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降水確率0%の通り雨4《君の雷雲と僕の離脱性体質》9

これはね、いざという時に使うものなんだ。使い方はこう

ああ、それでどういう効果があるんだ?

それはね


「冨田、どうして、」
「俺は姫の騎士だから、守るのは当然でしょ」
「いや、ちがうから、え、姫?」
「時止めの姫、それともあまねちゃんと呼ぼうか」
「、、きみ、誰」
「冨田だよ、別名、時の放浪者」
バキィ、壁一面に亀裂が走る。
「あ、じ、じゃあ、おれ三徒たち迎えに行かないと」
「ふ、ざ、け、る、な、あああ」
絶叫と共に、星全体から光の矢が飛び散った。

「なんだろう、あの光、もうすぐ、あきらの故郷か、きっと、迎え撃つ準備万端だろうね」
「ああ、あの神のことだ、相当な仕掛けがあると思っていい」
「分散されずに中央突破、かな」
「そうだな、ほら、入り口が開いた、迎えてくれてる」
「行きますか」
「「ああ」」

大した抵抗もなく、ズンズン進んでいく。
「変だな」
「油断させたいだけだろう」
「そうなんだけど、警備の数も少ないし、皆んなヨレヨレじゃないか?」
「うーんたしかにそうか、も」
時止めの姫のいそうなところを、記憶を頼りに探す。だが、どこにもいない。兵に聞こうにも知らないとしか返って来ない。
「神の間に行くしかないか」
「あきらの父親のとこ?」
「おそらく奴が全ての黒幕」
「行こう」

見上げるほどの大きな扉の前で、タケルは詠唱する。
「破離雑言」
ずんっと扉が崩れ落ちる。
開いた扉の向こうに、時の神は座って待っていた。
(ん?傷が?)
あいすは思ったが
たけるは、何も気づかず、まっすぐ時の神と対峙する。
「あきらは、時止めはどこだ」
「教えると思うか」
「思わない」
「ならどうする」
たけるの身体が金色に光始め、頭上に黒龍が渦巻く。
「なにを」
「雷電降下」
ドンドンドン
雷が落ちる。
もうもうと霧が立ち込め、そして、
「なんだ、これはー」
人々の胸の前に、プレートが現れていた。
「門脇!読んでくれ」
「え、っと」
「俺も遠眼ができる!まかせろ!」
じっと、時の神のプレートを見つめ、
「と、とみたぁ?」
「マジか、冨田と書いてある」
「ふん、ばれたか、面白くない。そうですよー、俺は冨田で時止めの父、文句ある?」
「ありまくりだ!なんでこんなことを!」
「娘を守るのは父親として当然のことだと思うがね。まあいい、時流れから戻ってきたことは褒めてあげるよ。でも、ここまでだ、次は容赦しないよ」
「そう、容赦なんてしてたまるか!」
空中から、声と共に現れたのは
「あきら!」
「流爆銀龍!絶対、僕に従え!洪!」
「みんな避けて、たける!!」
「神感落雷!!」
大量の水が轟々と時の神を襲い、最大級の雷が時の神に落ちた。
「くがっ」
バリバリと放電しながら、時の神は水に沈んでいった。

「あ、きら、あれ大丈夫なのか?」
水が引き、時の神はぴくぴくと、横たわっていた。
「大丈夫だよ、時の神だもん」
「いいざまだこと」
「かあさま」
「でも、ちょっとやりすぎよ」
「僕じゃない、たけるだよ」
「これは、当然の罰、そうではなくて、部屋に監禁されてた時、最大光紗使ったでしょう。城の大半のものが脳震盪起こしてますよ」
「あはは」
(敵がいなかったのはあきらのせいか!)
あきらの母親は、時の神を引きずって、部屋を出ていった。
あきらたちも、昔のあきらの部屋へと移動する。

「そういえばどうやって監禁部屋から出てきたの?」
侍女に持ってきてもらったお茶を飲みながら、あいすが聞く。
「たけるが[なのーれ]を作動させたから、」
(なのーれって、名前なんだ)
「部屋に脱出方法を聞いたんだ。そしたら教えてくれたからさ、その通りにして出てきた」
「へ?」
「ついでに、父親の弱点も聞いたんだ、ダメ元で。そしたら、『感電』ってでてさ、これだって思って、たけるに雷落としてもらったんだ」
「ほ?」
「あきら、結局あれは、なんの機械だったんだ?」
「知らずに使っていたの?」
「いや、お前がいざという時に使うものだと、で、いやな予感がしていたから、ちょっと借りてた、すまん」
「別にいいんだけど、どうせたけるにしか使えないしね。あれはね、なのーれっていう名札発生装置」
「な、ふ、だ?」
「僕記憶消失だったからさ、毎日名前忘れるじゃない?なんか聞き直すのめんどくさくなって、名前と自己紹介文が出る機械があったらなって思って造ったんだ」
「あ、そうなんだ、」
「ただ、個人情報保護法とかうるさいかもと思ってたけるには言い出しにくかったんだよね。人の脳波に直接アクセスしちゃうし」
「それは問題あるかもしれないな」
「つまり、今回何の戦力にもならない機械だったわけだ」
「冨田の事見破ったじゃないか」
「直接的な攻撃って意味でだよ」
「そうなんだよね、自白させるだけでは駄目だよね」
「え、自白?」
「うん、あのプレートには絶対嘘が書けない。尋ねられたことに真実しか書けないんだ、そして絶対答えなきゃならないという縛りもある」
「絶対に?真実を?」
「どうしたのさ門脇、さっきから」
「倉石、その機械貸してくれ」
「いいけど、門脇には使えないよ?」
「なんで」
「雷3発落とさなきゃ起動しないけどできる?」
「う”」
「たける、助けてあげるかい?」
「悪だくみしてそうだから断る」
「くっ」
「なあ、なにがしたいんだ?」
あいすが聞く。
「、、聞きたいか?」
「やっぱやめとく。あきら、お母さんに会いに行くんだろ、俺も行く」
「俺たちも行くか」
「、ああ」
「あきらに自信を持つべきだっていってたよな」
「、、」
「お前もだろ、いっとくが俺についてこれるのなんてお前くらいだ」
「、ああ、そうだな」

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