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よどみ萎え枯れて舞え

<詞>

桑田佳祐
「ラブソングには、二通りある、みたいな考えってあるわけなんだけど、それは失恋と愛情みたいなものに代表されちゃうわけですけど、今回描きたかったのは、もっと違う世界でして、日本という状況の中での男と女の機微にふれてしまったラブソングなわけであります。」(1984年)

桑田佳祐
「以前は、愛とか恋とか、ひいてはセックスみたいな部分を題材にしていた。というのは、セックスは不滅だ、いいものはいいんだと思ってたから。でも、このセックスにだって前提はあるんじゃないかということをやっぱり『綺麗』あたりから思い始めて…
たとえばの話、浮気が原因で、仲直りでセックスを始めたとか、隣の奥さんのことを妄想しながらセックスしたとか単なる『アイラブユー』で表しきれない、5番目の『アイラブユー』があるかもしれないなんて。俺は『アイラブユー』っていうのはいつも1番だと思っていた。ところがいわゆる男と女の間には5番目の『アイラブユー』もある・・いいこというなあ(笑)。
音楽がなかったら物書きになってたよ。

それまでは、ラブソングというのは2種類しかなかったのが僕らの現状だったと思うの。要するに『アイラブユー、アイムソーハッピーウィズユー』あんたと一緒にいるとうれしい、というのと、『アイミスユー』あんたがいないから寂しいよという、両極だった。最高に幸福か、最も不幸かね。でも、この間って現実にはたくさんあるじゃない。そういう機微というか、生活。だから男と女の細かい部分というか、5番目、7番目の『アイラブユー』も出していきたいという気がしたんですね。」(1984年)

桑田佳祐
「いわゆるニューミュージック的常套句とか慣用句だけでひとつの愛の世界ができあがっちゃってるでしょう。誰が『愛』と言っても同じという、そういう世界が嫌いで、まあ俺たちには俺たちの愛とかさ、愛というと臭くなりすぎる愛があるんだという、この年齢にしてね、そういうのがありましたね。
例えばとっても足が臭いというか、そういう部分も含んで好きだとか、ニューミュージックでは絶対女性は足が臭くちゃいけないんですよ(笑)。
で、僕らはそうじゃない。歯にグレースがあっても好きだ、という部分ね。
だから永遠にラブ・フォーエバーというのではなくて、3分間でもいいから愛してみたいという、スピード感のあるキャッチしにくいアイラブユーをやってみたかった。」(1984年)

<曲・アレンジ>

桑田佳祐
「サウンド的には、これはまさしく手先と発想の合致!から生まれてきた曲です。間奏に見られる原坊のシンセサイザーフェイク!あきらかにコードの狂いも無視してしまうという独断の下にできました。
ちょっと聴いた感じは、『綺麗』の延長線上にある、サザンのメインストリーム的な解釈もあるでしょうが、『綺麗』の反省点をふまえての音作りをほどこしたわけです。正確そしてたくましく!をモットーに、1音1音にこだわりを感じつつ作り上げました。」(1984年)

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