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降水確率0%の通り雨4《君の雷雲 僕の離脱性体質》1

「あきらー、あいすー、ご飯できたわよー」
「「はーい」」
僕らは、僕とあいすは、今一緒に暮らしている。あずさ姉さんが、大学進学に合わせて、従兄弟であるあいすが、家に下宿をし始めたという設定をこしらえたそうだ。だから、あいすは3年とちょっと前から同居していることになっている。本当は5ヶ月なんだけどね。双子うんぬんは、たけるをからかうためのあいすの嘘だ。そんなに大きな変更はできませんとはあずさ姉さんの弁。大学もあいすと僕は同じではない。それでも、こうして一緒に、ご飯を食べたり、話をしたり、枕を並べて眠ったりが嬉しかったんだ。

迎えにいくよ

聴こえる声は無視して

ううん、ちがう
ただ、かんがえたくなかった
また、このせいかつから
やさしいひとたちから
はなれなきゃいけなくなるのが
いや
だったんだ

「あきら!」
「わっ、びっくりした」
「何考えてんの?」
「んと、卒論の構成?」
「ふ、ん、どうせろくでもないこと考えてたんだろ」
あいすはとてもカンがいい。
「ごめん、僕の記憶のこと」

・・・・・

いつからだろう、不思議な夢を見るようになったのは。ずっと昔からのような。つい最近のような。言えるのは、純然たる真実として、この夢の中の生涯は俺の中に存在しているということ。

俺ばかり、追いかけてるのはどうかと思うけれども、そばにいられるならそれでいいとも思ってしまう。
ーなぜだと思う?
また、この声か
男とも女とも一人とも複数とも、その時々で変わる、不可思議な声。その声が俺に問う。
ー何故、そんなにも執着する?
知らない、知る必要もない、俺が勝手に思っているだけなのだから
ー何故
うるさい、だまれ!

枕に突っ伏す。わからない、何故かなんて、それでいい
思い出した記憶は消してしまおう。
もう、新しい生にいるのだから。
この生では、色々あったが、20年間ずっとそばにいた。それは決して短い時間ではない。誰がなんと言おうと。その記憶はつなげる。
たとえ、この生が終わっても、その次、その次の時間も俺たちは一緒にいる。

ああ、そうさ。

ーーが許すかしら

許可なんていらない

ーー帰してもらう

!!

なんだ、今のは、夢!?
いきなり、起き上がったせいか、眩暈がする
帰して?
なんのことだ

窓の外が急に暗くなり、ざーっと大粒の雨が降ってきた。夏の雨だ。遠雷が鳴っている。


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