降水確率0%の通り雨《君の落雷 僕の静電気体質》13
「僕、明日から学校に行くよ」
「え、でも、2週間も眠っていたのよ?今日起きたばかりで、大丈夫なの?電車で倒れたりしない?」
「だいじょうぶだって、それに僕がいつまでも臥せっていたら、それを口実にねえさんたち会社さぼりまくるよ」
笑いながら言うと、それもそうねと母がいい、姉たちは口々に、ひどい、人の心配を無碍にしてとわめいている。そして父はそんな僕たちを嬉しそうに見ている。ああ、普通の家族だ。ね、あいす、君もここにいたらいいのに。
結局、いつものように、明日の朝たけるに迎えに来てもらうということで収まり、姉たちは、朝一番の電車で会社に行くから早めに寝ると言って部屋に戻っていった。そういえば、どこの会社に勤めていることになっているのか聞くの忘れた、、、
翌日、2週間ぶりに外へ出ると、なんだか空気が違って見えた。大げさだなとたけるがいう。メガネを外したせいかなとぼくがいう。メガネなんかしていなかったじゃないか、そう言うたけるに笑い返して、いつもの電車に乗る。
「お前、おじさんおばさんと普通に会話していたな。」
「普通?」
「そう、昨日のテレビの話とか」
「あ、そうだね」
「お前の記憶が見えるようになったことはわかっていたが、周りの人の認識も変わるとは予想していなかった」
「ねえさんたちが、やってくれたみたい」
「運命の三姉妹が?」
「ねえさんたちは、過去と現在を司っているからね。少し操作したみたいだ」
「だが、それは、」
「うん、ある意味楔を残してしまう、かも」
「それでも、そうしたほうがいいと判断したんだろう、彼女たちは馬鹿じゃない、お前と違って」
「どういうことさ」
「そのままだ、ちょっと黙っててくれ、考えたい」
そうして、たけるはいつものように黙り込んだ。
(まったくもう)
もちろん僕だってわかっている。問題は何一つとして解決していない。ただ、僕がメガネをはずしただけ、それが吉と出るか凶と出るか
まだまだ未知は続いているー
「なーんてこと、あいつら言ってんだろうな」
のんきなこって、とあいすは毒づく。
「これからどうするんですか」
「さあ?とりあえずあきらのメガネは外させたし、接触してきた奴のデータもそろえたし、しばらくのんびりするかな」
うーんと伸びをして、足元の猫をなでる。
「じゃしばらく会えないんですか?家に行ったら会えますか?」
「残念ながら、家では顔を出す気はない。僕はイレギュラーな存在だからね」
「そん、、」
「だけど時々はこうして外出するからさ、僕をがっかりさせないようにしっかり働いてくれよ、富田」
「はい、あいすさん!」
「そういえば」
「なんだ」
「あいすから伝言。当分起きるつもりはないから、絶対起こすなって、しっかりたけるに伝えといてって」
「忙しくなるな」
「ん?」
運命のルーレット
ゆっくりと、まわりはじめる
《君の落雷 僕の静電気体質》プロローグー了
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