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降水確率0%の通り雨3《君の遠雷 僕の健忘性体質》11

平和な時間が過ぎていた。ありささんは、戦いの後始末で忙しそうだったが、あちらへこちらへと移動する気ままな旅は元のままだった。飛空艇を並べて、気に入った街に降り立
ち、自然を散策したり、土地の食べ物を食べたり。意外だったのは、あまねが市場歩きが好きだったこと。といっても、買い物をするというのではなく、かわいい小物やきらきら光る石を眺めては楽しそうにしていた。
「何か買ってあげたら?」
門脇がからかうように言ってきた。
「そ、そうだな」
俺はあまねの近くに行って声をかける。
「そ、そういうのが好きなのか」
「うん、きらきらしてるのって大好きなの。これとか素敵だわ」
「じゃ、買ってやる」
「え、いいよ、悪いわ」
「あー、じゃ私とあまねでお揃いの物買ってもらおうよ、ね、あまね。たける、いいでしょ、それならあまねも受け取ってくれるんじゃないかな」
あきつが、ニヤニヤ笑いながら、でもしっかりと牽制しつつ言う。
脅しか!何か買ってあげたい、だが、あまねとあきつのお揃いなんて嫌だ、だけど、
「あ、じゃあ、あきつの分は俺が買うよ。あまねちゃんの分はたけるが買いな。ねえ、あまねちゃんそれでいい?」
「うーん、そうね、ありがとう、お言葉に甘えちゃおうかな、ね、あきつ」
「え、ええ、、」
あきつが微妙な顔をしている。策士策に溺れるだ、ざまあみろ。
2人のペアというのは納得いかないが、まあいい。俺からのプレゼントはこれからいくらでも贈れるのだから。

そう、思っていた。
時は突然、絶たれる。

「あきつー!!」
昼食の準備をしているときだった。男二人でテーブルをセットし、あまねとあきつが料理を運んでくる。外で食べたいといったのは誰だっけ?あまねだ。そのあまねはどこだ?今、空から降ってきた何かからあきつをかばって、かばって、空間に消えようとしている!!!
「あまねーーーーーーーー!!!」
「駄目!!たける!私たちにまかせて!!」
「あきつ!」
「あまねーーー!!」

それは、一本の松明
それは、太陽のかけら
それは、新たな世界への移動命令
(時の神よ、また跳べということか、しつっこいんだよ、くそおやじ!!)
あまねは、時の神の愛娘で秘蔵っ子。父の愛は概して歪むもの。
(せっかく仲間が、素敵な人たちに出会ったのに、離れたくないのに!どうしてよ、くそじじい!!)
「あまねーーーーー!!!」
「答えて答えてあまね!!!!」
「あきつ、、、」
「言って!あまねの望みを言って!!!叶えるから!!運命の神の名のもとに絶対叶えるから」
「、、一緒にいたい、、ずっと一緒に、そして、、あずさねえさんのご飯食べたい」
「わかった、叶える、絶対叶える、まってて、ありさねえさん、あずさねえさん」
「そうね、今はそれがベストね」
「いつか、元に戻れるでしょう」
三人の身体から青、赤、黄の光の柱が立ち上り絡み合いながら天へと昇っていき、やがて消えた。

「あまね!あきつ!ありささん、あずささん」
4人の姿は飛空艇とともに消えた。
「いったい、どこへ」
「どこへ消えたんだ、おい、たける」
「待て、爺さんがいる」
「彼女らはもうここへは戻ってきませんよ」
「なに!?あなたはいったい何を知っているんですか?」
「細かいことなどどうでもいい。彼女たちは今どこにいる?それだけ教えてくれ」
「知ってどうしますか」
「追いかける」
「無理でしょうね」
「なんだと」
「無理だといったんです。彼女たちはもうこの時元にはいない」
「どういうことだ」
「おそらくですが、彼女たちは転生した。時間を超えたんです」
「4人同時に?」
「3人姉妹は時を司るもの。楽々超えていけるでしょう。姫も時の姫。だが、あなたたちは、、、」
「あいにく、俺たちも、時空移動ならお手の物なんでね。行くぞ、門脇」
「どこに?あきつたちがどこの座標に行ったかお前にわかるのか」
「うっ」
「まったく、馬鹿なお方だ」
「教えてくれないか、頼む、どうしても会いたいんだ、俺はただ」
「・・・いいでしょう。なにか目印があれば。姫に何かプレゼントしたものとかはありませんか?」
「プレゼント、、あ、あの時のブレスレット!!」
「そうだ、あきつとお揃いで買った、いつも身につけてくれてたから、導きの石になるかもしれない!」
「そう、ですか。では、その石を思い浮かべてください、私がその石のある座標まで送り届けます。ただし、注意しておきますが、ここへは二度と戻れませんよ。それでもいいんですね?」
「おれはいい、お前は」
「べつにいいよ、楽しければ」
「わかりました、始めます」
長老が何かつぶやくと、2人の身体からそれぞれ黒と茶色の光の柱が立ち上り絡み合いながら登っていく。
「ありがとうな、じいさん」
「なんの、どうせあなたたちの記憶は消えますから」
「「なにい」」
「記憶のない、生まれたての赤子の姿でどうやって姫たちを探すのか楽しみです、ほっほっ」
「「このやろうううううう」」
(ま、姫たちの方から近づいてくるでしょうがね、あの青年の、あの潜在力は、たぶん、、)
「これで良かったのですか、時の神よ。あなたは、あなた方は本当に」
性格が悪いとはさすがに言うことができなかった。

(これくらい当然だ、私の娘をぶったのだからな、罰としては軽すぎるくらいだ
は、は、は、)


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