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降水確率0%の通り雨《君の落雷 僕の静電気体質》11

「さ、出しなさいよ」
「撮っていたのですよね?あきらを」
姉二人が犯人たちに迫る。周囲に霧と雪が舞う
「し、しらない」
「じゃあ、質問を変えるわ。あきらにお酒を飲ませたでしょう?」
「酒?ち、ちがう。あれはガキが勝手に」
「飲ませましたね?」
「はい、がぶがぶ飲んでいらっしゃいました」
「で、スマホで撮ったことは覚えていないと?」
「いや、あのとき、あのときは、あの」
「思い出さなくていい、私たちは、そのスマホとデータが欲しいだけなの」
「スマホはあれは黒焦げになって、、」
「黒焦げ?」
「気が付いたらこの建物の外にいたんだ、で、スマホが黒焦げでどこへも連絡できないと焦っていたら、あの人が」
「あの人?」
「そのスマホと引き換えに20万円あげるから、それで帰りなさい。っていって20万円もらったんだ。」
「データも確認せずに売ったの?」
「本当に黒焦げだったし、熱で歪んだみたいになっていたんだ、データも無事じゃないさ」
「それで?」
「電話番号もメールアドレスも全部ダメになったからさ、クライアントともそれまで」
「なら、今回あきらを攫ったのは誰の依頼、、」

「ふーん、無事でよかったね、君たち本当に運がいい」
「おまえ!」

2人の姉は顔を見合わせ、そして首を振った。
「あいす」
「飲んでたのね」
「ああ、飲んででもいないとやってられないよ、こんな状況」
「どうするつもり」
「あいつにけりつけさせる」
「そのためにこんなことを?」
「嵐の前の小事にこだわらないでよ。それにあきらをこのままにしていいの?」
「それはそうなんだけど」
「大体過保護すぎ、あきらにも責任負わすべきだよ。いい加減にさ。俺だっていつまでも我慢できないね、正直もうぶっ飛ばしたくてたまらない」
「・・・」
「ま、もうそこにいるけど、たける!」

「飲んでいるのか」
「ひさしぶり」
「三徒、倉石?」
「しっ、富田」
「うすうす感づいていた。これは、お前の計画したことか」
「あきらは記憶消失だからね、俺がやるしかないじゃん」
「目的は」
「俺の写真とクライアントのデータ」
「それをどうするつもりだ?」
「俺の写真が変態の手に渡るなんて我慢できない、そうだろ」
「そうだな」
「へ、へんたい?倉石そんなのに狙われていたのか!」
「ひどいな」
「ま、あいつらの正体が知りたいっていうのもあったけど、やっぱり第一は変態、」
「そこまでだ、俺まで気分が悪くなる、で、どう収集をつけるつもりだ、それに、お姉さんたちまで来るとは」
「それは、想定外、ねえさんたち、なんできたの?」
「事態が変わったからよ」
「悠長に待っている時間は無くなったの、あきら、あいす、二人ともが必要なの」
「そう、でも俺は嫌だよ」
「あいす」
「嫌だって言っているの、これ以上あきらの尻拭いするのは!」
「あいす」
「いつだって、あきらはいいとこどりでさ、俺がどんだけ苦労しても手柄は全部あきらでさ。もううんざりなんだよ。今回だって俺がどれだけ」
「なら、どうしたい」
「あきらにぜんぶ返したい」
「できるのか」
「あきらさえ、覚悟きめてくれれば」
「そうね」
「ねえさん」
「そうするしかないわ、今できなければ、この先もない、いつまでも弱さに逃げてはいられない」
「そう、ですね、自分からは決して逃げることはできないですものね」
「さすがねえさんたち、弱っちい守るだけのたけるとはちがう。だから、たける、お前にも試練をあたえるよ。俺のルーレットに挑戦してもらう」
「あいす
「ルーレット?ってあのカジノの?」
「そうだよ冨田、人生なんてギャンブルなんだよ、最後は常に運任せ。運命の手の中にある」
「拒否権はないんだろうな」
「あったとしてもつかわせない」
「わかった」
「今回のルーレットはこれ」
あきらの横に丸い板が現れる。
「ダーツ?」
「そう、運と度胸を試してあげるよ。白いところが当たり」
「ちょっと待ってよ、真っ赤じゃん!?白いところなんてないじゃないか」
「あるよ、ちゃんとね、で、赤いところに当たったら、」
「白にしか当てないから説明不要だ」
「・そう、じゃ頑張って」
あきらは、あいすは椅子に座りなおした。
「どうぞ」
たけるがダーツを構えた。門脇は腕を組んで、富田は指を組んでそれぞれ立っている。姉二人は、ステッキのようなものを手にして佇んでいる。
そして、、たけるは、、投げた!

やっぱり君は運命をこえて行くんだね、、
「え、」
あいすは椅子にもたれて眠っていた
ダーツの針は、小さく「眠」と書いた白い文字の線を貫いていた。




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