降水確率0%の通り雨2《君の雷鳴 僕の過敏性体質》1
僕は信じてる
信じてないと生きていけなかったから
消える記憶
だけど、いつだっているよね
君は、僕のそばに
雨が降ってるね
僕の部屋の中、なんとはなしに、ぽつりとつぶやく。同じ空間を共有していたたけるは、
「夏の雨だな」
温かい雨だ、と答えを返してきた。
シャワーみたいに浴びてみる?と冗談でいったら、夏とはいえ、風邪をひきそうだと、真面目に返してくる。
遠い昔を思い出して、思い出す記憶があることにちょっとだけ、びっくりする。
記憶を失っていた年月は、15年だけではなかった。
なんだかなー、自分に呆れること半分、しかたがないよねと納得すること半分。ありさねえさんなんかは、天性のトラブルメーカーだって言うけど、単に、相性の問題かな。僕とたけるの。一緒にいると何かが起きる。それは相性がいいのか悪いのか。答えが出ないことを考えていても仕方がないので、外の雨に意識を戻す。遠くで雷も鳴り出した。
(、、雨、、雷、、)
生暖かい雨は、彼と離れた日のことを思い出させる。違うな、最近思い出したの間違いだ。僕はその時のことをずっと忘れていたのだから。
それは、永い繰り返しの中の、一つの羽化
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