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【書評】DINER 平山夢明
令和になり、GWも終盤戦。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
私は、家族との時間を楽しみつつ、大好きなお酒と読書に没頭しています。
さて、平成最後の読書は平山夢明氏の『DINER』。
2012年の発表以来、根強い人気を誇る本作、2019年には藤原竜也さん主演で映画化もされ、改めて注目を集めている。
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映画の予告編は、ダイナーの店長・ボンベロの狂気的な叫び声が印象的ですが、原作の彼は静かに、そして恐ろしいほどの狂気を孕んだ人物として描かれているんだなー。
特に「砂糖の1粒まで~」というセリフは、原作を読むと、その意味がより深く心に響…くか?
ヒロインのカナコも、映画のように若くて可愛いのではなく、どこか気怠げなアラサー。といかクズ。
私、ヤングジャンプのコミックス版から『DINER』の世界に入った。
グロテスクな描写や、カナコの些細な言動にイライラすることもあったんだけど、原作小説ならもっと深く理解できるのではないかと思い、手に取ったワケです。
しかし、小説を読んでも、グロテスクな描写は健在。
クズ描写も健在。
さらに、コミックス版と小説版では、カナコがダイナーで働く後の展開に大きな違いがある。
コミックス版は、カナコが安易に突っ込んで痛い目に合う様子が描かれ、少し見ていられなかった…
一方、小説版のカナコは、愚かでありながらも、常識の通じない世界に突然放り込まれ、数々の死体を見て、何度も命の危機に瀕する中で、少しずつ成長していくように描かれている。
彼女の愚かさゆえに悲惨な事態が引き起こされる一方で、最後の最後まで生き残る強さを見せる彼女の姿に、読者は複雑な感情を抱くかも?
『DINER』は、決して心地良い読後感を与える作品ではないけど。でも悪くはない。
著者の作品は今作が初めてだけど、ほかの人のレビューを見る限りでは「結末はまだ救われている方」なのだとか。
クズな人間が、極限の状況を経験することで、どう変わっていくのかを描いたこの物語は、読者に深い考えを促したり。