦ねば”というところから始まったんですよ。

“アイ・クッド・ネバー”というところから。フランス語でいえばヌ・バ。
ネバーというのは日本語も英語も共通ということを私は発見しました(笑)。ちょっと違いますけどね。“ネバー”と“ねば”…。

サザンの場合、仮歌ってものすごく大事な要素なんですね。メロディが先にきて、それを後で本題に移し替えるやり方をするでしょう。そこでやっぱり様相が変わるんですよね。

で、仮歌では『アイ・クッド・ネバー・ノー・ウォント・ゴー』とか歌ってたのね。

その辺ってできたら生かしたい。バンドのメンバーにはそういう歌として伝えてるしね、演奏とかアレンジの部分で。だから変えたくない箇所がちょこちょこできるんです。

たとえば『ゴー』とか『ボー』とか『ジョー』とかいう、英語では絶対韻を踏む部分ね。これでいうと『業』『某』『情』という漢字の部分とか。漢字の羅列というのは、とっても大陸的な感じでいいんだよね。

要するにちょっと現実じゃないロマンがあるんだ。でも漢字の字面のどぎつさ見てると、全く現実だったりとかしてね。」

--情報量が多いんだ、漢字って。

「はい、これから情報量の時代です。歌詞も(笑)。やっとパソコンに追いつきました。」

--たとえばワープロというのは『ボー』というカタカナを打つと、漢字がディスプレイに並びますよね。そこから漢字を選ぶという思考パターンがあるわけですが。

「僕は逆に漢字から入るの。漢字と、漢字の持つ情緒から入る。機械的な作業じゃないみたいですね。」(1984年)

同年1984年にリリースされた佐野元春のアルバム『VISITORS』に収録されていた『SHAME~君を汚したのは誰』の漢字の単語の羅列(策略・謀略とか)に感銘を受けたって、当時言ってた事をこれを書きながら思い出した。

「よどみ萎え枯れて舞え」の歌詞にも相通ずる部分である。

<曲・アレンジ>

桑田佳祐
「これはサザンオールスターズとして新しいこころみに挑戦しようということで、冒険心に燃えて作った曲でして、僕らの“意気込み”みたいなものを感じて欲しいのです。

タイトル通り「JAPAN+REGGAE」というわけでして、オートドラムやMC4というマイクロコンピューターなどを駆使しております。

お気付きだと思いますが、もうこの曲は音数の少なさは天下一品みたいでございます。

ただ、この曲へのイメージづけは思案を重ねまして、例えば、原坊のコーラスをハーモナイザーで音程をずらしたり、新劇調の台詞を盛り込んだりしまして、イメージをふくらめたという曲でした。

『“私は見た!!”“何を見た!!”“大衆の良心的なイメージ!!”“それが悪い!それが悪い!”』」
(1984年)

間奏部のセリフ、よーく聞くと言ってる言ってる。上のセリフを。
これは福耳サザンに登録すべきか?

「夢の遊民社っていうイメージがすごくあってね。聞こえないかもしれないけど、バックで新劇ごっこやってたりするのね。

それから『泥の河』ね、映画の。あのランニングシャツがよかったり、画面のトーンがよかったり。」(1984年)

メンバーのコメント

毛ガニ「今回のLPの“きっかけ”の曲なんだ。最初リズムとかやってるころはさ、ポリスっぽいねェとかみんなで言ってたんだけどさ・・、完全に桑田に裏切られた!詞がのったとたん、エッ!?オヨッ!?ヘェー!?多分、詞と一緒に見ないとわかんないよ」

松田「ドラムのパートを別々に録音してるんだけど、フレーズのつながりと“からみ”を、あらかじめスゴ~ク考えて、なおかつ遊び心と冒険心も加えて、やったのです。誰が何と言おうとも、今回のアルバムの中で、一番の自信作だね、この曲。」

関口「“新しい”です。日本のスティングを意識しました。スタインバーガーのフレットレスを使ったんだ。音程と音色を決めるのに苦労した・・。」

大森「ポリスのアンディー・サマーズに聞かせたら、どう反応するかな。ロバート・フリップみたいな変拍子のリフを作って、さらにその上に音を重ねようと思ったんだけど・・イマイチ。」

原 「大好き!こういう和製フュージョンぽいのって初めてだから。“汝は女詣…”のところのストリングスのメロディーライン、スタジオで考えた。なんか追いつめられた感じだった。」(1984年)

<2000.06.07記>


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