<詞>
今や、桑田佳祐のお得意となった現代日本を切り取ってコラージュして行く「日本の闇と病み」シリーズ(←私が勝手にそう呼んでいるだけ)の、おそらく一番根源となる作品。後の「ニッポンのヒール」~「漫画ドリーム」~「貧乏ブルース」~「汚れた台所」~「YARLEN SHUFFLE」~「爆笑アイランド」等々へと発展していく。
このような作品の場合、それらの“社会悪”を声高に叫ぶわけでも、糾弾するわけでもなく、事実をただ淡々と羅列して、ただ淡々と韻を踏んでいくだけ、という手法を多く使う。これは、現象を茶化したり、自分の考えを押し付けたりするというよりは、余白(“行間”ともいう)を聞き手の感性に委ねているということを忘れてはならない。
これが桑田佳祐のポップミュージックであり、エンターテインメントである所以なのである。
<曲>
まず、前提として書いておくが、この時期の桑田佳祐はホントに尖った発言が多かった。
ソロアルバムのプロモーションのためのロングインタビューなのだが、折しも「みんなのうた」リリース、復活祭のリハーサル、それらのプロモーション等々、精神的にグシャグシャになっていた頃なのか、(←「みんなのうた」の項参照)桑田佳祐のいらついている姿が如実に表れている。
すんげぇー、皮肉たっぷり(笑)。
上記の発言はロングインタビューからの一部抜粋なのだが、実は、この時のインタビューは、最初から最後まで、かなりズバズバと本音を吐き捨てるような過激な皮肉な発言ばかりであった。
そういったニュアンスで読んで下さい・・。
この日がたまたま機嫌が悪かったのか?インタビュアーとの相性が悪かったのか?いずれにせよ、いつものようなファンに対しての気づかいを全く見せない、オール本音のインタビュー。こういうのが私、一番好きです。
<1999.12.30 記>
個人的な話で恐縮だが、リリース当時から私、この歌がホントに大好きで。
歌詞の構築の仕方が1988年には斬新で、冗長でなく俳句のような世界で名フレーズ揃い。特に「享楽の病に怯えて防具」が秀逸で。韻を踏みつつ当時の世相を1行で言い表している。しかもコミカル、シニカル、そしてエロ。
また上記で桑田本人は否定しているが、しかしやはり狂気をはらんだビートリーなサウンド。そこに絡む竹内まりやのコーラス。88年復活祭のソロコーナーではブギ調にアレンジされたバージョンもカッコよかったのだ。
今、これを書きながら気が付いたのだが、この曲って翌年の「女神達への情歌」の助走になっていたのかなあ?ブルースについて書きたい事がたくさんあるがまた今度。
<2024.10.21 追記>