桑田佳祐とビートルズ Vol.01 8 YU-SUKE O-SHITA 2024年11月15日 21:50 これは桑田佳祐がビートルズ関連の書籍に寄稿した文章で題名のとおり、ジョンレノンが射殺された翌年の1981年4月4日に書かれ、『もし自分が今、ビートルズのアルバムをリリースするなら』というイメージで書かれたものと思われる。この、ねじ曲がったビートルズ観。これこそが彼の音楽観そのものだと私は感じる。とてもピュアだ・・・・。「The Beatles Album,Release '81.4.4.」サイドA<A-1 Things I said today> ジョンが死んだことで、なぜかポールが引き合いに出され、そのたび、幼稚とか、コマーシャルに走り過ぎとか、言われている。冗談ではない。ジョンがビートルズという言い方があるなら、ポールがビートルズだ。強いて選べと言えばジョンを選んできた僕も、今、このことだけは吐かずにいられない。ジョンの話は、ポールを認めてからのことだ。頼むよ・・・って、言いたい。<A-2 They're so heavy> 勿論、残念なジョンの死がきっかけだが、最近、先のポールへの様々な言葉で、ビートルズらしさとはなんだったのか、ということをしきりに考えるようになっている。あのストロングタイプ、フリースタイルのミュージックは、とても一言では言えそうにない。ポールも、ジョンも重い。ヘビーという言葉にしてしまうと、またまとまり過ぎてしまうほど重いのだ。<A-3 I'm lookin' through you> あの日以来、「ラバーソウル」の音が突然優しくなった。ビートルズをその流れと共に体験してきた人たちからは、そもそも「ラバーソウル」は優しかったと聞いていた。しかし僕には、それまでやっぱりヘビーだった。どんな重みがとれて、そのかわり、どんな温もりが表れてきたんだろう。感じの中で言えば、前者がジョンで後者がポール!?いや、それも絶対違う。<A-4 They're in black> 「ユーキャントドゥザット」「デビルインハーハート」・・僕らは、いつもこんな曲を好んで演奏していた。マイナーだけど黒い曲だ。そしてその歌い方とヴォーカルが、僕らにはすごくよくわかったような気がした。 ソウルフル、ハートフル・・いや、そんなもんじゃないんだ。それ以前のところで僕らの身体が、ビートルズの黒さに、応えていたような気がする。<A-5 Because> 世界が丸いから、僕にのしかかってくる。風が激しいから、僕の心も、吹かれる・・・「ビコーズ」の体験。見に覚えがあるんだ。とてもよくわかるんだ。 ジョンは東洋的だ。そしてそんなジョンがそんな声で歌うから、僕も泣けてくるんだ。 ラブイズオール、ラブイズ・・・、ラブイズ・・・ジョンがくれた世界の中だ。 今日も空、青い山。サイドB<B-1 Come Together> ジョンの止まりをしらない空想が好きだ。こうするとこうなるだろう、するとボクはこうするから彼女たちはこうこたえるだろうか、困ったな、そしたらどうしよう、愛してる心、途中でわかってもらえなくなってしまうのではないかな、それなら飾りもなにもなしにありのままボクを伝えようか、いやいや、それはこわいから、やっぱりああしようかな・・・僕も実は性格が似ているんだ。<B-2 Goodday Paul Shine> ところでポールのいつも春めいた雰囲気も羨ましいほど好きだ。 まるで太陽だ。あったかい陽ざし。暑くない、あったかい陽ざしだ。 のどかだ。それに、のどかでなければいけない、とでも言っているようだ。 ところでポールのいつも春めいた雰囲気も羨ましいほど好きだ。<B-3 We wanna be Your style, man> ハッキリ言って、リンゴって滅茶苦茶カッコいいドラマーだ。あれさえやってればいいっていう感じで叩いている。不足なし、余りなし。要するに、そこで叩いている。「アイムダウン」のドラム、本気で聞いたこと、あるかい!?僕らがめざす音っていうのも、リンゴがサジェストしてくれている部分がある。そうさ、叩き出す音も、絶対にいいんだ!<B-4 Long and Winding road> 「ロングアンドワインディングロード」はブルースなんだ。半端じゃない。あれはレイチャールズが歌っても似合う歌だ。クラプトンでも、いい。 ドロドロ、混沌、哀愁の底からの声。たまらなくいい。 僕も、行きたい。その境地に達したい。ポールやレイチャールズ、クラプトンのヴォーカルの出所に。<B-5 Good morning,good morning> 僕はうぬぼれている。彼らの理解者として他の人にも負けない。彼らの気持ちを代弁してあげられる。 時代が違う、って!?そんなことはない。 雨の日、舗道が光っている。10メートル先を歩く人の影が、その面でかすかに揺らぐ。 こんな情景、今も60年代も、ちっとも変わりはないじゃないか。言うことないよ、もう。でも気分はOKさ!<2000.05.09記> ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #サザンオールスターズ #1980年代 #JohnLennon #PaulMcCartney #GeorgeHarrison #RingoStarr 8