4月26日①
11時頃に目を覚ました。ここ数日は「カラマーゾフの兄弟」を夜遅くまで読んでいて、つい起きるのが遅くなってしまう。昼から英語の授業があったので、食事をしてからシャワーを浴びた。まだ4月にも関わらず、冷房をつけてやろうかと思うほど暑い。着替えている時にふと、これから夏に着るような服が全くと言っていいほど無いことに気付く。大学が終わったら夏服を買いに行くことにした。せっかくなので、数少ない友人の一人を夕飯に誘う。すぐに、「仕事が終わったら行く」と返事が来た。
大学に着くころには授業の時間を10分過ぎていた。英語の授業は主にグループワークで、友達と呼べる人が皆無(少しはいるが、みんな卒業してしまっている)な自分にとっては億劫だった。それでも、4~5人で机を向かい合わせて話すのは小学校の給食を思い出せて、少し懐かしい気持ちになる。今日のテーマは「食糧問題について」だった。適当に聞き流していたが、突然意見を求められたので少し考えてから、「虫でも食べればいい」と発言した。するとグループ全員の好奇の視線が自分に集まり、それからはずっと昆虫食の話題だった。私がそれについての些かの知識を喋ると、私への認識はいつの間にか「普段から虫を食べている人」になっていた。(私は虫を食べたことは一度もない)あまりいい気はしなかったが、面倒だったので否定も弁解もしないまま、授業が終わった。教室から出るときに、一人の青年に声をかけられた。髪を明るい茶色に染めていて、身長は170センチ前後の、いかにも快活そうな19歳だ。青年というよりは、まだ少年のようなあどけなさが残っている。一目ですぐに思い出した、彼は前回同じグループで、遅刻してきた私に教科書を見せ、課題を教えてくれたり、興味ありげにいろいろと質問してきた青年だ。名前こそ知らなかったが、なかなか親切にしてもらった上に、好意のようなものを向けられた気がしたのでよく覚えている。彼と今週の課題について少し話した後、快く挨拶をして教室を出た。ドアを閉める最中、彼の隣にいた彼の友人と思しき人が「あれが噂の?」と言ったのが聞こえたが、気にしないことにした。外はまだまだ明るい。晴れとも曇りとも言えない天気で、半袖で過ごすにはちょうどいい気温だった。