降水確率0%の通り雨3《君の遠雷 僕の健忘性体質》1
ぐにょり
なんだろう。今景色がゆがんだ?まさかそんなことが起こるはずはない。ここは閉じられた世界。始まりもなく終わりもない。ただの空間。
どん
地面が揺れている、まさか、
ここは、時のない空間、一人のためだけの世界。
そんな空間が破られる時が来た。
誰だ、あいつ、ぼーっと何見ているんだ、あっ倒れた、
「おい、大丈夫か」
目の前には海岸線。その女性は砂浜の上にうずくまっている。
「おい、どうしたんだ」
女性がこちらをじっと見てきた。綺麗な青い目、ちょっとドキッとする。
「いえ、何ともないです。ところで、ここはどこなんでしょう。」
「枝極の国だが」
「枝極」
「おい、あんた」
何だか、変わった服だな、とたけるは思った。別に女性の服装に興味があるわけではないたけるにでも、そんな格好の奴いないよなと思わせる服装であった。なんか、異国の像に似てる?
「あの、すみません」
「あ、なんだ?」
「すごく、困っているんですけど」
「迷子か何かか」
「急に放り出されてしまって、どうしていいのか」
「そりゃたいへんで」
「いえ、それはいいんですけど」
「いいんかい」
「とてもお腹がすいていて」
「はあ」
「空腹で」
「はあ」
「とにかくお腹がすいていて、この苦しみ分かります?」
「それは、俺にどうにかしろということか?」
「わかっているなら救ってください」
「そういわれても、今俺も旅の途中で、持ち合わせている食料といえばっておい」
「もういいです。他の方を探します」
「だから、食糧なら船まで行けば、」
「ここらへんよ、不穏な信号感じたの!」
松林の向こうから、女性たちが現れた。
「助けてください!!」
「え、おい」
変な格好の女性が駆け出していく、今現れた一団に向かって、
「助けて!」
「どうしたの!?その男に何かされたの!?」
「このー女の敵があ!」
女性の一人が、たけるに向かって手にした棒を振り下ろしてきた。とっさのところでよけると、女性は連続で打ち下ろしてくる。
「俺は何もしてないって言っても聞かないんだろうよって、えーいしつこい」
たけるは手のひらを打ち込んでくる女性に向け
「砲」
風圧を打ち込んだ。
「うわっ」
女性は体勢を崩し、転ぶ
「そこの女、覚えてろよ」
「まあ、テンプレな台詞、本当に使うのね」
うんうんとうなづいている
(変なやつ)
それでも、女性を相手にする気にはならないのか、たけるは立ち去った。
「こわかったでしょう。もう大丈夫よ。」
「ありがとうございます。怖かったです(空腹が)」
「あの男いきなり襲ってきたの?」
「はい(空腹が)」
「なんて奴なの、身なりだけは良かったから、貴族の暇人ね。そうゆうやつって、旅の恥はかき捨てって、豹変するのよね」
「そう言うの、ドラマでありそうですよね」
「今はあなたの事なんだけどねっと大丈夫?」
女性が膝から崩れ落ちる。
「緊張が解けたのね、待ってて、水を」
「いえ、水もうれしいのですが、できればその、何か食べ物を。お腹すいてぺこぺこで、何でもいいのでお願いします、どうか」
「可哀そうに、空腹に付け込まれたのですね、さっき焼いたパンとスムージーがありますから」
「本当ですか!!!いいんですか!本当にいいんですか!!」
その勢いに押されたものの、あずさはたくさん食べてくださいねといいながら、船の食堂に女性を連れていき、パンやスムージー、クッキーなどをふるまった。
「おいしい」
女性は感極まったように言い、実際涙を流しながら、次々にパンを頬張っていった。
「おいしかったです。ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした。こちらこそ、おいしそうに食べていただけて良かったです」
「ね、あなたのお名前聞いてもいいかしら、私ありさ、次女のあずさに末っ子のあきつよ」
「三人姉妹素敵ですね、私はあまねといいます。一人っ子です」
「では、おうちはどこって聞いてもいい?いえる範囲でいいのよ」
「いいえ」
あまねは何か決心したように、こぶしを握った。
「いいえ、ちゃんと話します。ごはんもらって嘘はつけない。一宿一飯の恩て言いますものね、まだ、一宿はもらってないけど」
「それはこれからあげるわね」
「ありがとうございます。家の件ですが、家はないんです。私漂流してたんです。ずっと」
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